明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



“鍵盤と鍵盤の間にブルースはある”。昔のアフリカ系アメリカ人ピアニストは西洋音階と、正確なピアノの音程が肌に合わず、ピアノの蓋を開けてピアノ線の間に新聞紙を挟んだという。これはまさに私である。身も蓋もない写真と肌が合わず、古いレンズやオイルプリントなど、写真に新聞紙を挟んできたが、遠近法という西洋音階にも異を唱え、色々やっているうちに、あんたの弾いているいるのは もはやピアノではない、といわれる始末である。 ついこの間の話だったが、『鏑木清方作三遊亭円朝へのオマージュ』が突然という感じに完成した時は、自分で何をしたのか理解できず、おいおい解明していくしかない、ということをブログに書いている。しかし、ここに至り、ようやく判って来て、最初から判ってやっていた、かのような顔をし始めている。 私の内部に思いついたらいってしまう性能の良い、鉄砲玉のようなのがいて、性能の悪い表層の脳が後からおたおた付いて来る。写真の素人がオイルプリントを始めた時も、頭では何をやっている、早く止めなきゃ、とハラハラしていた。今だからいえるが、20数年前、写真もろくすっぽやっていない私の廃れた技法へのチャレンジは異様だったろう。以来、頭で理解できずとも、止むに止まれぬ場合はそちらに乗ってしまおうと決めている。 昨年残念ながらピストル自殺したEL&Pのキース・エマーソンは、高校生の時観た後楽園球場のコンサートで、鍵盤の間にナイフを刺していた。

※『拝啓つげ義春様』
 (前期)2017年9月30日(土)~10月15日(日)『ゲンセンカン主人』出品
 (後期)21017年10月21日(土)~11月5日(日)
ビリケンギャラリー
 住所:〒107-0062 東京都港区南青山5-17-6-101
 TEL:03-3400-2214
 営業時間:12:00 ~19:00(月曜休)
 ホームページ:http://www.billiken-shokai.co.jp/

※『タウン誌深川』“明日できること今日はせず”連載4回「哀しい背中」
※深川江戸資料館にて九代目市川團十郎像を展示中。11月12日まで。

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