Masters of Indian Music & Dance.
NY, Symphony Space, Peter Jay Sharp Theatre.
Ganesh & Kumaresh (violins), Zakir Hussain (tabla), Mannargudi Easwaran (mrdangam), S.V.Ramani (ghatam).
ガネーシュ&クマレーシュは兄弟のヴァイオリン・デュオ。ヴァイオリンは18世紀イギリス統治時代に南インドに持ち込まれ、古典音楽に合流したとのこと。しかし調が異なるとはいってもヴァイオリンはヴァイオリンで、やはりザキール・ハッサンの方に注目がいってしまうのは仕方なく、聴衆の多くもそのようだったが、例によってハッサンはこの二人を紹介するという立場に徹してあまり演奏しなかった。その代わりに ghatam というクレイポットの演奏が凄くて、細かい粒のような音が一粒一粒違う色を見せながら洪水のようにうねって流れ、かといってリズムが細かすぎてダンシーではないため、脳髄を粒々が通り抜けていく強烈な快感をただひたすらグッとこらえるのみ、という官能的な体験をした。音楽を聴いて踊り出してしまうことは、快感の「捌け口」を見出すということなのかも知れないと思った。おそらく快感は、苦痛と同じように、捌け口を必要とするものなのだ。