銀座・歌舞伎座。
▼『実録先代萩』
乳人浅岡=芝翫、松前鉄之助=橋之助、片倉小十郎=幸四郎
▼『助六由縁江戸桜』
花川戸助六=團十郎、三浦屋揚巻=玉三郎、通人里暁=勘三郎、福山かつぎ寿吉=三津五郎、三浦屋白玉=福助
歌舞伎座改築前の最後の月で、オールスターというか、顔見せ的な公演。三階席だったために助六の出がまるっきり見えなかったことを差し引いても、踊り的な要素が全然ないのであまり楽しくなかった。その代わりなぜか役者の発声に意識が向かった。玉三郎の揚巻はほとんど数文節ごとに発声を変えていて何ともマニエリスティックなセリフ回しになっている。ほとんどセリー音楽みたいだ。他の役者たちはこんな風に幅広く声を変えていない。声優などのように、ある一定のトーンやキャラクター性を定めて、そこに振り幅を付けている。もしかしたら玉三郎のセリフ回しは京劇の影響を強く受けているのではないかと思った。