朝日新聞2012年7月11日 クーヨン編集長 吉原美穂さん(38) 清潔さ神経質になりすぎずに
赤ちゃんはスリッパをなめる。テレビのリモコンもなめるし、財布もなめる。お父さんがうっかり脱ぎちらかした靴下だって、気がつけばしっかりお口の中……。
「キャー! ばっちいよ!」と取り上げる場面だけれど、あわてなくても大丈夫。赤ちゃんは何でも口に入れることで、多くの菌に触れて免疫力を高めることになるのだと、「寄生虫博士」として知られる藤田紘一郎さんにお聞きした。むしろ、乳幼児期にさまざまな菌と接する機会が滅っていることが、近年、アレルギー疾患が増えている原因とする説もあるそうだ。
子どもの「清潔」に、そんなに神経質にならない方がよいという語は、忙しいお母さん、お父さんには朗報だと思う。「授乳前には乳首の消毒を」「哺乳瓶は殺菌消毒して」「おもちゃも除菌を」……などと指示通りに真面目にやろうとすると、本当に大変! ドラッグストアで赤ちゃん用品を見ても、ほとんどのものに「除菌」「抗菌」と書いてあって、なんとなくプレツシャーが。
子どもは大抵、大人が「汚い!」と叫びたくなるようなことが大好きなのだ。たとえば泥んこ遊びはその典型。全身泥水につかってニンマリする子も、水たまりの中で泥だんごづくりに夢中な子も、みんなとてもいい笑顔。傍らで見ている大人は、そのTシャツやズボン、おそらくパンツまで洗濯することを考えて、笑顔も少々ひきつり気味に。でも、子どもたちは、成長に必要な「ご菌所づきあい」をしているのかもしれない。そう考えれば、もっと温かな目で見守れるのではないでしようか。
クーヨン 子どもの本専門店・クレヨンハウスが発行する0~6歳の育児雑誌。毎月3日発売。
主催者おすすめ参考書籍
堀内勲『赤ちゃんはスリッパの裏をなても平気』ダイヤモンド社、2002年
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