クレヨンしんちゃん「温泉わくわく大決戦」
公開 1999/4/17
監督 原恵一
いまだに信じ難いのですが、これが、本当にあの「暗黒タマタマ」や「戦国大合戦」「オトナ帝国」を監督した原恵一の作品?と思わず呟いてしまいました。クレヨンしんちゃんは一貫して、ストーリーや描写の中に、主題としての家族の絆や家族愛が強く語られているのですが、本作にほとんどそれが感じられることはありません。これがいつもの野原一家とはとても思えないのです。ラストではまるで押し売りかのように「家族!」「家族!」「家族!」と彼らは連呼しますが、絵はそれをまったく伝えてくれず、言葉はむなしく消え去ります。しんちゃん流のウィットの効いたギャグも皆無に近いと言えます。オリジナリティも非常に薄く、ネタのほとんどが多方面の既存作からの流用です。およそ「作品」から伝統と新しさを取去れば一体何が残るのでしょう。本作はこの問いにあっけらかんと答えています。つまりもっとも重要な「魂」が入れられていないのです。本当に「しんちゃん映画」シリーズとしては珍しい、底の浅いドタバタ喜劇ですが、一体何を狙ったのでしょう。小学生の低学年辺りなら楽しむかな?とは思えます。ただ、まったく別の観点から、これが「嵐を呼ぶジャングル」「オトナ帝国」と続く、一転してグレードの高い作品の一作前であることは大変興味深くはあります。たぶん何か事情があったのでしょうね。
公開 1999/4/17
監督 原恵一
いまだに信じ難いのですが、これが、本当にあの「暗黒タマタマ」や「戦国大合戦」「オトナ帝国」を監督した原恵一の作品?と思わず呟いてしまいました。クレヨンしんちゃんは一貫して、ストーリーや描写の中に、主題としての家族の絆や家族愛が強く語られているのですが、本作にほとんどそれが感じられることはありません。これがいつもの野原一家とはとても思えないのです。ラストではまるで押し売りかのように「家族!」「家族!」「家族!」と彼らは連呼しますが、絵はそれをまったく伝えてくれず、言葉はむなしく消え去ります。しんちゃん流のウィットの効いたギャグも皆無に近いと言えます。オリジナリティも非常に薄く、ネタのほとんどが多方面の既存作からの流用です。およそ「作品」から伝統と新しさを取去れば一体何が残るのでしょう。本作はこの問いにあっけらかんと答えています。つまりもっとも重要な「魂」が入れられていないのです。本当に「しんちゃん映画」シリーズとしては珍しい、底の浅いドタバタ喜劇ですが、一体何を狙ったのでしょう。小学生の低学年辺りなら楽しむかな?とは思えます。ただ、まったく別の観点から、これが「嵐を呼ぶジャングル」「オトナ帝国」と続く、一転してグレードの高い作品の一作前であることは大変興味深くはあります。たぶん何か事情があったのでしょうね。