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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

熱回路への誘い④

2009-09-14 13:33:37 | 電子回路
抵抗の温度上昇

ではいよいよ、抵抗の上昇温度にトライします。
抵抗器Rに定電圧Vを印加すると、電流Iが流れRI^2またはVI(W)の熱が発生し、Wtの熱量(J)によって抵抗器の温度が上昇します。これにより、抵抗器と周囲の空気との間に温度差が生じ、対流によって抵抗器から空気に放熱されます。なかなか厄介なメカニズムですが、これを熱回路で示すと上図のようになります。

熱回路図において

Rs セラミックの熱抵抗(抵抗の母材)
Cs セラミックの熱容量
RA 空気の熱抵抗

抵抗器Rは電流Iが流れることにより、熱(W:RI^2)を発生する定熱源(電気回路では定電流源)であり、熱WはRsを通りW1とW2に分流します。図からわかるように抵抗器の上昇温度ΔTはCsの端子温度ですが、熱Wが「定熱」(定電流)ですから、Rsに関わらず、Wは一定の大きさで流れます。よってRsはこの回路における存在の意味はなく、便宜上Rs=0とします。

熱回路のパラメータを求めていきましょう。
下図に抵抗器の外形図を示します。

図より5Wの抵抗の場合、セラミックの外形は、おおむねφ8長さ24mmの円柱です。
よって、半径0.4(cm)、長さ2.4(cm)の円柱の体積は以下のようになります。

セラミックの体積Vs=(0.4×0.4)×π×2.4 =1.21(cm^3) 
セラミックの質量=比重:3.5(g/cm^3)×体積:1.21(cm^3) =4.23(g)
セラミックの熱容量Cs=比熱:0.75(J/gK)×質量:4.23(g)=3.17(J/K)

抵抗の外周面積Ss=0.9×π×2.5+2×(0.4×0.4)×π =8.074(cm^2)
空気の熱伝達率h=0.0012(W/cm^2K)
空気の熱抵抗率b=1/0.0012(cm^2K/W)
空気の熱抵抗RA=1/(0.0012×8.074) =103.2(K/W)[熱抵抗率/面積]

必要なパラメータは以上です。


回路方程式
図の熱回路方程式をたてます。

定熱Wから見た回路のインピーダンスは、CSとRAの並列合成インピーダンスですから、ΔT(t)は次のようなラプラス変換式で表されます。
 
ΔT=(W/s)(RA/sCS)/ (1/sCS+RA) ----- ③

次回はこの式を解いて、求めたパラメータから結果に至ります。
さて、どうなることやら。

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