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ダンスとか。

Dance Triennale Tokyo 2009

2009-09-24 | ダンスとか
▼カンパニー・ミシェル・ノワレ 『Chambre blanche』
Compagnie Michele Noiret, Chambre blanche

表参道・スパイラルホール。
ベルギーのグループ。白いカーテンに囲まれた空間に、同じ髪型と衣装の女性が一人ずつ入れ替わりで入って来る。その度に「同じ」であることの印象が積み重なって行き、やがてデュオになって、ユニゾンとかズレとかを見せていく序盤、「同じ人が複数いる」という不思議な感覚が生まれてちょっと面白かった。ホンモノとニセモノがいてもう誰がホンモノだかわからなくなっているような。その後カルテットのシーンが続くと徐々に単なる「集団」にしか見えなくなってしまうのだが、それだけに余計さっきの妙な感覚はレアで面白かったと感じる。とはいえそのことと動きの内容とは必ずしも強いつながりがない(バレエ・ベースの懐かしいヌーヴェル的な振付だが、どんな動きでやってもあの感覚を作り出すことはできそうに思える)。いいかえれば振付自体が作品の主役になってはいない。したがって中盤以降は「画」的に構成された場面の連続というか、形而上的なフンイキの演出でゴリゴリと押していくことになる(黒田育世とデヴィッド・リンチが溶け合った感じのテイスト)。それはさておき21時開演というのは思いのほか良かった。映画でいえばレイトショーの時間帯で、感覚が実に「夜」的な冴え方をしているし雰囲気も良い。
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Dance Triennale Tokyo 2009

2009-09-24 | ダンスとか
▼ヤスミン・ゴデール 『Singular Sensation』
Yasmeen Godder, Singular Sensation

青山円形劇場。
面白かった。今までに見た『i feel funny today』(2000年初演)、『Strawberry Cream and Gunpowder』(2004年初演)がピンと来なかったので正直侮っていた。おそらく技術的にはそれほど違っていないと思うけど(今作の初演は2008年)、何か特定のところに焦点を結ばないように構成されているためか、ひたすら作品の「話法」を楽しみながら見てしまった。脱力したジャンクな動きで、日常動作的なモティーフが脈絡なく組み立てられているのだが(矢内原美邦とマリー・シュイナールを思い出させる)、何よりも五人のダンサーがヘンな表情をしっかり付けているのが大きい。表情があると、意味不明な動きも一応何らかの「行為」であるかのように見える(意味ないしヴェクトル(sens)の気配が生まれる)。そういう意味不明な「行為」のやり取り、離合集散の中に、アクションとリアクションの関係や、そしてとりわけ「反復」や「模倣」が起こっているのが見えてくる。関係ないはずの二人があるタイミングで同じ動きをしてしまった後、その動きが各々にとって違う展開をもたらしたりする。すると、個々人の「物語」はもうグシャグシャに崩壊してしまっているのだが、その代わり何か目に見えない、等身大でない「物語」(出来事)が個々人の身体を横断して駆け抜けているように思えてくる。個人がその意味を捉え切れないような「力」の流れがいくつもあって、それが身体を横断しているがために動きを引き裂き、たまさかシンクロさせたり、時には繋ぎ合わせて一つの大きな塊にすることもある。そういう磁場のようなものをゴデールは幾何学的秩序抜きで緻密に作り上げ、踊っている。「ポストモダン表現主義」といういい加減なワードを思いついた。
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