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ダンスとか。

ダンスビエンナーレ TOKYO 2004 (Bプロ)

2004-11-20 | ダンスとか
青山円形劇場。
▼ポール‐アンドレ・フォルティエ/フォルティエ ダンス‐クリエーション 『テンションズ』
Paul-Andre Fortier / Fortier Danse-Creation, Tensions
カナダ・ケベックのグループ(フランス語なので“クレアシオン”と読む)。初老のフォルティエ自身と、若いエリック・ボシェンヌ(Eric Beauchesne)による男性デュオで、フォルティエは普通の長袖シャツとパンツ、靴を履いていて、ボシェンヌはタンクトップに裸足。お互いにほとんど絡まないまま、それぞれ異質な動きを展開する。背景にはずっとミニマル系のテクノが流れていて、ビートの層が漸次的に入れ代わりながらテンションが上下する。切れ目のない50分間。フォルティエは動かないでいる時間が長いが、ブルブル震えながら歩いたり、エアロビクスのような機械的な反復動作をしたり、けっこうヘンな振付。非人間的で無機的な質感を出すにしても、人形っぽかったり、彫像っぽかったり、ロボットっぽかったり、色々なモードがあるという認識を得た。ボシェンヌは恐ろしいヴァイタリティで動き続ける。バレエを基礎にしたいわゆる「コンテンポラリー」の振りに、時折ボクシングのような細かい足捌きが入る。基本的にはこの老若のダンサーの対比によって構成された作品なのだが、「老若」という文学には流れず(冒頭と最後に演劇的なジェスチャーによる絡みが少しある)、背景に流れ続けるテクノの構造をデュオのダンスに翻訳しているように見えた。音楽をなぞっているわけではなく、むしろ徹底してビートを外して動いているのだが、絡まない二人が刻む相互に無関係な時間が舞台上で交錯したり、一方が踊っている間他方が隅で動かないでいたり、かと思うと間歇的に振り返って、動き出す素振りだけを一瞬見せてまた戻ったり、ミニマル系の修辞を踏まえているように思われ、しばしばニヤリとさせられる。そう思ってみると音楽とダンスを等価な関係に置いてみせた作品ともいえるだろう。Tension"s"。後半に入ると、雲とか煙のようなアブストラクトでモノクロの映像が映され、ボシェンヌの動きがそれをなぞっているように見える瞬間もあった。特に新鮮とか刺激的ということはないが、破綻なく仕上げられたコンセプチュアルな「作品」を見た、という充実感はあった。
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