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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

スコットトランスのしくみ

2009-10-03 23:19:48 | 電子回路
二相交流というのはあまり耳慣れない言葉ですね?
家庭用の扇風機は単相交流、現在の電車のモータは三相交流電ですが、かつては電車も二相交流モータを使用している時期(区間)があり、現在もなお少数残っているようです。(ちなみに回転磁界を考案したニコラ・テスラが最初に作った交流誘導モータは二相交流だったそうです。1883年)複相交流は線間に位相差があるが故の交流ですが、この二相交流の位相差は90°です。

現在でも各所で使用されている二相交流ですが(新幹線の架線は二相交流から単相を取出している)、発電所から送電されるのは三相交流ですから、三相を二相に変換する必要があります。そのために「スコットトランス」と呼ばれる変圧器があります。さて、この覚えやすい名前のスコットトランスとは、どのようにして三相を二相に変換しているのでしょう。

図を見てください。
1次側va-vbの線間電圧を2次側のU相に、vcの相電圧をV相に変換しています。ベクトル図から、2次側U相の電圧はベクトル図のVabに等しく、vcに対してπ/2(90°)の位相差であることがわかります。(いそがずに、じっくり見てください)

よってvcとVは1次巻線と2次巻線の比を1:√3とすれば、Vの大きさがUと等しくなり、U-Vは位相差が90°の二相交流になります。名前の通りスコットさんが考案したのでしょうが、実に巧妙ですね。

関連記事:
「相電流(相電圧)と線間電流(線間電圧)」2009-09-25
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コメント (3)
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