かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠 8(ネパール)

2013年07月26日 | 短歌1首鑑賞

 馬場あき子の外国詠1首鑑賞 8                              
                   【牛】『ゆふがほの家』(2006年刊)P94


159 喇嘛(ラマ)の旗ヒンドゥーの鐘カトマンズの朝露にゆるくわれを目覚ます

   【まとめ】
カトマンズは排気ガスがひどく埃っぽい街で、マスクをして歩いている人がたくさんいる。朝も常に靄がかかっている場合が多いそうだ。ここは露だが、そういう埃っぽさを洗うように露で湿った朝、窓からは喇嘛の旗がなびいているのがぼんやりと見え、ヒンドゥー寺院の鐘の音も響いてくる。それら異郷の風物が旅の疲れで眠っていた自分をゆっくりと目覚めさせる。「ゆるく」の語の使い方がうまい。(鹿取未放)

   【レポート】(2009年8月)
 朝、部屋の窓から通りを眺めておられると、そこにはラマ教の教えを記した布の旗がひらめいていたり、ヒンドゥー教のマニ車を回す音などが響いてくる。それらを見たり聞いたりしていると自然に目が覚めてくる。窓外の情景は別に喧噪ではない。今回の旅の目玉であったムスタンへの訪問も終わり、今、先生はネパールの首都の朝の情景を楽しんでおられる。(T・H)
★ヒンドゥー教の鐘は、とても軽い音がする。(佐藤)