馬場あき子旅の歌43(11年9月)【コンヤにて】『飛種』(1996年刊)P145
参加者:K・I、N・I、崎尾廣子、曽我亮子、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:曽我 亮子
司会とまとめ:鹿取 未放
319 トルコに死にしいもうとありき夕ぐれの空憂はしきコンヤに着きぬ
(レポート)(2011年9月)
私にはトルコに亡くなった妹がある。その最期の地コンヤの今にも泣き出しそうな空模様の暮れ方、やっと到着した。
作者は亡くなられた妹君を偲び、その悲しみと寂しさを、やっと来ることができた安堵と共に詠われているのだ…。
コンヤは首都アンカラの南に位置し、紀元前より現在まで人々がずっと住み続けるトルコの最古の都市であり、セルジュークトルコの首都でもあった。文化的・政治的・宗教的に発展した13世紀、神学者メヴラーナ・ジェラルディン・ルミによって旋舞祈祷として知られる「スーフィ教団」が作られた。緑のタイル鮮やかなメヴラーナの霊廟は現在博物館となり、宗教活動はトルコの共和制と共に停止されてはいるが、ぐるぐる旋回して踊ることによって神と一体になれるという教義をもつ。コンヤ城の敷地内に1220年アラアッディン・モスクが建てられ、モスクの反対側に1258年インジェ・ミナールが建立された。その他スルチャル神学校と考古学博物館がある。また現在博物館となっているカラタイ神学校はセルジューク期の陶器が多く展示されている。(曽我)
(意見)(2011年9月)
★ここで詠まれている「いもうと」は義理の妹さんです。「憂はしき」は「うるわしき」と読むの
でしょうか。今にも降り出しそうな曇り空だったということと、亡き妹を悼む気持ちを掛けてい
るのでしょうね。(鹿取)