RS485(422)の結線は2線?それとも3線?
RS485は皆さんご存知のように差動出力・差動入力です。つまりドライバは2つの出力端を持ち、GD(ドライバグランド)に対する(+)と(-)の2つの信号を出力します。そしてレシーバも2つの入力端を持っており、ドライバが出力する2つの信号の電位差を入力信号として受取るためノーマルモードノイズ(線間ノイズ)の影響を受けにくいというものです。よってシングルエンド(RS232C等)よりも長距離の伝送が可能となります。
では、RS485のドライバとレシーバを電線で結ぶ場合、差動なのだから(+)と(+)、(-)と(-)を結ぶ2本の線でいいのでしょうか?実際としてはこの2結線で通信できてしまう場合が多いようです。ほとんどの場合は2線で通信できるとも言われます。しかし実はこの2結線は危険なのです。
図を見てください。
差動信号の(+)の電圧を0-+5V、(-)の電圧を0--5Vとすると、ドライバはGDを基準(0V)として±5Vを出力します。しかしレシーバ側はどうでしょう。レシーバはGRを基準(0V)として±5Vを受けなければなりませんが、GDとGRは絶縁されていますので(+)(-)信号がGRに対して不確定になります。2つの信号間電圧は確かに0-10Vと確定していますが、GRと各信号間の電圧は不明です。これでは、レシーバが確実に信号を受信するとは言えませんね。しかしながら多くの場合この2結線のみで送受信できるというのは、GDとGRが両者共に大地(フレーム等)に接地されていなければ、電線で2結線した折にGDとGRが概ね同電位になるからです。といっても高いインピーダンスで電位が保たれるので、この場合の同電位は脆弱なものです。よって、安定した送受信を行うためには下図のようにGDとGRを電線で結び、3結線にしなければならないのです。
*(-)の電圧を便宜上0--5Vとしましたが、実際は負論理の0-+5Vです。
もし、ドライバとレシーバの距離が比較的近く、GDとGRが共にアルミや鉄などの共通フレームに落ちて(接続されて)いれば、GDとGRを結線したことと同じですから、この場合は2本の信号線のみでオッケーということになりますね。
*電線で3結線した場合、GDとGRを両方フレームに落としたらダメですよ。フレームグランドは必ずどちらか一方だけにします。
[終端抵抗]
レシーバ側につないでいるRtは終端抵抗(ターミネータ)です。終端抵抗は「反射」による信号劣化を防ぐものです。水をはった風呂桶に小石をポチャンと投げ込むと、そこを中心に波が広がりながら伝わって行き、風呂桶の淵に達すると波は跳ね返って戻ってきますね。あれが「反射」です。そして反射した波は後から来た元の波にぶつかって乱れます。電線を伝わるパルス信号も波ですから電線の先端で反射します。しかし、もし電線が無限大の長さであれば、理屈上、反射は起きませんね。実は、終端抵抗を付けることにより、電線は無限大の長さと等価になるのです。よって反射は発生しません。ツイストペアの場合、終端抵抗の値は100~120Ωと概ね決まっています。電線における反射の詳細については「特性インピーダンス」をキーワードとして検索してみてください。
関連記事:
反射と終端抵抗、周波数と電線長 2010-01-16
ノイズと対策 ツイストペア、シールド線 2010-02-05
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では、RS485のドライバとレシーバを電線で結ぶ場合、差動なのだから(+)と(+)、(-)と(-)を結ぶ2本の線でいいのでしょうか?実際としてはこの2結線で通信できてしまう場合が多いようです。ほとんどの場合は2線で通信できるとも言われます。しかし実はこの2結線は危険なのです。
図を見てください。
差動信号の(+)の電圧を0-+5V、(-)の電圧を0--5Vとすると、ドライバはGDを基準(0V)として±5Vを出力します。しかしレシーバ側はどうでしょう。レシーバはGRを基準(0V)として±5Vを受けなければなりませんが、GDとGRは絶縁されていますので(+)(-)信号がGRに対して不確定になります。2つの信号間電圧は確かに0-10Vと確定していますが、GRと各信号間の電圧は不明です。これでは、レシーバが確実に信号を受信するとは言えませんね。しかしながら多くの場合この2結線のみで送受信できるというのは、GDとGRが両者共に大地(フレーム等)に接地されていなければ、電線で2結線した折にGDとGRが概ね同電位になるからです。といっても高いインピーダンスで電位が保たれるので、この場合の同電位は脆弱なものです。よって、安定した送受信を行うためには下図のようにGDとGRを電線で結び、3結線にしなければならないのです。
*(-)の電圧を便宜上0--5Vとしましたが、実際は負論理の0-+5Vです。
もし、ドライバとレシーバの距離が比較的近く、GDとGRが共にアルミや鉄などの共通フレームに落ちて(接続されて)いれば、GDとGRを結線したことと同じですから、この場合は2本の信号線のみでオッケーということになりますね。
*電線で3結線した場合、GDとGRを両方フレームに落としたらダメですよ。フレームグランドは必ずどちらか一方だけにします。
[終端抵抗]
レシーバ側につないでいるRtは終端抵抗(ターミネータ)です。終端抵抗は「反射」による信号劣化を防ぐものです。水をはった風呂桶に小石をポチャンと投げ込むと、そこを中心に波が広がりながら伝わって行き、風呂桶の淵に達すると波は跳ね返って戻ってきますね。あれが「反射」です。そして反射した波は後から来た元の波にぶつかって乱れます。電線を伝わるパルス信号も波ですから電線の先端で反射します。しかし、もし電線が無限大の長さであれば、理屈上、反射は起きませんね。実は、終端抵抗を付けることにより、電線は無限大の長さと等価になるのです。よって反射は発生しません。ツイストペアの場合、終端抵抗の値は100~120Ωと概ね決まっています。電線における反射の詳細については「特性インピーダンス」をキーワードとして検索してみてください。
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