かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠312(トルコ)

2015年02月15日 | 短歌一首鑑賞

 馬場あき子旅の歌42(11年8月)【キャラバンサライにて】『飛種』(1996年刊)P141
           参加者:N・I、崎尾廣子、T・S、曽我亮子、藤本満須子、H・T、渡部慧子、鹿取未放
           レポーター:渡部慧子
           司会とまとめ:鹿取 未放


312 うら若き駱駝は夢をみるといふキャラバンサライの胡桃の木下

     (まとめ)(2011年8月)
 311番歌を見ると、人間だけが涼しい木陰の机の上で眠っている図と読めるが、つづくこの歌では駱駝もその木陰の恩恵を受けているのだろうか。上の句は短歌的独断かもしれないが、「うら若き駱駝」という設定が何とも魅力的である。涼しい胡桃の木下で若い駱駝の見る夢は、きっとやすらかで楽しいものであろう。(鹿取)


     (レポート)(2011年8月)
 駱駝は目を閉じているとも眠っているともあきらかにしていない。「うら若き駱駝は夢をみるといふ」の伝聞につづきて「キャラバンサライの胡桃の木下」と場を提示しているので、駱駝はそこに眠っていると読者は確かな想像をする。上の句の伝聞形と下の句の場が双方をよく活かしあっていて、作者のこのような手法・構成を歌らしいと思う。まぶたのふくらみ、大様でゆったりした面様は、ある人格を思わせたかもしれない。人間の若いほどよく夢を見るということへ、駱駝を重ねたのであろう。(慧子)


    (意見)(2011年8月)
★上の句、ほんとうに誰かに聞いたのか、自分の想像か。(T・H)
★人間からの連想ではないか。(慧子)
★そうすると、人間の若いほどよく夢を見るという科学的な説があるんですか?(鹿取)
★いや、そういうことを巷で聞いたような。(慧子)