40からのインラインsk8

娘にさせようと買ったのに、逆にハマってしまった中年男。果たして自由自在に操れる日は来るのか?

ホロヴィッツ1983

2012-06-05 18:11:18 | 日記
音楽評論家の吉田秀和さんが亡くなられましたねぇ。朝日新聞に連載されていた音楽展望、好きだったんだよなー。朝日特有の「進歩的」テイストな記事ばかりのなかでどこまでも透明で軽やかな吉田さんの文章は小川の水藻の上をふるふると転がっては消えていく水泡のようで、読んだ後しばらくは憂世の世知辛さを忘れられて幸せだったんだよねー。

 そして吉田秀和といえば「ホロヴィッツ事件」。1983年に当時破格の入場料を設定し、鳴り物入りで来日した「20世紀最高のピアニスト」を


 ”今私たちの目の前にいるのは、骨董としてのホロヴィッツにほかならない。(中略)なるほど、この芸術は、かつては無類の名品だったろうが、今は―最も控えめにいっても― ひびが入ってる。それも一つや二つのひびではない。”


ってバッサリ斬っちゃったもんだから賛否両論、喧々諤々。当時「ホロヴィッツって何?」という人まで巻き込んで大騒ぎになったんですよね-。体調が悪かったのは事実らしいけど、この評論の影響は大きく、ホロヴィッツの主治医はクビになるし、気にしたホロヴィッツはわざわざ3年後にリベンジのために再来日公演することになります。

で、その83年度コンサートをワタシ、「さぞもの凄い演奏なんだろうなー」とわくわくしながらTVで見てたんですが、「コレが世紀の大ピアニスト?」って正直拍子抜けしたんですよ。だから吉田評論を読んでさもありなん、と腑に落ちたのを覚えています。

 今youtubeでホロヴィッツの演奏聞きながらこれを打ってますが、やはり86年のベルリンやモスクワ公演は凄味さえ感じるのに83年は「…」吉田秀和さんの評判に左右されないまっすぐな意志を再確認しております。

 うーん、天寿を全うしたとは言え惜しい人を亡くしたなぁ。

最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (雪国の王様)
2012-06-07 23:04:57
私も同感です

吉田さんは亡くしきれない人物でした

新聞を開いたらすぐに見ていたのがもう見れないとなると悲しいですね
返信する
古くて新しい (ちょう)
2012-06-08 08:02:08
世界的に通用する日本人は数多いけど、その多くは「むこうの人」になりきり、外国の社会にあわす努力をして認められた方のようにワタシは感じてますが、吉田秀和や丹下健三なんかは表現は西欧流でもテイストやスピリットは和という感じがしたんですよね-。みんな亡くなられたけど、これからの時代はそういう個性が求められるんじゃないかなー。
返信する
Unknown (雪国の王様)
2012-06-09 23:43:19
ちょうさんもなかなか語りますね~(笑)

しかし吉田さんは人としても世界に自慢できる人物の一人でしたからね~、やはり亡くしきれない人物でした
返信する

コメントを投稿