子どもに対するインフルエンザワクチンの接種回数について。
当院ではずっと2回接種を推奨してきましたが、接種量と価格変更に伴い再検討した結果、数年前に「3歳以上は1回接種でもOK」としてきました(下表)。
さて、ここでその根拠を再確認しておきたいと思います。
厚労省は昨シーズン(2017/18)から「13歳以降は1回接種を推奨」と方針を変更しています。
これは医学的というよりワクチン不足という社会的事情によるものですね。
今シーズン(2018/19)も一時ワクチンが足らなくなることが予想されるため、「13歳以上は1回接種推奨」と発表されました。
ま、こういう“大人の事情”はさておき・・・。
WHOの「Summary of WHO Position Papers - Recommended Routine Immunizations for Children」のインフルエンザワクチンの箇所から小児関係の記述を抜粋します;
・ For countries considering the initiation or expansion of programmes for seasonal influenza vaccination, WHO recommends that pregnant women should have the highest priority. Children aged < 6 months are not eligible to receive currently licensed influenza vaccines and should be protected against influenza through vaccination of their mothers during pregnancy and through ensuring vaccination of close contacts.
・Additional risk groups to be considered are children aged 6-59 months, elderly persons ≥ 65 years of age, individuals with specific chronic medical conditions, and health-care workers. Countries with existing influenza vaccination programmes targeting any of these additional groups should continue to do so and should incorporate immunization of pregnant women into such programmes.
・<u>A single dose is appropriate for those ≥ 9 years of age, including pregnant women. Inactivated influenza vaccine is safe to give throughout pregnancy.
・Children aged 6-59 months should receive 2 doses at least 4 weeks apart. Children aged 6-35 months should receive a pediatric dosage.
・Annual vaccination (or re-vaccination, if the vaccine strains are identical) is recommended. Previously vaccinated children 6-59 months require only one-dose.
接種回数だけ抜き出すと(下線部)、
・9歳以上は1回接種
・生後6-59ヶ月(6ヶ月〜5歳未満)は少なくとも4週間空けて2回接種
・生後6-59ヶ月(6ヶ月〜5歳未満)で過去にワクチン接種歴のある者は1回だけ接種
となります。
あれ、5歳〜8歳の記述が抜けてる? どーしたWHO!
次にアメリカのCDCのHP「Influenza vaccines — United States, 2018–19 influenza season」をみると、うわ〜インフルエンザワクチンの種類がたくさんある。ビックリです。
さて、年齢による接種回数を探してみると・・・「Prevention and Control of Seasonal Influenza with Vaccines, 2018-19」から「FIGURE. Influenza vaccine dosing algorithm for children aged 6 months through 8 years」に入り、その中の「FIGURE. Influenza vaccine dosing algorithm for children aged 6 months through 8 years — Advisory Committee on Immunization Practices, United States, 2018–19 influenza season」にフローチャート「FIGURE. Influenza vaccine dosing algorithm for children aged 6 months through 8 years — Advisory Committee on Immunization Practices, United States, 2018–19 influenza season」を見つけました。
翻訳すると、
生後6ヶ月〜8歳の小児において、
・2018年1月までに3価あるいは4価のインフルエンザワクチンを2回以上(2回の内訳は同シーズンでなくてもよい)接種しているか?
(2回以上接種している) → 1回接種
(接種していない、あるいは不明) → 2回接種
となりますね。
そして当院の方針を再掲します。
昨年と同じく、アメリカと日本の方針の中間を行くことにしました。
表にWHOの方針を入れなかったのは、上述の通り5〜8歳の記述が見当たらなかったから。
そのこころは・・・実際にインフルエンザに罹っていない子どもでは「重症化予防」、罹った子どもたちへは「発症予防」が根底にあります。
(6ヶ月〜2歳)ぶっちゃけて言うと、インフルエンザに罹っていなければ現行ワクチンを接種しても発症予防効果は期待できません。重症化予防が目的になります。
(3歳〜8歳)インフルエンザに罹ったことのある子どもが多くなる年代ですので、ブースター効果による発症予防効果が期待できます。ただし、すべての型に罹っているかどうかは不明ですから、接種歴確認も大切です。
なぜアメリカのように9歳ではなく3歳で区切ったかというと、接種量が変わる歳だからです。
(9歳以上)ほとんどがインフルエンザ罹患歴がある年代ですから、ブースター効果が期待できるので、ワクチン本来の「発症予防効果」が発揮されます。
当院ではずっと2回接種を推奨してきましたが、接種量と価格変更に伴い再検討した結果、数年前に「3歳以上は1回接種でもOK」としてきました(下表)。
さて、ここでその根拠を再確認しておきたいと思います。
厚労省は昨シーズン(2017/18)から「13歳以降は1回接種を推奨」と方針を変更しています。
これは医学的というよりワクチン不足という社会的事情によるものですね。
今シーズン(2018/19)も一時ワクチンが足らなくなることが予想されるため、「13歳以上は1回接種推奨」と発表されました。
ま、こういう“大人の事情”はさておき・・・。
WHOの「Summary of WHO Position Papers - Recommended Routine Immunizations for Children」のインフルエンザワクチンの箇所から小児関係の記述を抜粋します;
・ For countries considering the initiation or expansion of programmes for seasonal influenza vaccination, WHO recommends that pregnant women should have the highest priority. Children aged < 6 months are not eligible to receive currently licensed influenza vaccines and should be protected against influenza through vaccination of their mothers during pregnancy and through ensuring vaccination of close contacts.
・Additional risk groups to be considered are children aged 6-59 months, elderly persons ≥ 65 years of age, individuals with specific chronic medical conditions, and health-care workers. Countries with existing influenza vaccination programmes targeting any of these additional groups should continue to do so and should incorporate immunization of pregnant women into such programmes.
・<u>A single dose is appropriate for those ≥ 9 years of age, including pregnant women. Inactivated influenza vaccine is safe to give throughout pregnancy.
・Children aged 6-59 months should receive 2 doses at least 4 weeks apart. Children aged 6-35 months should receive a pediatric dosage.
・Annual vaccination (or re-vaccination, if the vaccine strains are identical) is recommended. Previously vaccinated children 6-59 months require only one-dose.
接種回数だけ抜き出すと(下線部)、
・9歳以上は1回接種
・生後6-59ヶ月(6ヶ月〜5歳未満)は少なくとも4週間空けて2回接種
・生後6-59ヶ月(6ヶ月〜5歳未満)で過去にワクチン接種歴のある者は1回だけ接種
となります。
あれ、5歳〜8歳の記述が抜けてる? どーしたWHO!
次にアメリカのCDCのHP「Influenza vaccines — United States, 2018–19 influenza season」をみると、うわ〜インフルエンザワクチンの種類がたくさんある。ビックリです。
さて、年齢による接種回数を探してみると・・・「Prevention and Control of Seasonal Influenza with Vaccines, 2018-19」から「FIGURE. Influenza vaccine dosing algorithm for children aged 6 months through 8 years」に入り、その中の「FIGURE. Influenza vaccine dosing algorithm for children aged 6 months through 8 years — Advisory Committee on Immunization Practices, United States, 2018–19 influenza season」にフローチャート「FIGURE. Influenza vaccine dosing algorithm for children aged 6 months through 8 years — Advisory Committee on Immunization Practices, United States, 2018–19 influenza season」を見つけました。
翻訳すると、
生後6ヶ月〜8歳の小児において、
・2018年1月までに3価あるいは4価のインフルエンザワクチンを2回以上(2回の内訳は同シーズンでなくてもよい)接種しているか?
(2回以上接種している) → 1回接種
(接種していない、あるいは不明) → 2回接種
となりますね。
そして当院の方針を再掲します。
昨年と同じく、アメリカと日本の方針の中間を行くことにしました。
表にWHOの方針を入れなかったのは、上述の通り5〜8歳の記述が見当たらなかったから。
そのこころは・・・実際にインフルエンザに罹っていない子どもでは「重症化予防」、罹った子どもたちへは「発症予防」が根底にあります。
(6ヶ月〜2歳)ぶっちゃけて言うと、インフルエンザに罹っていなければ現行ワクチンを接種しても発症予防効果は期待できません。重症化予防が目的になります。
(3歳〜8歳)インフルエンザに罹ったことのある子どもが多くなる年代ですので、ブースター効果による発症予防効果が期待できます。ただし、すべての型に罹っているかどうかは不明ですから、接種歴確認も大切です。
なぜアメリカのように9歳ではなく3歳で区切ったかというと、接種量が変わる歳だからです。
(9歳以上)ほとんどがインフルエンザ罹患歴がある年代ですから、ブースター効果が期待できるので、ワクチン本来の「発症予防効果」が発揮されます。