徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

理容店の感染対策にガッカリ・・・

2022年02月17日 15時55分11秒 | 小児科診療
10年来、行きつけの理容店での出来事です。

理容店に入り、客として椅子に座ると、マスクを外します。
マスクをしていると顔を剃ることができないから。

感染対策としては無防備状態で約1時間座っていることになります。
仕事中はマスクを外さない医療者の私としては、
結構ドキドキものです。

某日、私が先客で、
次の客が来店し、隣の席に誘導されて座りました。
彼ははじめからマスクをしていません。

常連客と思われる初老の彼は、
おもむろに大きな声でしゃべり出しました。
まあ、季節の挨拶が済めば静かになるだろうと思いきや、
世間話がずっと続きます。

店員が止める気配はありません。
店の理容師はマスクをしています。
客(マスクを外している私)を感染リスクにさらしておいて知らん顔?

私は、慌てて外していたマスクを装着し、
顔を剃るのを遠慮・省略して、
そそくさと店を出ざるを得ませんでした。

まあ、昔からの常連客は世間話を楽しみに通っているのでしょうから、
今回は自分が我慢して身を引こう、
店の人も私の気持ちをわかってくれて対策を考えてくれるだろう、
などと考えながら。

しかしその後、同じようなエピソードが繰り返されました。

2回目なので私は仕方なく、
「感染リスクがあるのでしゃべるならマスクをしてください」
「マスクをしないならしゃべらないでください」
と口頭で注意させていただきました。

すると、店の人も客も驚いた様子で怪訝そうな表情。
以降、話を止めてくれました。

ただ、その反応から、
「もしかしたらこの店では“マスクなし世間話”が常態化しているのかもしれない」
という懸念が頭をよぎりました。

その約1ヶ月後、その理容店に行くと、
想定外の扱いが待っていました。

「トラブルはごめんです」
「他の店に行ってください」

と門前払いを食ったのです。

私はあっけにとられました。

感染対策を改善するどころか、
そのリスクを指摘した私をクレーマー扱いです。

理容師の感染対策の認識って、こんなレベルなのか・・・
カミソリを扱うのでHIV感染とか研修を受けて、
気を遣っていると思っていたのに。

知り合いに美容師さんがいますが、コロナ禍になってから、
「お客さんも美容師もマスクを外さない」
「会話は必要最低限しかしない」
と彼女から聞いていたので、
理容師も同様と思っていたのは私の思い込みだったようです。

これがこの店だけなのか、
理容店一般のレベルなのかはわかりません。
みなさんの行きつけの理容店はいかがでしょうか。

ときどき、医療者と一般市民の感染リスクへの姿勢について、
ギャップを感じることがあります。

しばらく前に、政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身会長が、
「人流より人数」
「ステイホームは必要ない」
とコメントして物議を醸し出したことがありました。

私は彼の発言内容は“科学的に正しい”と思っています。
ただし「みんなが感染対策をきっちり守れば」という条件付き。

医療関係者は日々、新型コロナ患者を診療しているので、
感染対策のレベルがシビアです。

しかし一般の方に医療レベルの感染対策を求めるのは酷で、
「これぐらいはいいんじゃないか・・・」
と気の緩む場面が無きにしも非ず。

本来は「人数」制限で済むものも、
「人流」制限せざるを得ないのが人間社会なのでしょう。


さて先日、新型コロナ関係の医療者向けWEBセミナー(講師は忽那Dr.)を聴いていたとき、
参加者にアンケートを採る場面がありました。

Q.自施設で新型コロナの濃厚接触者は発生しましたか?
A.50%以上が「YES」

うわっ、多い!

Q.自らが感染しましたか?(医師限定)
A.「YES」は3%

えっ、それだけ?

医療機関でクラスターが発生するとメディアが大々的に報道しますが、
医師に限定すると、感染者はほとんどいないのです。

だって、医師が濃厚接触者・感染者になると、
7〜10日間休診にしなければなりませんから、
地域医療にとっても、経営的にもアウトです。

私は自分の子どもの結婚式にも行きませんでした(WEB参加)。

日々、そんな生活をしているので、
理容店でのエピソードは、受け入れられないものがあり、
半分愚痴っぽくなりましたが、書かせていただきました。

あの店にはもう行けないなあ。
行きつけの人は近所のご老人が多そうだから、
感染が広がって重症者が出ないことを祈るばかりです。
腕のよいだった床屋さんだったので残念。

感染対策を各シチュエーションでどこまでやるか・・・正解のない難問ですね。

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