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ダンスとか。

ソロ×デュオ<Competition>(二日目)

2004-02-08 | ダンスとか
▼橋智子 『コップいっぱいの幸せ』
初めて見る人。割烹着を着た母親のキャラクターなどが出てくるデュオ(高橋春香との共演)。バレエ主体の動きは綺麗だが、如何ともしがたい21フェスな空気が漂っている。赤ん坊を殴るシーンで一瞬ドキッとしたがあまり追求はされず。
▼野美和子 『オクユキの肖像』
伊東歌織とのデュオ。構成、衣装、音楽、振り、照明は『匿名トリップ』などとかなり似ている。おそらく全く別の完結した作品として作られているのではなく、一定のモティーフにこだわりながらいくつものヴァリアントを拵えていくという、コツコツ積み重ね型の構えなのだろう。演劇的な匂いをはっきり感じさせておきながら、何も描写しないどころか暗示さえしていない、この宙ぶらりんな構成が、何かはっきり把握できる形を見つけ出してそこへ落ち着いてしまうのではなく、あくまでもこの宙ぶらりんなままで、もっと細密で緻密で奥深いものになっていくべきなのだと思う。
▼安達香澄 『Posy』
この人も初めて見る。小さい椅子を色んなフォーメーションに並べ替えて見せる冒頭、四つの四角いスポットを移動しながら踊っていくシーンなど、一つ一つのシーンの構成と振りの内容がきわめて明瞭で無駄がなく、やりたいことが常に過不足なく実現されているのが気持ちいい。短い暗転ですばやく転換しているのもポイントで、作品を引き締ったものにしている。アメリカやアイルランドでも活動しているらしく、やはりそこら辺に違いが出てくるのだなと思った。
▼ジョン・ヨンドゥ 『降りないこと』
この人も初めて。大柄な男性の上に小柄な女性(イ・ソヨン)が乗っていて、その状態のまま20分間様々な形をアクロバティックに展開していく。「降りない」ってそれかよ!と実におバカなのだがおバカ路線では全くなく、ヘグムという韓国の弦楽器の生演奏がセンチメンタルな雰囲気を演出してしまう。手の平の上を一歩ずつ渡っていったり、斜めになった太腿の上を伝って背中に登ったり、技巧的には凄いといえば凄いのだが、どう考えてもただの曲芸。

昨年の横浜賞受賞記念公演。
▼木野彩子 『箱女』
去年の『Edge』という作品は照明で区切られた狭い空間の中で踊るというものだったが、これは細長いロッカーの中に入ったまま手とか足とかが外に出てくるというもの。後半は暗視カメラで内部を撮影した映像がヴィデオでロッカーに投影され、最後は暗転中にロッカーがバーンと横倒しになって、明るくなってみると中はもぬけの空、という引田天功みたいなオチ。一発芸なら10分くらいやればOK。

<結果>横浜賞が森下真樹とジョン・ヨンドゥ、フランス賞がジョン・ヨンドゥ。
(ぼくなら新鋪美佳/福留麻里と矢内原美邦を選ぶ)

それにしても、今に始まったことじゃないが、横浜ダンスコレクションはもう少し経験のある舞台スタッフを揃えるべきだと思う。作品ごとの転換が異常に長くて、待っているだけで疲れてしまうし、上演中のスタッフのミスも至る所に目に付く。アーティストを育てるのもいいが、スタッフも育ててほしい。
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