
暖冬のせいで今年はあまり出番のなかった我が家の石油ファンヒータだが、先月の突然の冷え込みで急遽、倉庫から出してきたファンヒーター。
ところがSWを入れてみると「E02」のエラー表示が出て点火しない。

2002年製の古い物なので粗大ゴミ行きの運命に・・・。
と思ったが、どんな仕組みになっているんだろうか?と持ち前の好奇心が湧いてきた。
思い起こせば幼い頃、この好奇心のせいで何台のゼンマイ式の目覚まし時計や真空管ラジオを壊したことだろう。
貧しかった我が家だが、当時としては高価だったにもかかわらずあまり怒られた記憶がない。
きっと両親は子供の好奇心や追及心をつまないように我慢してくれたんだろう。
ファンヒーターの原理は比較的簡単で、タンクの石油を電磁式の燃料ポンプで汲み上げ真鍮製のパイプで気化器へ送る。
電熱ヒーターで石油をガス化して燃焼部へ送り、着火装置で点火する。
安全のために付随する様々な機能もあるが、大まかな基本原理は上記のとおり。
「E02」のエラーコードは「着火不良」を表している。
取説には「水の混入の有無」「石油フィルターの異常」を確認せよとしか記載されておらない(今回どちらも異常はなかった)。
(ちなみに毎シーズン終了時には、石油をきれいに全て抜き取って埃を掃除してから仕舞っている=これは大事なことです)
考えられる原因は「電磁式燃料ポンプ」か「気化器」「着火装置」しかないと思われる。
今回修理に挑戦したファンヒーターは「2002年ダイニチ製のFW-3070S」で
正常時(修理後の動作)は
電源SWオンで、暫くの間、気化器の電熱ヒータ(下の写真の左側の太い円筒部分)で熱せられると「ポコポコポコ」と燃料ポンプの動作音がした後、火花放電の点火装置が動作して点火する

気化器
ところが我が家の壊れたファンヒータは、電源SWオン後しばらくして「バチバチ」という火花放電の点火音が数秒間に渡って続くが点火せず、
これを2度繰り返して「E02」表示が出て動作しなくなる。
(燃料ポンプの動作音がしないのでおそらく燃料ポンプの不良だと思われる)

燃料タンクと石油フィルターを取り外し、残った石油をスポイトで全て抜き取る。
両サイドの前面側下部のネジ2本を外すと簡単に前面カバーを外せる。

燃焼部の前面カバーも外す

右側の燃料ポンプから気化器への真鍮パイプを燃料ポンプ側で外す。

余分な石油を気化器から燃料タンク側へ帰す真鍮パイプも外す。

制御基盤の気化器へのコネクタ3本を外してから気化器を固定している金具のネジ2本を外して気化器を取り出す。
今回は燃料ポンプが疑わしいのですが、気化器もカーボンが溜まって点火不良を起こしやすいのでついでに清掃しておきます。

分解するために止め金具を外す

気化器右側のネジが切ってあるところ(余分な石油を燃料タンクへ帰す口の部分)をペンチでつかんで引き出す(ネジ山を壊さないように注意)

分解したところ
ここで大事な注意点を二つ
・元の形や部品の向きを間違わないために、必ず写真で記録しておく
ついうっかりして組み立てるときに訳がわからなくなることが往々にしてある。
・コードは必ずパイプに縛って固定しておく(ヒーターへのコードが外れてしまうと修復不可能)

筒内部に入っているニードルを取り出す。

先端にカーボンが付着して真っ黒
これはヤスリで軽く磨いてカーボンを落とす。
筒の内部のカーボンにはCRC等を吹き付けた後、綿棒できれいに拭き取る。

きれいになったら元の通り組み立てる(まだ取り付けない)

次はこの燃料ポンプを取り外す(ネジ2本を外す)

取り出した燃料ポンプ

これも分解して

矢印の2本のパイプに細い穴がある、この穴を細い針金(荷札の針金等)で軽く掃除する。
またこの2本のパイプの接触部が汚れて詰まることが多いので綿棒できれいにしておく
燃料ポンプ→気化器の順で取り付けて作業終了。
ちょっとドキドキしながら電源SWをオンに

暫くすると「ポコポコポコ」と燃料ポンプの動作音がし、「バチバチバチ」と着火音がし「ボーッ」と青い炎が上がる。
修理成功です。
久しぶりにちょっとした感動でした。
やはり物を作ったり、修理したりするのは男にとって最高の楽しみです。
連れ合いが帰ってきたらどんな顔をするか?これも楽しみ。
なお、これはあくまで個人的な記録です。
類似の作業をしようと思われる方はあくまで個人の責任でお願いします。