かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠387(中欧)

2017年01月16日 | 短歌一首鑑賞

  馬場あき子の外国詠53(2012年6月実施)
       【中欧を行く 虹】『世紀』(2001年刊)P108
      参加者:N・I、崎尾廣子、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:藤本満須子(急遽代理のため書面のみの参加)
      司会と記録:鹿取 未放


387 スメタナの記念館の椅子翳ふかくヴルタヴァに雨そそぐ昼なり

      (レポート)
 382ではここスメタナの祖国であるよとうたっている。雨のプラハ、雨のヴルタヴァ、時間は昼であるが、スメタナ博物館の椅子はかげを深くおとしている。スメタナ博物館はカレル橋の旧市街側のたもとにあり、ヴルタヴァ川がすぐ脇を流れている。スメタナは1863年から1869年までここに住んでいた。〈売られた花嫁〉〈ダリボル〉をここで作曲した。作者のスメタナへの思いが深く表れている歌。(藤本)


      (当日発言)
★雨が降っていたからこそ出来たいい一連。雨が降っているゆえの翳が作者の心情に影響してい
 て、印象深い。(N・I)
★私が行った時は川に記念館の影が映って、川が暗く見えた。(曽我)
★スメタナの精神が椅子に深く翳を落としている。(N・I)