徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

米でインフルエンザ(H3N2)が大流行

2018年01月24日 08時28分11秒 | 小児科診療
 今年のインフルエンザ流行は、世界中で例年と異なる様相を呈しているようです。

米でもインフルエンザ流行 子ども37人死亡
2017年1月27日:NHK
 インフルエンザが世界的に猛威を振るう中、アメリカでもほぼすべての州で感染が広がり、今シーズンに入って少なくとも37人の子どもが亡くなりました。
 アメリカのCDC=疾病対策センターによりますと、50ある州のうちハワイ州を除く49州でインフルエンザの感染が急速に広がり、去年10月以降、少なくとも子ども37人が死亡、およそ1万2000人が入院したということです。
 また、ここ数年の流行と異なり、65歳以上の高齢者だけでなく、50歳から64歳の年代の感染も際立っているとしています。
 現地メディアによりますと、中西部のインディアナ州では、インフルエンザにかかった息子と夫の看病をしていた女性が感染し、発症した3日後に亡くなったケースもあったということです。
 日本でも、インフルエンザの患者数が統計を取り始めた平成11年以降、最も多くなるなど、インフルエンザの患者は世界的に増加傾向となっています。
 CDCは、このままのペースで感染が拡大すれば、過去15年で最悪の規模になるおそれがあると警告していて、手洗いやうがいの徹底のほか、予防接種を受けるよう呼びかけています。


 日本ではA型≒B型流行ですが、米国では相変わらずA型(H3N2)がメインのようです。
 以下の紹介記事中の「新型ウイルス」は勇み足の表現で、B型を意味しています。
 日本にはない細胞培養ワクチンにも言及しています(ただしワクチン反対派が問題視するアジュバントにはノーコメント)。

■ 米でインフル大流行、新型ウイルスの出現でさらに悪化の恐れ
Michelle Fay Cortez:2018年1月22日:Bloomberg
 米国では今シーズン、インフルエンザが保健当局が十数年前に追跡調査を開始して以来、最悪の流行となっている。シーズンが終わるまでにまだ11~13週あり、新型ウイルス出現の恐れがあるため、事態はさらに悪化する恐れがある。
 インフルエンザの外来患者数は1月の第1週に増加し、この時期の感染者数では過去最多となった。
 米疾病対策センター(CDC)によると、今シーズン最も猛威を振るっている「H3N2」型の流行が問題になっている州で、「H1N1」型の感染が確認され始めている。CDC国立予防接種・呼吸器疾患センターでインフルエンザ部門を担当するディレクター、ダン・ジャーニガン氏は、「B」型ウイルスが引き起こすまた別の種類のインフルエンザがシーズンの終わりまでに出てくるだろうと指摘した。
 現在、インフルエンザ予防に使われるワクチンの大半は卵の成分を含有しているが、卵はH3N2型の生育にはあまり適さず、効果的なワクチンができる確率が比較的低い。しかし最近の進歩によって卵の成分を含まない新種のワクチンが2種類、登場した。仏サノフィの「フルブロック」と、豪CSLの「フルセルバックス」だ。ジャーニガン氏は、いずれも製造工程で卵を使用しないため、できたワクチンは実際に流行しているものに近くなる可能性があると語った。
 「より幅広い有効性があり、効力が長持ちするワクチン、一生に1回か2回の接種であらゆる種類のインフルエンザを予防できるというようなものが最終的に登場してくれればいいのだが、そのようなものが現れるまでには数年かかると思う」とジャーニガン氏は話した。

原題:Think Flu Season Is Bad? It Could Get Worse Before It’s Over(抜粋)


 もう一つ米国発信の記事を。
 アメリカでは今シーズン既に小児が30人亡くなっているそうです。
 「インフルエンザに感染すると、ウイルスに対抗するため免疫反応が起きる、人によっては過剰反応を引き起こし、敗血症で死亡することもある」という記述は?で、ウイルス感染と細菌感染を記者は混同しているようです。敗血症ではなく、サイトカイン・ストームだと思います。
 なんだかアメリカの記事って、いい加減? それとも翻訳の問題なのかな。

■ インフルエンザが猛威、若者や幼児の死亡例も
2018.01.25 :CNN
 インフルエンザが世界で猛威を振るっている。米疾病対策センターによると、米国では今シーズンのインフルエンザで、これまでに子ども少なくとも30人が死亡した。
 この統計に大人の死亡は含まれていないものの、CDCの推計では、13日までの1週間の死者のうち、8.2%は肺炎とインフルエンザが原因だった。これは例年に比べて1%以上高くなっている。
世界保健機関(WHO)によれば、インフルエンザの流行を原因とする重症疾患の患者は世界で年間約300万~500万人、死者は29万~65万人に上る。
 専門家によると、特に高齢者は重症化しやすく、死者の80%は65歳以上の患者が占める。しかし幼児や心肺の疾患、糖尿病といった既往症のある患者も死亡する危険があるという。
 インフルエンザに感染すると、体内ではウイルスに対抗するため免疫反応が起きる。ところが人によっては過剰反応を引き起こし、敗血症で死亡することがある。米ピッツバーグでは昨年12月、それまで健康だった21歳の大学生が、インフルエンザに伴う敗血症と多臓器不全で急死した。
 24日の米医学誌には、インフルエンザに感染してから7日間の間は、心臓発作を起こす確率が6倍に増えるという研究結果も発表された。因果関係は特定されていないものの、感染症が炎症やストレスや血管収縮を引き起こし、血圧が上昇するのではないかと推論している。
 子どもへの影響も懸念される。5歳未満のインフルエンザの死者のうち、99%は途上国の子どもだった。先進国ではそれほど高いリスクは伴わないものの、幼い子どもがインフルエンザによる敗血症で死亡することもあると専門家は指摘している。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 毎年のワクチン接種で高齢者... | トップ | インフルA&B流行拡大、全国... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

小児科診療」カテゴリの最新記事