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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

トランス(変圧器)の原理③

2009-10-23 13:37:25 | 電子回路
「無負荷状態」のベクトル図は、下記の式で表される電圧、磁束、励磁電流の関係を示したものです。

v0=V0 cosωt
i0=I0 sinωt
φ=Φm sinωt

e1=E1 sin(ωt-π/2)
e2=E2 sin(ωt-π/2)
(2009/20/21付記事「トランス(変圧器)の原理①」を参照してください)

電圧V0に対して磁束Φmと励磁電流I0は共に90°遅れ(つまりΦmとI0は同相)、誘導起電力E1、E2はΦmより90°遅れるので、V0とE1、E2は逆相の関係にあります。


2.負荷状態
2次側に負荷を接続すると電流I2が流れます。すると起磁力N2I2がφに追加されるので1次側電流も変化しなければなりません。この新たな1次電流をI1とおけば、合成起電力はN1I1+N2I2となります。しかし

V0+E1=0
E1=-V0

は不変ですから次の式が成立ちます。

N1I1+N2I2=N1I0  -----①

ゆえに
N2I2=-N1(I1-I0) =-N1I1+  -----②

I1+ /I2=-N2/N1  -----③

ここで、I1+(=I1-I0)を「1次負荷電流」といいます。
式③より、「1次負荷電流と2次電流は逆相の関係にあり」大きさは巻数比に反比例します。

磁束Φmを電圧V0が要求する値に保つために「励磁電流I0は変わらず」、I2の起磁力を打消すためにI1+が流入すると考えることもできます。

1次電流I1はI1+とI0とのベクトル和で表されますが、図を見やすくするためにI0を著しく拡大して描いています。コアを有する変圧器であれば、きわめて軽負荷の場合を除き、I1とI1+はほとんど一致します。

関連記事:
「トランス(変圧器)の原理①」2009-10-21
「スコットトランスのしくみ」2009-10-03
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