Dance Triennale Tokyo 2009

表参道・スパイラルホール。
▼エーヴァ・ムイル 『Sold Out』
Eeva Muilu, Sold Out
フィンランドの振付家。ソロ。とてもよくある感じの「ジェローム・ベル以後」的なメタ・パフォーマンス。メディア（ＴＶ）との対比で「身体とは」という問いと「パフォーマンスとは」という問いが曖昧に混同されている気がしたが、至極真っ当な考察がテンポよく巧みに展開されるため必ずしも退屈はしない。しかしそれってどうなのか。明るくやっているにも関わらず実際はものすごく不活性な諦念に貫かれている、と内容からは推し量れる。なのに、シニシズム自体を口当たりの良い安全な「商品」に仕上げてしまっているところが納得いかない。シニシズムとは葛藤すべき対象ではないのだろうか。今さらこれといってリスクもない。ジェローム・ベルがとっくに引き受けてしまったから。その点、コンドルズはやはり偉いんだと思った。葛藤がある。
▼森下真樹 『独楽犬イルツキー』
遠田誠とのデュオ。2008年の『うず巻』の改作とのことだが、内容はかなり違う。最も目立つ「日本文化」ネタ自体、新しく付け加わった部分で、弓矢や狛犬など、どちらかというと遠田誠的なテイストを感じた。