還暦過ぎの阿乱怒論

家庭菜園や工作好きの爺父が日々感じたことを綴る独り言

TPPが我々に問いかけるもの

2011-11-19 21:07:44 | 日記
元通産官僚が唱えた「町人国家論」という考え方があるようだ。

「江戸時代に政治、軍事、警察力を握っていたのは武士だが、経済を握っていたのは町人である。町人が力を維持するには、武士との関係に細心の注意を払わなければならない。なぜなら武士は軍事力をちらつかせて「金を出せ」と命令する事が出来るからである。
町人がしたたかに生きるには、情報収集力、構想力、交渉力、そして時には這いつくばってゴマをする能力も必要になる。武士から唾を吐きかけられても揉み手をしながら笑って見せ、それで利益が確保できれば町人は生き残れる。戦後の世界でアメリカが武士ならば日本は町人である」(田中良紹氏の「国会探検」より引用)

戦争に負けた日本は町人としてしか生きていけない、それなら大商人を目指すべきだという考え方である。
言われてみればたしかに戦後の日本(官僚+自民党)はそのとおりに歩んできたような気がする。

アメリカに「安保条約で日本を守ってやるかわりに貢物をせよ」と言われ続けてきた。
絶対に売ることのできないアメリカ国債を買わされ続け、日本が経済力をつけすぎると円高で痛めつけ、それ以上の力をつけさせないようにされてきた。
そして「年次改革要望書」で町人のしきたりを武士のしきたりに直せとまで言われてきた。
さらに戦後66年を経てもなお135もの在日米軍基地が(まるで奉行所のように町人を監視するために)設置されたままだ。

まさに、唾を吐きかけられても揉み手をしながら生きてきたのが戦後の日本である。
そのおかげで世界でも有数の経済大国になり、国民の生活水準が向上したのも確かだ。

世論を二分しているTPP(特にISD条項)は、まさに借金を返すことができなくなった武士が、町人や農民を完全支配下において武家支配の世の中を維持せんがための最後の手段といったところであろうか。

つまるところ、「TPPに賛成か?反対か?」ということは、今までのように揉み手をしながら町人として生きていくのか?
武士に戦いを挑み、貧しくとも誇りを持って生きて行くのか?
それとも四民平等の新しい世の中を目指すのか?
我々自身、一人ひとりの全国民の生き方が問われているのだろうと思う。

で、アンタはどう生きていくの?
えっ! うーん難しいなあ・・・