ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

新型インフルエンザで今行われている封じ込め対策は有効なのか?

2009年05月12日 | 新型インフルエンザ

検疫とは、特定の国や施設に出入りする人、輸出入される動物や植物及び食品等を一定期間隔離した状況に置いて、伝染病の病原体などに汚染されているか否かを確認することです。

検疫を意味する英語のquarantineは、イタリア語のヴェネツィア方言quaranti giorni (40日間の意)を語源としています。これは1347年のペスト大流行以来、疫病がオリエントから来た船より広がることに気づいたヴェネツィア共和国当局では、船内に感染者がいないことを確認するため、疫病の潜伏期間に等しい40日の間、疑わしい船をヴェネツィアやラグーサ港外に強制的に停泊させるという法律があったためです。

日本における検疫の手続は検疫法(昭和26年6月6日法律第201号)などの法令によります。検疫法は国内に常在しない感染症の病原体が国内に侵入することを防止することなどを目的として制定されているものです(検疫法第1条)。

検疫感染症とは、日本に常在しない感染症のうち、検疫法に規定され、検疫所が行う検疫の対象となるものです。流動的な事態への対処のために、その他の法律や政令によって特定の個々の疾患の追加等ができるよう含みをもたせています。具体的には現在、それらは「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」に示された一類感染症であるエボラ出血熱、クリミア‐コンゴ出血熱、ぺスト、マールブルグ熱、ラッサ熱、痘瘡、南米出血熱の7種類とマラリア、デング熱、鳥インフルエンザおよびその他の新型インフルエンザ等感染症となっています。

現在、日本では新型インフルエンザA(H1N1)に対する徹底した封じ込め対策が行われ、機内検疫、隔離、停留などの措置が実施され、毎日大々的に報道されています。しかし、現役の厚労省検疫官が、今の政府の封じ込め対策を批判している記事がインターネット上にありましたので転載させていただきます。

****** m3.com医療維新、2009年5月11日

新型インフルエンザ

「今の状況は政府が招いたパニック」
―厚労省検疫官・木村盛世氏に聞く

「大本営発表」を繰り返す厚労省、
医療者からの正しい情報発信が重要

木村盛世氏 筑波大学医学群卒業。米国ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院疫学部修士課程修了(MPH 公衆衛生学修士号)。内科医として勤務後、米国CDC多施設研究プロジェクトコーディネーター、財団法人結核予防会、厚労省大臣官房統計情報部を経て、厚労省検疫官。専門は感染症疫学。

聞き手・橋本佳子(m3.com編集長)

 「新型インフルエンザで封じ込め対策は無意味。今の検疫は人権侵害と問題視される可能性はないのか」。今の政府の対策を強く批判するのは、現役の厚生労働省検疫官(東京空港検疫所支所・検疫医療専門職)で、医師の木村盛世氏。WHO(世界保健機関)が推奨していない機内検疫を中止し、国内対策に重点を置くべきだと主張する。「厚労省は大本営発表を繰り返すだけ」と問題視する木村氏は、「医療者自らがWHOやCDC(米国疾病対策センター)などの情報を入手し、情報発信していくことが必要」と説く(2009年5月10日にインタビュー)。

 ――今の機内検疫などの封じ込め対策は無意味だと指摘されています。例えば、国際的には機内検疫などは行われていません。5月7日にWHOは改めて見解を示しており、(1)検疫に、疾患の広がりを減らす機能があるとは考えていない、(2)国際交通に大きな影響を及ぼす方策を取っている国は、WHOに公衆衛生的理由と、その行為のエビデンスを提出しなければならない、としています。

 歴史上、新型インフルエンザで封じ込め対策が有効だった例はありません。WHOは検疫、国境封鎖には意味がないと以前から指摘しており、現在、検疫を実施しているのは日本などごく一部の国です。WHOのほか、米保健福祉省(HHS;United States Department of Health and Human Services)の最高責任者も務め、WHO天然痘根絶チーム初代部長のD.A..ヘンダーソン率いるバイオディフェンスチームでも、検疫は有効ではないとしています。また2003年のSARSの流行時でも、検疫が有効でなかったという報告があります。

 さらに、CDCでは、5月5日に、学校閉鎖などは推奨しないとの声明も出しています。

 ――なぜ封じ込め対策は有効ではないのでしょうか。

 インフルエンザの臨床症状は咳や発熱などですが、これらを呈する疾患は多々あり、新型インフルエンザに特有の症状はない上、季節性のインフルエンザと新型インフルエンザは症状からでは区別が付きません。また、迅速診断キットの精度も100%ではなく、潜伏期間の問題もあります。WHOでは潜伏期間は最長1週間と言っていますので、3泊4日など短期間で帰国する人は検疫で把握することは難しい。また最近では、1週間で世界各国を周るビジネスマンもいますが、今の機内検疫はまん延国(メキシコ、米国、カナダ)からの便が対象なので、彼らが途中でまん延国に立ち寄ったとしても機内検疫を受けないことになります。

 インフルエンザは、日本語で言えば、流行性感冒。幸い、今回の新型インフルエンザは弱毒性です。にもかかわらず、政府は「日本で一人でも、流行性感冒の患者を発生させない」という姿勢なのですから、不可能なことを求めているのであり、狂気の沙汰としか思えません。インフルエンザ対策では、「いかに集団として免疫を獲得するか」を目指すことが必要です。その間、健康被害の発生を最小限に抑える、つまり感染者の数を抑え、かつ重症者を出さないかという姿勢が重要。「一人も感染者を出さない」のは無理なことなのです。

 封じ込め対策が有効なのは、天然痘など、見ただけで診断が付き、かつワクチンが有効であるなど感染拡大防止策が確立している疾患に限られます。

 ――政府は、検疫のためにサーモグラフィーを今回新たに151台購入したそうです(5月8日の参議院厚生労働委員会での民主党・足立信也氏の質問に対する厚労省の回答)。

 従来、サーモモグラフィーは1台約180万円だったのですが、今回購入したのは、新型インフルエンザ対応機種ということで、約300万円だったと聞いています。しかし、臨床試験などで有効性が確かめられたのでしょうか。

 また、機内検疫には国立病院の医師なども動員されていますが、それよりも国内対策、あるいは日常診療に携わっていただくべきではないでしょうか。

 機内検疫、停留措置や隔離は、検疫法に基づいて実施されていますが、検疫法は飛行機での渡航が一般的でない時代の法律。それを現代に当てはめているわけです。先日のBBC(英国国営放送)では、日本と同じく島国である英国のヒースロー空港と成田空港を比較していました。ヒースロー空港では機内検疫などは実施していません。あの報道を観た人には、日本の検疫は異様に映ったのではないでしょうか。停留対象となった方の人権問題などに発展する懸念もあります。

 ――では今、どんな対策に力を入れるべきなのでしょうか。

 先ほども言いましたように、今回の新型インフルエンザのウイルスは弱毒性ですから、まずパニックにならないようにすること。今、一番、パニックに陥っているのは政府ですが。疑い患者が出れば、「シロかクロか」と言う目で見る。それを記者会見し、マスコミも報道する。まるで罪人のように扱っています。

 そして、機内検疫などをやめ、国内の体制整備を行うことです。国民に対しては、具合が悪かったら、自宅静養するよう呼びかける。流行性感冒の基本はホームケアです。また「咳エチケット」、つまり自身が咳などをしている人にはマスクの着用を徹底させることです。でも、なぜか日本は全く症状がない方がマスクをしています。マスクが感染予防になるというエビデンスはないのですが。

 今はパニック状態に近いですから、それを沈めるため、また新型インフルエンザの第二波でウイルスが強毒化する可能性は否定できませんし、高病原性の鳥インフルエンザの流行に備えて、発熱外来の整備を進めることも重要です。どうしても薬がほしい患者、重症化しそうな患者にはそこに来てもらう。

 「発熱外来」という発想がどこから来たのかは不明ですが、日本の医療機関の多くは個室の診察室を持っていないので、通常の外来とは別に、新型インフルエンザの疑い患者を診る場所は必要でしょう。例えば、国立国際医療センターなど公立病院の敷地に、陰圧室を持つプレハブを建てる。同センターには国際医療協力局があり、発展途上国に医師を派遣しています。国内が「非常事態」であれば、こうした医師を呼び戻し、各地の発熱外来での診察に当たってもらえばいいわけです。彼らは感染症の患者を見るのは専門ですから。

 こうした体制を整備しないまま、今の対策を続けることは、新型インフルエンザ以外の一般の患者、免疫力が低下した患者は「犠牲になってもいい」と言っていることと同じです。

 発熱外来などの整備が遅れるのは、法的な問題もあります。検疫法は厚労省の直轄ですが、国内で患者が発生した後は感染症法の管轄。厚労省は単に「やれ」と言えばいいわけで、それを実施するのは都道府県です。予算などがなければ、容易には進みません。

 ――厚労省が5月9日に事務連絡を出しました。迅速診断キットでA型陰性の場合は、まん延国への渡航者との接触歴など、疫学的関連の有無など慎重に調べることを求める内容です。

 これは、「今、日本の新型インフルエンザの感染者は一人もいない」という前提での対策でしょう。

 ――なぜ日本での対策は、水際対策と国内対策がアンバランスであり、国際的に見ても特異な形になっているのでしょうか。

 米国は、医療の面では問題がありますが、少なくても公衆衛生については世界のトップです。公衆衛生は「国防」です。つまり海外から、未知のウイルス、細菌が入ってきて、国内社会が混乱するのを避けるために、CDCを中心に公衆衛生に取り組んでいるわけです。WHOも結局は各国政府の寄り合い所帯であり、CDCなどの動きを見ている状況です。

 しかし、日本には「国防」という発想がなく、公衆衛生の専門家が厚労省で指揮しているわけではありません。私は、ハンセン病とHIV感染、日本は過去二度も誤った感染症対策をしてきたと思っています。今回が三度目になる懸念を持っています。

 ――最後に、医療者に向けて今、注意すべき点などがあれば、お願いします。

 今の厚労省の発表は、太平洋戦争時の「大本営発表」と同じ。「厚労省の言うことは信じるな」と言いたいくらいです。医療者には知的レベルが高い人が多いですから、WHOやCDCなど海外のしかるべき機関から、正しい情報を直接入手していただきたいと思います。そして、マスコミ、国民に正しい知識を持ってもらうよう、多くの医療者から情報発信をしていけば、今の状況が改善するのではないでしょうか。私自身も、様々な形で情報発信していきたいと考えています。

(m3.com医療維新、2009年5月11日)

**** 読売新聞、2009年5月12日11時10分

「新型」致死率、100万人超死亡「アジアかぜ」並み…WHO

 新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の致死率は、世界で100万人以上が死亡した1957年のアジアかぜ並みの0・4%で、感染力も季節性のインフルエンザより高いとする分析結果を、世界保健機関(WHO)と英国、メキシコの研究チームがまとめた。12日、米科学誌サイエンス電子版に緊急報告された。

 メキシコ政府は12日現在、新型による感染者数は2059人、死者数56人と公表している。しかし実態は不明で、新型の正確な致死率や感染力は分かっていない。

 研究チームは、データが正確な欧米の感染者数を基に、メキシコの出入国者数、感染者の広がりなどから逆算し、メキシコでは4月末までに6000~3万2000人の感染者が発生、致死率は0・4%に上るとする推計をまとめた。

 その結果から、致死率は約4000万人が死亡したとされるスペインかぜ(1918年)よりは低いが、アジアかぜレベルの強さがあると見ている。感染力についてはスペインかぜなど過去の新型インフルエンザに比べると、同等かやや低いが、季節性のインフルエンザよりは高いと見られるとしている。

 流行は2月中旬にメキシコ・ベラクルス州のラグロリアで始まったと見られ、この地域では15歳未満の61%が発症したのに対し、15歳以上は29%の発症率にとどまっていた。研究チームは「重症度は、国の医療事情などによって変わるだろう。今後も、詳しい症例データを収集する必要がある」と指摘している。

(読売新聞、2009年5月12日11時10分)

**** 読売新聞、2009年5月12日10時49分

世界の感染者5200人突破

…新たにキューバで確認

 【リオデジャネイロ=小寺以作】キューバ保健省は11日、メキシコ人学生1人が、新型インフルエンザに感染したことを確認したと発表した。

 キューバでの感染例は初めて。世界全体の感染者は日本、中国を含め32か国・地域で5268人に達し、死者は61人となった。

 一方、メキシコ保健省は11日、同国の感染者が2059人になったと発表した。死者は56人にのぼった。また、米国の疾病対策センター(CDC)は11日、米国内の感染者が44州で2600人になったと発表した。

(読売新聞、2009年5月12日10時49分)


新型インフルエンザ 国内感染4人目

2009年05月10日 | 新型インフルエンザ

コメント(私見):

4月24日、WHOが「メキシコと米国で豚インフルエンザの人への感染が相次ぎ、メキシコ市周辺で死者60人前後」と発表しました。米疾病対策センター(CDC)が同日、米国内の豚インフルエンザが「人から人」へ感染するウイルスであったと断定しました。

新型インフルエンザA(H1N1)の感染者数は、最初の発表から2週間余りで、30か国と地域であわせて4千人を超すまでに急拡大しました。北半球ではこれからウイルスの活動が鈍る夏に向かうので、感染拡大の勢いが次第におさまっていくかもしれませんが、逆に南半球ではこれからウイルスの活動が活発になる冬に向かうので、感染拡大の勢いが増してゆくかもしれません。

人類と新型インフルエンザウイルスとの戦いは地球規模の長期戦で、人類が存続する限りこれからも果てしなく続きます。新型インフルエンザウイルスによる健康被害を最小限にくい止めるために、それぞれの立場で今できることを皆で確実に実行していくしかありません。

**** NHKニュース、2009年5月10日7時45分

新型インフル 国内感染4人目

 新型インフルエンザへの感染が国内で初めて確認された高校生ら3人と同じ便で帰国した大阪の男子高校生が、国立感染症研究所の検査で新型インフルエンザの患者と確定しました。国内で新型インフルエンザの感染が確認されたのは4人目になりました。

 新型インフルエンザに感染していることが確認されたのは、8日午後、ノースウエスト航空25便でアメリカのデトロイトから帰国した大阪府の男子高校生です。厚生労働省によりますと、この生徒は新型インフルエンザへの感染が国内で初めて確認された高校生ら3人とともにカナダのオンタリオ州を訪問し、帰国後、感染している疑いがあるとして10日間、空港近くのホテルにとどめられる「停留措置」の対象になっていました。その後、発熱やせきなどの症状を訴えて感染症の指定医療機関に搬送され、千葉県衛生研究所で遺伝子検査を行ったところ、新型インフルエンザのウイルスが検出されました。さらに東京の国立感染症研究所が行った最終的な検査で新型インフルエンザと確定し、国内で新型インフルエンザの感染が確認されたのは4人目になりました。厚生労働省によりますと、感染が確認された4人は、先月24日からほかの生徒と引率の教員あわせて32人といっしょにカナダを訪問し、オンタリオ州の高校との交流事業に参加していたということです。この交流事業には大阪府内の3つの高校が参加しましたが、4人はいずれも同じ高校の生徒と教員だということです。一方、停留措置の対象者で、9日、体調の不良を訴えていたほかの高校生6人は、遺伝子検査の結果、インフルエンザに感染していないことがわかりました。

(NHKニュース、2009年5月10日7時45分)

**** NHKニュース、2009年5月10日20時39分

高校生 カナダ同行中に感染か

 新型インフルエンザの4人目の感染が確認されたことを受けて、厚生労働省の新型インフルエンザ対策推進室の難波吉雄室長が10日夕方に記者会見しました。この中で難波室長はまず4人の容体について、「治療薬の投与などにより、熱も下がってきており、全体的に症状は軽いか安定している」と述べ、回復に向かっているとの認識を示しました。また難波室長は「停留」措置の対象となったあと、10日朝に感染が確認された男子高校生の感染経路について、「専門家の分析が必要だが、帰りの機内で感染してすぐに発症したというよりは、同行している間に感染したのではないか」と述べ、カナダでの交流事業に参加している間に感染し、潜伏期間を経て発症したという見方を示しました。

(NHKニュース、2009年5月10日20時39分)

**** NHKニュース、2009年5月10日18時9分

感染 30か国4300人超

 新型インフルエンザは、中米のコスタリカで初めて感染によって男性1人が死亡したことが確認され、死者は4か国で53人となったほか、感染した人の数は30の国と地域であわせて4300人を超えました。

 コスタリカで9日、新型インフルエンザの感染によって男性1人の死亡が初めて確認されたほか、メキシコでは死者の数が3人増えました。さらに、アメリカ西部のワシントン州の保健当局は、男性1人の死亡が確認されたと発表しました。これで、新型インフルエンザで死亡した人は、メキシコで48人、アメリカで3人、カナダとコスタリカでそれぞれ1人のあわせて53人になりました。一方、アメリカのCDC=疾病対策センターは9日、アメリカで感染した人が600人余り増えて2254人になったと発表したほか、ヨーロッパで感染者が最も多いスペインでもさらに2人の感染が確認されるなど、感染した人の数は30の国と地域であわせて4392人となりました。感染が確認された人を国や地域ごとに見ますと、アメリカが最も多く2254人、メキシコで1626人、カナダで280人、スペインで95人、イギリスで47人、フランスで12人、ドイツで11人、イタリアとコスタリカで8人、ニュージーランドとイスラエルで7人、ブラジルで6人、日本で4人、韓国、オランダ、グアテマラ、パナマで3人、エルサルバドル、ノルウェーで2人、香港、オーストラリア、ポルトガル、スイス、オーストリア、アイルランド、スウェーデン、デンマーク、ポーランド、コロンビア、それにアルゼンチンでそれぞれ1人となっています。

(NHKニュース、2009年5月10日18時9分)

**** 産経新聞、2009年5月10日7時58分

新型インフル 学校で感染拡大も 集団行動の予防策急務

 日本で初めて新型インフルエンザの感染が確認されたのは、感染地であるカナダに語学研修旅行に行った高校生の一行だった。「水際」で判明したため、感染拡大を食い止めることができたが、米国やカナダで感染が広がったのも集団行動する学校だった。通常の季節性インフルエンザと違って、若者に感染者が多いことも指摘されている。感染拡大の引き金になりかねない「学校」の予防対策が求められている。 

 世界保健機関(WHO)が4月29日、警戒度を「4」から「5」に引き上げた理由の一つは、米国やカナダの学校で患者が増加したことだった。米国ではニューヨーク市のセント・フランシス高校で40人以上の集団感染が発生。生徒の中に、「新型」の震源地とされるメキシコへの旅行者がいたことがわかっている。カナダ東部のノバスコシア州の高校でも集団感染が確認された。

 米疾病対策センター(CDC)は「季節性」と違って、感染、発症者が若者に集中していることに注目する。4月15日~5月5日の感染者642人(生後3カ月~81歳)のうち60%が18歳以下だった。その理由として、ベッサー所長代行は「高齢者になんらかの免疫があるか、発生国であるメキシコは若者に人気の旅行先。若者同士の交流の中で感染が広がった」と指摘している。

 「季節性」でも、学校は感染の大きな“媒介”になっており、長期の休みになると流行はいったんおさまるが、学校が始まると再燃する傾向にある。

 「新型」の感染力は、「季節性」と同様か少し強いぐらいで1人から1~4人とされている。ウイルスの毒性も「弱毒」で、抗ウイルス剤タミフルやリレンザが効く。むやみに恐れる必要はないが、通常のインフルエンザでも日本で年間1万人(推定)が死亡しているといわれる。今回は水際で食い止めることができたが、「学校」「集団行動」「若者」と危惧(きぐ)する要素が重なるほど、感染が拡大する恐れも強まる。 【杉浦美香】

(産経新聞、2009年5月10日7時58分)

****** 読売新聞、2009年5月10日

「封じ込め」より早期治療…WHO

 【ワシントン=山田哲朗、ジュネーブ=平本秀樹】新型インフルエンザの感染例が最初に見つかってから3週間以上たつ米国では、ウイルスの毒性が弱いとわかってきたこともあり、冷静な対応が目立っている。

 米政府は国内感染者が20人になった4月26日、「非常事態」を宣言したが、国民に大きな動揺は見られなかった。米ハーバード大が5月8日に発表した電話調査では、「1年以内に家族が感染する懸念はない」と予測した人が61%に上り、米国内の楽観的なムードを反映した。

 米疾病対策センター(CDC)は1日、疑わしい生徒が見つかった学校に14日間の休校を勧告。一時700校が休校したが、ウイルスが「弱毒性」であることがはっきりしたことを受け、休校勧告は6日に撤回され、大半の学校が再開した。

 世界保健機関(WHO)も、国民生活や経済活動を過度に制約する対策を勧めていない。警戒水準については最高の「フェーズ6」への引き上げを検討しているが、渡航制限や国境閉鎖は引き続き行わないよう各国に要請する方針だ。

 シルビ・ブリアン・インフルエンザ対策部長代理は8日、空港での水際対策の限界を指摘。軽症者がほとんどという「実態」に「対策」を合わせるべきだと述べ、「封じ込め」より感染の早期発見、早期治療の方が重要になるとの見解を示した。

(読売新聞、2009年5月10日)

**** 信濃毎日新聞・社説、2009年5月10日

国内感染 長期的な視点で冷静に

 日本で初めての新型インフルエンザの感染者が確認された。カナダから帰国した大阪府在住の高校生2人と教諭1人だ。

 国境を越えた往来が盛んな現代では、国内で感染者がでるのは時間の問題とみられていた。多くの人が冷静に受け止めたのではないだろうか。

 成田空港で見つかったことから、厚生労働省は国内での発生とはみなさないとしている。だが、検疫には限界がある。今後も水際で食い止める努力を続ける一方、国内での感染を前提にした対策が大事になる。

 3人は4月末から短期留学でカナダに滞在していた。8日に成田空港に到着して感染が確認され、病院で治療を受けている。搭乗者の一部も、宿泊施設にとどまったり、病院で検査を受けたりして経過をみる措置がとられている。

 今回は、検疫が一定の防波堤になった。引き続きチェック態勢をとり、ウイルスの国内侵入や感染の広がりを防ぐ必要がある。

 ただ、現実には国内での感染を防ぐのは難しいだろう。

 感染者はメキシコ、米国、カナダをはじめ、スペインやイギリスなど約30カ国に上る。世界保健機関(WHO)は、「感染の勢いが衰えていない」とし、警戒を強めている。広がりは速く、予断を許さない状況だ。

 日本でも初めて患者がでたことで、2次、3次の感染も懸念される。長期的な視点から、予防や治療の対策を強化したい。

 政府は、引き続き的確な情報を迅速に流し、事態に応じて行動指針を国民に分かりやすく伝える必要がある。さらに、タミフルなどの治療薬の確保やワクチンの開発に万全を期すべきだ。要となる専門機関などのマンパワーも充実させなければならない。

 自治体には、地域の検査・治療態勢の整備をはじめ、学校、乳幼児、高齢者施設などを中心に、対策の強化を求めたい。

 とくに、孤立しがちなお年寄りや障害者、母子家庭などにしわ寄せがいかないように、きめ細かな支援を整えておくことがポイントになる。

 いまのところ、新型インフルエンザの病原性は「通常のインフルエンザと同程度」(国立感染症研究所)とみられている。過度に神経をとがらせることはない。人間関係がぎすぎすしないような配慮も大切だ。

 手洗いやうがい、マスクの着用といった通常のインフルエンザ対策にあらためて力を注ぎたい。

(信濃毎日新聞・社説、2009年5月10日)

****** 毎日新聞・社説、2009年5月10日

国内で感染確認 長期戦に備え基本策を

 豚由来のウイルスによる新型インフルエンザの感染が国内で確認された。初のケースとはいえ、十分に予想された事態である。落ち着いて対処したい。

 同時に、国内で感染が広がることは避けられないと覚悟する時でもある。秋冬まで視野に入れた長期戦に備え、基本的な対策の徹底を確認しておきたい。

 医療機関は発熱外来を整備し、感染拡大を防ぎつつ患者を受け入れる準備を早急に整えなくてはならない。それには政府の支援もいる。感染者が増えれば、学校や保育所などが臨時休業になることもあるだろう。先を見越した準備が必要だ。

 今回の新型インフルエンザは弱毒と考えられ、抗ウイルス剤も効く。日本の行動計画は重い症状を起こすウイルスを想定しており、状況に応じた柔軟な対応が求められる。

 一方で、油断は禁物だ。新型インフルエンザの病原性が、季節性インフルエンザと同程度でも、人々には免疫がない。感染者や重症者が多く出る恐れは十分にある。季節性インフルエンザでも、年間、国内で1万人程度が死亡し、多い時には3万人が死亡する年もある。

 スペイン風邪の時のように、第1波よりも、第2波で重症者が増える可能性も念頭に置いておく必要がある。初めの流行が小規模でも、秋に備えたい。

 メキシコや米国の状況から、症状が重くなりやすい「ハイリスク」の人々がいると考えられる。その条件を明らかにし、弱者を守る対策をたてていくことも重要な課題だ。

 重症者を減らすには、まず感染を広げないことだ。そのためには、個人にも感染防止策が求められる。こまめに手を洗うことは大事だ。感染を疑う症状がある人は、できるだけ外出を避けてほしい。自分は治っても、ハイリスクの人を危険にさらすことにつながる。

 医療機関の対応も鍵を握る。新型インフルエンザの疑いがないのに、発熱者の診療を拒否するような過剰反応を慎むのは当然だ。一方で、発熱者が病院に押し寄せ、病院が感染拡大の場となったり、機能不全に陥ることも心配される。政府は不安な点を整理し、早急に手を打つべきだ。

 国の行動計画では感染がまん延した場合には軽症者には自宅療養が勧められる。そうであれば、往診や、抗インフルエンザ薬を自宅に届けるシステムも構築すべきではないか。

 一人一人がどう行動すべきか、医療機関はどう対応すべきか。今後、国民への情報提供はますます重要になる。政府は、事態の推移に応じ、迅速で具体的なメッセージを発していくことが欠かせない

(毎日新聞・社説、2009年5月10日)

**** 産経新聞、2009年5月10日7時57分

新型インフル 「侵入」想定 長期戦へ冷静に

 新型インフルエンザの感染が国内でも確認された。しかし、政府が取る警戒態勢の水準は今後も変わらない。一部で停留措置が取られなかった乗客が出たのは懸念材料だが、3人の感染確認は空港での検疫段階で行われており、「水際対策」が機能していると判断されたためだ。

 政府は現在、事前に定められた行動計画上で「第1段階(海外発生期)」として整備されてきた対策を実行している。具体的には「ウイルスの国内侵入を防止」を最大目的に、検疫徹底や在外邦人への情報提供強化、発熱外来や相談窓口の整備、タミフルなど抗ウイルス薬の備蓄確認などの手が打たれてきた。

 ただ、水際対策は機能してはいるが、「それは時間稼ぎに過ぎず、国内での感染は時間の問題」(舛添要一厚生労働相)というのも確かだ。今後は現在の警戒レベルを維持しつつ、「第2段階(国内発生早期)」に定められている「ウイルスの拡大を防止」を目的にした施策の弾力的な運用を検討する場面も出てきそうだ。

 「第2段階」では、患者との接触者に対する外出自粛とタミフルの予防投与や、集会・外出の自粛要請など、個人や企業の活動を制限する項目も盛り込まれており、国民生活への影響も大きい。

 大切なのは、冷静に対応していくことだ。専門家たちは、ウイルスが弱毒性である可能性を指摘している。抗ウイルス薬に効果があることも判明している。誰でも可能なマスクや手洗いといった簡易な対策が、感染防止に力を発揮することも指摘されている。

 留意したいのは、「隔離」「停留」といった強い強制措置が取られる人たちへの配慮だ。周囲への感染防止と治療のために、期間を限定して取られる保護措置であって、法に反したために取られる措置とは決定的に異なるものであることを確認しないといけない。

 大型連休最後の週末を迎え、海外で休暇を楽しんだ多くの人たちが続々と帰国している。水際対策にも限界がある。

 長期戦になることも踏まえ、冷静に対応すべき段階に入った。 【赤堀正卓】

(産経新聞、2009年5月10日7時57分)


新型インフルエンザ 国内初の感染確認

2009年05月09日 | 新型インフルエンザ

コメント(私見):

日本国内でも、新型インフルエンザ感染が初めて確認されました。今回、新型インフルエンザ感染を確認された3人は、現在、成田市内の感染症指定医療機関で隔離されて治療を受けています。また、患者の周りの座席の乗客ら計49人が、検疫法に基づき宿泊施設に10日間隔離されることになりました。

ただ、新型インフルエンザ感染が確認された人は、29か国で合わせて3456人もいます。今回のGWを海外で過ごした人は何十万人もいますから、海外で新型インフルエンザに感染した人も少なくないと思われます。ウイルスに感染しても症状が発現するまでには数日かかります。帰国時に症状がまだ出てなければ検疫でのチェックの対象外で、そのまま検疫をすり抜けて、既に帰国している人も少なくないと考えられます。

今後は、日本国内での人から人への感染例が爆発的に増えていくことも、十分に予想されます。身近なところで新型インフルエンザに感染した人が多く確認されるようになるのも時間の問題と考えられます。そうなった時に、我々はいかに対応していくのか?みんなで綿密に作戦を練っておく必要があります。これからが正念場だと思います。

**** NHKニュース、2009年5月9日18時18分

新インフル 国内初の感染確認

 カナダでの交流事業に参加し、8日、成田空港に帰国した大阪府の高校生ら3人が、国内で初めて新型インフルエンザに感染していることが確認されました。感染の拡大を防ぐため、近くのホテルに滞在する措置がとられている49人のうち、高校生7人が発熱やせきなどの症状を訴え、詳しい検査を行って新型インフルエンザに感染していないか調べることにしています。

 新型インフルエンザに感染していることが確認されたのは、8日午後、アメリカのデトロイトから成田空港に帰国した大阪府の男子高校生2人と40代の男性教員のあわせて3人です。厚生労働省によりますと、この3人は検疫の簡易検査で陽性反応を示し、東京の国立感染症研究所でウイルスの遺伝子検査をした結果、新型インフルエンザに感染していることが確認されました。国内で新型インフルエンザの感染者が確認されたのは初めてです。厚生労働省は、この3人を検疫法に基づいて成田市内の感染症指定医療機関に隔離し、治療を進めています。大阪府教育委員会によりますと、この3人は、先月24日から、ほかの生徒と引率の教員あわせて33人といっしょにカナダのオンタリオ州を訪問し、地元の高校との交流事業に参加していたということです。厚生労働省は、この33人と、機内で近くに座っていた乗客や乗員16人のあわせて49人についても、感染の拡大を防ぐため、今月18日までの10日間、近くのホテルに滞在してもらう「停留」措置をとりました。このうち高校生7人が発熱やせきなどの症状を訴え、簡易検査では陰性でしたが、念のため、詳しい検査を行って新型インフルエンザに感染していないか調べることにしています。一方、感染した高校生のうち1人は機外に出たあと症状を訴えたため、周辺に座っていて本来、停留の対象となる乗客が最大で11人そのまま入国したということで、保健所を通じて連絡を取っています。また、同じ旅客機に乗っていたほかの乗客についても、保健所から定期的に連絡を取って健康状態を確認することにしています。

(NHKニュース、2009年5月9日18時18分)

**** 朝日新聞、2009年5月9日13時35分

国内初の新型インフル感染確認 

成田帰国の大阪の3人

 厚生労働省は9日、成田空港の検疫で、米デトロイト発の便で帰国した大阪府内の日本人男性3人が、新型の豚インフルエンザに感染していることを確認したと発表した。国立感染症研究所でウイルスの遺伝子検査をした結果、新型インフルの陽性反応が出た。国内で感染者が確認されたのは初めて。

 厚労省や府教委によると、感染が確認されたのは大阪府寝屋川市の府立高校の教員(46)と生徒2人(いずれも16)の計3人。市内の府立高3校の教員と生徒合わせて36人で、4月24日~5月7日に語学研修のためカナダのオークビルに滞在し、米デトロイトを経由して、ノースウエスト航空25便で8日午後4時半過ぎに成田に到着した。

 同便の乗客・乗員は約410人。3人のうち教員1人と生徒1人は、成田で検疫官が乗り込んだ機内で症状が確認された。厚労省は、生徒らの近くに座って「濃厚接触」の可能性がある乗客(最大52人)や、同行者らのうち、合わせて乗客47人、乗員2人の計49人に空港周辺の施設などにとどまってもらっている。検疫法にもとづき到着から10日間空港近くの宿泊施設で過ごしてもらう。濃厚接触の52人のうち13人は国外に出たという。

 3人のうち1人は機内検疫の際には検疫官に体調不良を訴えず、サーモグラフィーでも発熱が見つからなかった。大阪方面への乗り継ぎのために機外に出てから体調不良を訴えた。

 この1人が機内で座っていた席の周囲には、濃厚接触した可能性がある乗客らが最大11人いた。本来は空港近くの宿泊施設などにとどまってもらう対象だが、すでに入国したり、乗り継いで日本を出てしまったりした可能性がある。舛添厚労相は「感染する危険性がある」と話し、厚労省は全乗客に連絡を試みる。連絡がつけば地元の都道府県知事が自宅待機を求める。

 教員は発熱やせき、関節痛などの症状があった。生徒2人は鼻水とせきがあり、うち1人は熱があった。3人は8日夜から千葉県成田市内の病院に入院。9日朝の時点で教員は熱があるが、生徒2人に熱はない。

 政府は9日午前、新型インフルエンザ対策本部の幹事会を首相官邸で開き、当面はメキシコなどから到着した便を対象とした現行の検疫態勢を維持することを確認した。空港での検疫段階で見つけたことから政府は「国内発生」に当たらないと判断。「ただちに国内の感染拡大につながる可能性は低い」として、渡航制限などの新たな段階の対策にすぐには移行しない。世界保健機関(WHO)に感染者3人の確認を届け出る。

 同日朝、記者会見した舛添厚労相は「(国内発生にすると)国民の経済活動や自由な動きを制限しなければならない。まだそこまでやらなくてもいいだろうという判断」と話した。

 3人とも検疫の簡易検査でA型のインフルエンザと診断された。さらに同研究所でウイルスの遺伝子検査をしたところ、A型だが、通常の季節性インフルエンザのA香港型ではないことがわかり、さらにウイルスの表面にあるたんぱく質が、新型でA型の豚ウイルスと同タイプだった。カナダ政府のホームページによると、8日現在で同国内の新型インフルエンザ感染者は計242人。オンタリオ州は最も多い61人。

(朝日新聞、2009年5月9日13時35分)

**** 読売新聞、2009年5月9日6時45分

新型インフル、国内初の感染確認

…大阪の高校生ら3人

 厚生労働省は9日午前、カナダへの短期留学から米国発の航空機で8日夕に成田空港(千葉県成田市)に帰国した、大阪府立高校の男子生徒2人と40歳代の男性教諭の計3人について、国立感染症研究所(感染研)での遺伝子検査の結果、いずれも新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)への感染が確認されたと発表した。

 国内で新型インフルエンザへの感染者が見つかったのは初めて。

 政府は近く世界保健機関(WHO)に日本での感染例として報告するが、指針の「行動計画」上は、入国前の検疫時の発見で国内での感染ではないとして現在の「第1段階(海外発生期)」から「第2段階(国内発生期)」に引き上げず、引き続き水際対策を徹底する方針。

 厚労省では9日午前8時半から舛添厚労相が記者会見する。

 厚労省や大阪府教育委員会によると、短期留学は大阪府立高校3校による国際交流事業で、3校の生徒30人と付き添いの教員6人の計36人が参加。4月24日から5月7日までカナダ・オンタリオ州オークビル市内の3高校を訪問していた。

 一行は8日午後4時40分頃、米デトロイト発のノースウエスト機で成田空港に到着。その際の機内検疫で、教諭と男子生徒1人にせきなどの症状があり、簡易検査でA型インフルエンザが陽性と判明した。

 その後、もう1人の男子生徒も同様の症状を訴えてA型陽性が確認されたため、同空港検疫所で3人の検体についてウイルスの遺伝子検査を実施したが、深夜になって電気系統のトラブルで検査が中断。

 同時に検体を送っていた感染研による遺伝子検査で9日早朝、3人の新型インフルエンザ感染が確認された。

 感染確認を受け、3人は検疫法に基づいて成田市内の感染症指定医療機関に隔離入院され、治療を受けている。8日時点の体温は高校教諭が38・6度、男子生徒は37・1度と36・1度だった。

 残る生徒28人と引率教諭5人、さらに近隣座席の乗客14人と担当客室乗務員2人の計49人も感染の恐れがある「濃厚接触者」として、9日朝まで空港近くの宿泊施設で待機した。今後は同法に基づいて近くの別の宿泊施設で10日間留め置かれ、医師が毎日、健康状態を確認。仮に発症した場合は抗インフルエンザ薬の投与を受ける。

 その他の乗客についても今後、同検疫所が居住地の都道府県に連絡し、地元の保健所が一定期間、電話などで発症の有無を確認する健康観察を行う。

 WHOの警戒度の引き上げを機に政府が新型インフルエンザ対策本部を設置した4月28日以降、この3人のケースが判明するまでに、計17人の「疑い患者」があったが、検査の結果、いずれも新型でないことが確認されていた。

(読売新聞、2009年5月9日6時45分)

**** 朝日新聞、2009年5月9日13時53分

現地で発熱したが予定通り帰国 

大阪府教委会見

 マスクの未着用、教員も発熱したが予定通り帰国……。大阪府教育委員会が9日午前から計3回開いた記者会見などで、学校や府教委の対応に疑問が浮かびあがった。

 一行が滞在中にカナダなどで感染が広がり、府教委は4月28日、対策本部を設置。3校にメールで、生徒の健康観察の徹底▽手洗いやマスク着用の励行▽カナダ国内の感染状況の情報収集▽帰国後も10日間は学校で健康観察を続ける――の4点を通知した。しかし、指示は徹底されなかった。引率教員らは主な滞在先のオークビル一帯でも感染者が確認されたことについて把握せず、生徒はマスクもつけていなかったという。

 高校側は5月1日、マスクを50枚発送し、現地に5日までについたが、引率の教員が「現地は平穏でマスクをつけていると周囲に違和感を持たれる」と判断し、着用を見送った。その後、姉妹校で授業を受けたり、トロントで大リーグの試合を観戦したりした。マスクをそろって着用したのは、出国間際だったという。

 生徒の1人が発熱したのは5日夜。6日朝、教員に付き添われて、現地の病院で診察を受けた。インフルエンザについての詳しい検査はなく、問診とのどを見て「風邪」と診断された。この診断を受け、教員が同日午後、「発熱した生徒が1人いるが、新型インフルエンザではないと診断を受けたので予定通り帰国する」と高校にメールを送った。

 教員が発熱したのは6日夜。パーティーに出ていたとき熱っぽいと感じて、途中でホストファミリー宅に戻ったという。それでも予定通り、帰国の途についた。

 中西正人教育長は「結果的に対応が甘かったということになる。反省すべき点はある」と語った。カナダで感染が広がる中、帰国を早めるよう勧告しなかった点については、「高校側から報告を受ける限りでは、帰国を促す事態にはいたっていないと判断した」と説明した。

(朝日新聞、2009年5月9日13時53分)

****** 読売新聞、関西、2009年5月9日

マスク着けず、学校「対応は適切」

…国内初新型インフル

 新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)について、世界保健機関(WHO)がメキシコでの大規模感染を明らかにしてから半月、日本国内で初めて感染者が確認された。カナダでの国際交流を終えて8日夕に帰国した大阪府内の府立高校生2人と引率教諭。府教委や高校は「残念なことになった」と繰り返したが、感染が拡大する現地でマスクを着用せずに観光地を巡るなど、学校側の判断に疑問を残した。厚生労働省は9日早朝から、同じ航空機に乗っていた人の追跡調査を急ぎ、健康への注意を呼びかけた。

 生徒2人と教諭の感染が確認された寝屋川市内の府立高校では午前9時半、校長が正門前で記者会見し、「残念な結果だが、学校の対応は適切だった」と繰り返した。

 同高はカナダでの感染拡大を受け、4月28日、交流事業に参加した他の2校と今後の対応を協議。「現地のコーディネーターが『周辺に感染者がいないので問題ない』と言っている」などの説明があったため、健康管理の徹底を確認し、同30日、メールで引率教諭に健康チェック用のシートを送付したという。

 現地では、シートに基づいて発熱やせきの有無など10項目を毎日確認したが、トロントで大リーグの試合を観戦した5日の夜、生徒の一人が発熱。翌朝、ホームステイ先のホストファミリーの紹介で病院で受診し、抗生物質を処方された。インフルエンザの検査はなく、教諭が「新型インフルエンザではないですね」と尋ねたところ、医師は「それはない。風邪です」と答えたという。

 発熱した生徒は6日のお別れパーティーに出席し、成田空港で感染が確認された。病院に同行した教諭も同日夜に発熱し、同空港で感染が判明した。

 校長によると、4日に引率教諭に対し、生徒にマスクを着用させるように指示したが、9日に教諭に再確認したところ、「現地でマスクをしている人がおらず、集団でつけていると奇異の目で見られると思って着用させなかった」と説明を受けたという。

 不特定多数が集まる大リーグ観戦やナイアガラの滝観光などを中止しなかったことについては「引率教師やコーディネーターと頻繁に連絡を取り、問題ないと判断した」と釈明した。

 午前8時50分から体育館で臨時の全校集会が開かれ、校長は「生徒の症状は重くないので安心してほしい。学校での感染はなく通常通り授業を行う」と話した。

(読売新聞、関西、2009年5月9日)

**** 共同通信、2009年5月9日11時54分

潜伏期間考慮し49人10日隔離 

飛沫感染、周囲2m対象

 新型インフルエンザ感染が9日判明した高校生ら3人に関し、厚生労働省は患者の周りの座席の生徒ら計49人を、検疫法に基づき宿泊施設に10日間隔離した。隔離はウイルスの潜伏期間を考慮し、感染の恐れがある人に取られる措置で、17日まで宿泊施設に滞在する。

 新型インフルエンザは季節性のインフルエンザと同じく、飛沫感染が主な感染経路とされ、患者の前後左右3列ずつ、約2メートル以内にいた乗客や乗員が感染の可能性が高いとされ、隔離の対象となる。今回は患者と行動をともにしていた学校関係者もすべて対象とした。

 期間中、医師が1日1回は健康状態を確認し、これらの人が発症した場合は、9日に感染が判明した患者と同様に感染症指定医療機関に入院、治療を受ける。

 また生徒1人はいったん飛行機を降りてから症状を訴えたため、この生徒の周囲に座り、既に入国した乗客が最大で11人いる可能性があり、所在確認を急ぐ。同じ便の搭乗者は既に帰宅するなどしているが、提出された健康状態の質問票に基づいて、10日間、地元保健所が継続的に電話などで連絡を取って健康状態を把握することにしている。

(共同通信、2009年5月9日11時54分)

**** NHKニュース、2009年5月9日15時38分

感染は3456人 死者48人

 新型インフルエンザは、感染が確認された日本人も訪れていたカナダで初めて死者が出たほか、ニュージーランドで新たに2人の感染が確認され、感染した人は29の国と地域であわせて3456人、死亡した人は3か国で48人になりました。

 カナダ保健省は、8日、西部アルバータ州で先月28日に死亡した30代の女性が新型インフルエンザに感染していたことを明らかにし、カナダで初めての死者が確認されました。また、ニュージーランド保健省は、9日、新たに2人の感染を発表しました。これまでに感染した人は、29の国と地域であわせて3456人、死亡した人はメキシコ、アメリカ、カナダの3か国であわせて48人に上っています。感染が確認された人を国や地域ごとにみますと、▽アメリカが最も多く1639人、▽メキシコで1364人、▽カナダで242人、▽スペインで93人、▽イギリスで39人、▽ドイツで11人、▽フランスで12人、▽イタリアで8人、▽ニュージーランドとイスラエルで7人、▽ブラジルで6人、▽日本、韓国、オランダ、グアテマラで3人、▽エルサルバドルとパナマで2人、▽香港、オーストラリア、ポルトガル、スイス、オーストリア、アイルランド、スウェーデン、デンマーク、ポーランド、それにコスタリカ、コロンビア、アルゼンチンでそれぞれ1人となっています。

(NHKニュース、2009年5月9日15時38分)


奈良病院宿直賃金訴訟: 医師側も控訴

2009年05月08日 | 地域周産期医療

コメント(私見):

奈良県立病院の宿直賃金訴訟で、奈良地裁は、宿日直勤務は時間外割増賃金の支払いを命じましたが、宅直勤務に関しては時間外労働として認めませんでした。

被告の奈良県側は、実際に働いていない時間も時間外割増賃金の対象とする奈良地裁の判決を不服として、大阪高裁に控訴しました。

原告の産婦人科医側も、宅直勤務が時間外労働として認められなかったことを不服として控訴しました。

周産期医療や救急医療などの医療現場では、通常の業務が24時間365日切れ目なく続いていますので、少ないスタッフで業務を遂行していこうとすれば、どうしても長時間・過重労働となってしまいます。

現在稼働している産科施設のほとんどで、労働基準法違反が常態化しています。しかし、過酷な勤務を前提とした今の労働環境のままでは、誰も我々の後を継いではくれないでしょう。今後、すべての産科施設で労働基準法を厳格に遵守しなければならないということになれば、少ないギリギリのスタッフで回している産科医療の基本構造を根本から変えていく必要があります。

奈良県が判決不服で控訴 産科医の時間外手当訴訟

産科業務と労働基準法

医師の当直勤務は「時間外労働」、割増賃金支払い命じる判決

**** m3.com医療維新、2009年5月8日

原告・被告ともに控訴、奈良・時間外手当等請求裁判 時間外の勤務時間の算定方法、オンコールの扱いが争点

橋本佳子(m3.com編集長)

 奈良県立奈良病院の産婦人科医2人が、未払いだった「時間外・休日労働に対する割増賃金」(以下、時間外手当)の支給を求めた4月22日の奈良地裁の一審判決に対し、被告である県は5月1日に、原告は5月2日にそれぞれ控訴した。

 判決では、「宿日直勤務は、実際に診療に従事した時間だけではなく、待機時間を含めてすべて勤務時間」であると判断、A医師に736万8598円、B医師に802万8137円の支払うよう、奈良県に命じた。ただし、宅直(オンコール)については、「病院の指揮命令系統下に置かれているとは認められない」とされ、手当の支払い対象にはならないとされた。

 原告は割増賃金の基礎額拡大とオンコール手当を請求

 原告の控訴理由は主に二つ。(1)時間外手当の割増賃金の計算に当たって、その算定基礎額の対象をより広く取るべき、(2)オンコールに対しても、手当てを支払うべき、という点だ。(1)について、奈良地裁判決では、「給与、調整手当、初任給調整手当、月額特殊勤務手当」を算定基礎額としたが、「期末手当、勤勉手当、住居手当」も加えるべきと主張している。一審判決で請求が認められた分に加えて、産婦人科医2人分の合計で、約2700万円を請求している。

 提訴時は2004年と2005年の2年分の時間外手当の支払いを求めていたが、2004年10月25日以前の分については、消滅時効期間が経過しているとされた。この点については控訴理由としていない。

 県は「待機時間は手当支払いの対象ではない」と主張

 一方、県側が控訴したのは、以下の3つの理由で、宿日直勤務の労働時間や割増賃金の計算方法を問題視している。

 (1)勤務時間中24%の時間を通常業務に従事していたことをもって宿日直勤務時間のすべての割増手金(労働基準法第37条的係)の対象とする判決は適切でなく、実態として通常業務に従事していたか否かにより、宿日直勤務時間を切り分け、それぞれ割増賃金、宿日直手当(労働基準法第41集第3号関係)の対象とすべきである。
 (2)宿日直勤務時間中は、労働から離れることが保障されているとはいえないことをもって宿日直勤務時間のすべてを労働時間(労働基準法第32粂関係)とする判決は適切でなく、診療を行っていない待機時間は実態に即して労働時間からは外すべきである。
 (3)職員給与については、地方自治法、地方公務員法の規定により、条例で定めなければならないとあり、割増賃金の井定基礎については、条例の定めとは異なった判断である。

 奈良県福祉部健康安全局長の武末文男氏は、「今回の判決は、奈良県だけではなく、全国の病院に突きつけられたものではないか。宿日直勤務が労働基準法に抵触するかどうかという課題であり、医療法と労基法の宿日直の整合性も含め、上級審だけではなく、国の判断・教示を仰ぎたい」と語る。

 また、医師の宿日直に関しては、2002年に「通常業務の延長であれば、時間外の割増賃金の支払い対象になる」という通知が出ている(厚生労働省労働基準局長通達基発第0319007号)。この通知が今回の判決の根拠になっているが、「通知と現実とのかい離を、どう埋めるべきか、幅広い議論が必要であり、本県としても国などに働きかけていく」(武末氏)。 

 なお、二人の産婦人科医は、2006年と2007年の分についても、未払いの時間外手当の支払いを求めて、別途提訴している。本件はまだ一審判決に至っていないため、奈良地裁と大阪高裁で並行して裁判が続けられることになる。

(m3.com医療維新、2009年5月8日)

****** 毎日新聞、2009年5月8日

奈良病院宿直賃金訴訟:医師側も控訴

 奈良県立奈良病院(奈良市)の産婦人科医2人の宿日直勤務に対し、奈良県に時間外割増賃金など約1540万円の支払いを命じた先月22日の奈良地裁判決について、原告の産婦人科医側が大阪高裁に控訴した。

 控訴は2日付。原告側弁護士は、自宅待機する「宅直」が時間外労働と認められなかったためとしている。県側は既に控訴している。【高瀬浩平】

(毎日新聞、2009年5月8日)

****** 共同通信、2009年5月8日

時間外訴訟、産科医も控訴

 県立奈良病院(奈良市)の産科医2人が当直勤務の時間外割増賃金などの支払いを県に求めた訴訟で、一部勝訴した産科医側が2日付で大阪高裁に控訴したことが7日、分かった。県は1日に控訴している。

 原告の代理人弁護士によると、4月22日の奈良地裁判決では認められなかった、休日も自宅で呼び出しに備える「宅直勤務」を労働時間扱いにするよう求める。

(共同通信、2009年5月8日)


感染確認 26か国2400人超

2009年05月08日 | 新型インフルエンザ

新型インフルエンザに関する Q and A

4/29 豚インフルエンザ関連のニュース

4/30 WHO、警戒水準をフェーズ5へ引き上げ 新型(豚)インフルエンザ

5/1 横浜の高校生、新型インフルエンザには感染してなかったことが判明 (厚労省の会見)

5/2 新型インフルエンザ アジアで初の感染確認例についての報道

5/4 感染確認 20か国1000人超

5/5 感染確認 21か国1400人超

5/6 感染確認 22か国1600人超

**** NHKニュース、2009年5月8日19時46分

感染確認 26か国2490人

 新型インフルエンザは、南米のブラジルとアルゼンチンで新たに感染が確認されたほか、アメリカで感染した人が254人増え、これまでに感染が確認された人は、26の国と地域であわせて2490人に上っています。

 ブラジルのテンポラン保健相は7日に記者会見し、メキシコやアメリカから帰国したあわせて4人の感染が初めて確認されたと発表したほか、アルゼンチンでもメキシコから帰国した男性1人の感染が初めて確認されました。また、アメリカのCDC=疾病対策センターは、アメリカ国内で新たに254人の感染が確認され、これまでに感染した人は41の州であわせて896人に上っています。これで、新型インフルエンザの感染が確認された人は、26の国と地域で、あわせて2490人、死亡した人はメキシコとアメリカであわせて46人となっています。感染が確認された人を国や地域ごとにみますと、▽メキシコで1204人▽アメリカで896人▽カナダで214人▽スペインで81人▽イギリスで34人▽ドイツで11人▽フランスで10人▽イスラエルで7人▽ニュージーランドとイタリアで5人▽ブラジルで4人▽韓国で3人▽エルサルバドルとオランダで2人▽香港、オーストリア、スイス、デンマーク、アイルランド、ポルトガル、スウェーデン、ポーランド、コスタリカ、コロンビア、グアテマラ、アルゼンチンでそれぞれ1人となっています。

(NHKニュース、2009年5月8日19時46分)

**** 共同通信、2009年5月8日2時47分

米国で感染急拡大 欧州の増加が焦点

 【ジュネーブ7日共同】米疾病対策センター(CDC)は7日、米国内で新型インフルエンザに感染した人の数が41州の計896人に上ったと発表した。5日時点の403人から2倍以上に急拡大した。

 英国やフランスでは7日も感染者が増加。世界保健機関(WHO)は世界的大流行(パンデミック)の正式認定となる警戒水準(フェーズ)の「6」への引き上げの是非をめぐり、感染状況の分析を精力的に続けた。焦点は感染者が急増中の英国とスペイン。「引き上げは時間の問題」と話す関係者もおり、緊迫した状況が続いている。

 WHOでインフルエンザ対策全般を統括するフクダ事務局長補代理は7日の定例記者会見で、警戒水準を現時点では「5」に据え置く考えを示した。一方、WHO事務局内には「内部の評価としては既に『6』だ」との認識が出ているほか、引き上げの是非を事務局長に勧告する緊急委員会のメンバーに、委員会開催に備えて待機要請が出されている。

 各国の保健当局がインフルエンザ対策に忙殺される中、WHOは同日、最重要会議である総会の会期を当初予定の今月18-27日から18-22日に大幅短縮することで基本合意した。

 一部のWHO関係者によると、感染疑いの人に対する米欧間の検査基準に違いがあるほか、欧州連合(EU)内の調整が難航。パンデミック認定に予想以上の時間がかかっているもようだ。

 英国とスペインの感染確認数はそれぞれ34人と81人で、メキシコや米国、カナダに次ぐ感染数。欧州で、感染源の特定が不可能な地域社会レベルの感染拡大が確認されれば、パンデミックが認定される。

 英、スペイン両国で既に「人-人-人」の感染報告が出ているとの情報もあるが、フクダ氏は6日、一部記者団に対し、感染は学校内など閉鎖的な空間に限られており「感染源が特定できないような地域社会レベルの流行に至ったとの証拠はない」と警戒水準維持の理由を説明した。

(共同通信、2009年5月8日2時47分)

****** 産経新聞、2009年5月7日

「Xデー」は11日!? 新型インフル“日本上陸説”

GW中に海外で感染、知らぬまに…

 ゴールデンウイークで海外に出かけた人の帰国ラッシュが続くなか、日本国内での新型インフルエンザ疑い例も続出している。いまのところ感染確認者は出ておらず、オオカミ少年のような騒ぎの連続に国民の緊張感はゆるみつつあるが、そんな油断をつくのが新型インフルエンザの怖いところだ。「新型インフルはすでに上陸している」という指摘もある。連休が明け、人の流れが戻ったところで新型インフルが牙をむく可能性は高い。

 新型インフルエンザは、深刻な感染国であるメキシコと米国で死者や感染者が増え、世界全体での感染確認は7日までに死者44人を含めて2000人を超えた。米国ではテキサス州の30代の米国人女性が今週初めに死亡し、メキシコ人以外で初の死者となった。米疾病対策センター(CDC)は6日、感染者が221人増えて642人に達したと発表した。メキシコでは同日、死者が13人増えて42人になり、死者を含む感染者は1122人となった。

 スウェーデンとポーランドでも、米国から帰国したそれぞれ50代と58歳の女性の感染が6日までに確認された。東欧での感染は初。これにより感染者は24カ国・地域に拡大した。

 世界的に感染が広がるなか、日本は水際作戦が功を奏しているように見えるが、「すでに国内へ侵入している可能性がある」と専門家は指摘する。その理由は、新型インフルの威力が通常のインフルエンザ並みとみられるからだ。病原性が弱いゆえに発熱もなく、海外で感染してもほとんど症状が出ないまま帰国している人が大勢いるはず、というのだ。

【発熱など症状出ないまま】

 とくに気になるのは、日本人に人気の観光地であるハワイ・オアフ島で3人の感染者が初めて確認されたこと。米国内の感染者も41州に拡大しており、日本でいつ感染者が出てもおかしくない状況だ。

 「病原性が低いほど、ウイルスの伝播効率はむしろ高い。新型インフルエンザは誰も抗体を持っていないので、病原性そのものは強くなくても広範な健康被害が出てくることは考えられる」と、国立感染症研究所新型インフルエンザウイルスセンターの田代眞人センター長は語る。

 すでに日本国内に侵入していると仮定すると、新型インフルの“餌食”となりやすいのは、ゴールデンウイーク明けの疲労満載の人々だ。実際、今回の新型インフルでは、糖尿病などの慢性疾患を抱えた人の感染や死亡が目立つ。メタボで疲労たっぷりな人は、新型インフルの病原性が弱くても、症状は重くなりやすいので注意が必要だ。

 そうなると、ことは海外帰国者だけの問題ではなくなる。渡航歴のない人でも、疲労が蓄積した状態ならたやすく感染し、それらの人たちが会社や学校内の“感染源”となる恐れは十分ある。慣れて忘れたころに大流行-これこそが、新型インフルの恐怖であり、そのXデーは、ゴールデンウイークが明けた11日以降と予想される。

【ワクチン完成まで数カ月】

 もちろん、専門家はそうした事態も織り込み済み。現在の水際作戦は、「国内への侵入を遅らせ、ワクチン開発やタミフルの備蓄など、流行に少しでも備える」(専門家)ことを目的に展開されている。

 すでに新型インフルのウイルスは日本に到着し、ワクチン開発に着手できる段階。ただし、ワクチンができあがるまでには数カ月かかる。新型のワクチンと通常の季節性インフルエンザワクチン製造のどちらを優先するかという問題もあり、時間はまだかかる。ゴールデンウイーク明け、ついに日本でも感染が始まるのか、それともオオカミ少年のままで終わるのか…。

(産経新聞、2009年5月7日)

****** 朝日新聞、2009年5月5日

発症7日以内に治療すれば大半回復 メキシコの専門医

 【サンパウロ=平山亜理】新型の豚インフルエンザが最初に発生したメキシコで、治療の最前線にいる国立呼吸器系疾患研究所付属病院(メキシコ市)の専門医、アンハラ・イゲラ感染症部長が3日、朝日新聞の電話インタビューに答え、発症後7日以内に治療を受けた人のほとんどは回復していると明らかにした。

 イゲラ部長によると、死亡例の大半は、今回の新型インフルエンザの知識がないまま、症状が重くなるまで、ただの風邪だと思い、高額の負担につながる医療機関で受診せず、市販薬で治そうとした人たち。発症後15日間を過ぎるまで治療を受けなかった人の96%が死亡している。

 今回の新型インフルエンザでは、メキシコにほとんどの死者が集中していることが最大のなぞとされてきた。専門医によるこうした証言は、低所得者層の医療へのアクセスの悪さが、特に流行初期の段階で高い死亡率につながった可能性を裏づけるものだ。

 この病院は、転院も含めて新型インフル症例を国内最多規模で扱っている。これまでに新型インフルの疑いの濃い重症者が136人入院し、うち21人が死亡した。世界保健機関(WHO)の検査で、21人のうち5人はすでに新型インフルと確認された。

 手遅れになってから受診したことによる死亡例は、メキシコ政府もまだ事態を認識していなかった3月下旬から4月上旬までが多かった。現在はインフルエンザに関する知識が広まった結果、初期症状が出てすぐ通院する人が増えたこともあり、ここ数日は死者は出ていないという。

 入院した重症者136人でみると男性が74%、女性が26%と男性が多く、年齢は15歳以上64歳未満に集中していた。タクシー運転手や美容院従業員、医師や看護師ら、人と接する機会の多い職業の人が多い。また、公共交通機関を利用する傾向も高かった。

 潜伏期間は個人差があるが、家族間などで感染時期が特定できるケースから推定すると、感染後3~7日たって発症する。39度程度の高熱とともにせきや鼻水が出て、頭痛や筋肉痛、腹痛や下痢症状を訴える。緑か黄色のたん、場合によっては血の混ざったたんが出る。発症後72時間後ごろから、肺炎を併発して重症化、特に重い場合は多臓器不全を起こして死亡に至る例が多いという。

 イゲラ部長は、発症して7日以内の抗ウイルス剤タミフル投与などの治療は明らかに有効だとした。ただし、心臓病や糖尿病など他の病気を患っている場合はタミフルが効かない例もみられたという。

 一方、こうした情報のメキシコ政府による集約は後手に回った可能性もある。米疾病対策センター(CDC)の調査報告によると、メキシコ初の発症例は3月17日。保健省の担当部局が全国の病院に警告を出し、通常見られないような重症の肺炎例の報告を求めたのは、1カ月後の4月17日のことだった。

(朝日新聞、2009年5月5日)

****** 共同通信、2009年5月3日

長期戦、確実な情勢に アジアの拡大、特に警戒

 新型インフルエンザは、アジア初の患者が1日に香港で、2日は韓国でも確認され、日本上陸もいよいよ切迫した事態になってきた。世界的な流行規模やウイルスの病原性は今後どうなるのか。流行の拡大が収まる気配はなく、長期戦となるのはほぼ確実な情勢だが、専門家は、これから冬に向かう南半球や、既に鳥インフルエンザの人への感染があり、医療態勢も不十分なアジアの発展途上国での拡大を特に警戒している。

 ▽南半球が心配

 流行の端緒となったメキシコ、米国をはじめ、これまでに感染者が確認された国のほとんどは北半球。しかし国内の専門家は、北半球とは季節が逆で、今月以降、本格的なインフルエンザ流行期を迎えるニュージーランドなど、南半球での拡大を心配している。

 「流行期には温度や湿度をはじめ、インフルエンザウイルスが拡大しやすい環境がより整っている」(西村秀一(にしむら・ひでかず)国立病院機構仙台医療センターウイルスセンター長)とみられるためだ。国立感染症研究所感染症情報センターの谷口清州(たにぐち・きよす)室長も「ウイルスの感染力が強い場合、冬の間に患者が一気に増える恐れがある。そうなると、通常のインフルエンザと見分けるのは難しいだろう」と話し、対策が取りにくくなる事態を懸念する。

 ▽繰り返す流行

 感染者数の増加にブレーキがかかる様子は今のところ全くみられない。仮に今後、感染者数が減少に転じたとしても「終息と考えるのは早計」と専門家は口をそろえる。

 20世紀に発生した新型インフルエンザのスペイン風邪(1918年)、アジア風邪(57年)、香港風邪(68年)の世界的大流行では、いずれも最初の流行が起きた後、数カ月から1年程度の間隔を置いて「第2波」が押し寄せた。

 例えば日本でのスペイン風邪流行の場合、18年11月ごろに第1波の死者のピークがあり、20年1月ごろに第2波のピークがあったが、死亡率は第2波の方が高かったとされる。極めて変異しやすいことで知られるインフルエンザウイルスが、人への感染を繰り返すうち、病原性が強まる方向に変異した可能性も指摘されている。今回の新型インフルエンザウイルスも、現状では重症例は少ないとされるが、今後変異して病原性が強まることはないのか、予断を許さない。

 ▽途上国に打撃

 岡部信彦(おかべ・のぶひこ)・国立感染症研究所感染症情報センター長は「途上国に新型インフルエンザが入った場合、被害拡大の恐れは大きい」と話す。医療態勢が不十分なうえエイズや結核など別の感染症のまん延もあるため、深刻な健康被害が出る恐れがある。特に、鳥インフルエンザ(H5N1型)との重複流行の恐れもあるアジアの情勢は気になる。

 H5N1型による死亡者が4月までに25人に上る中国では、2003年に大流行し、国内で約350人が死亡した新型肺炎(SARS)を教訓に、新型インフルエンザを「法定伝染病」に指定、通報制度を創設するなど、政府の迅速な対応ぶりが目立つ。

 「新型を制圧する自信と能力はある」と、陳竺(ちん・じく)衛生相。だが13億の人口を抱える中国に新型インフルエンザが上陸すれば、感染者数はけた違いに増え、死者も相当な数に及ぶ可能性がある。

 世界保健機関西太平洋地域事務局(マニラ)の葛西健(かさい・けん)感染症対策官は「鳥インフルエンザ問題を抱え、新型発生を念頭に準備してきたアジア各国の対応能力はこの数年で大きく向上した。H5N1以前と現在では、相当な違いがある」と指摘するのだが。

(共同通信、2009年5月7日)


感染確認 22か国1600人超

2009年05月06日 | 新型インフルエンザ

専門家の以下の見解が示されました。

・ 新型インフルエンザの病原性は、通常のインフルエンザと同程度である。

・ 感染力の強さから流行は急速に広がる恐れがあり、感染拡大を抑え健康被害を減らす努力は絶対に必要である。

・ 新型インフルエンザでは60代以上で重症化した人がほとんどいない。高齢者が何らかの免疫を持っている可能性もある。

**** NHKニュース、2009年5月6日18時33分

新型インフル 感染1656人

 新型インフルエンザは、メキシコやアメリカで、新たに80人の感染が確認され、これまでに世界で感染が確認された人は、22の国と地域で1656人に上っています。

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 メキシコ政府は5日、国内の新型インフルエンザの感染者が76人増えて942人になったとことを明らかにしました。このうち死亡した人は、29人に上っています。またアメリカでは、新たにハワイのオアフ島で3人の感染が確認され、感染が確認された人は、全米50州のうち39州であわせて407人になりました。このうちテキサス州の保健当局は、呼吸器系の病気を患い、今週初めに死亡した36歳の女性が、新型インフルエンザに感染していたことを確認したと発表しました。さらに▽カナダで165人、▽スペインで73人、▽イギリスで28人、▽ドイツで9人、▽ニュージーランドとイタリアで5人、▽フランスとイスラエルで4人、▽韓国とエルサルバドルで2人、▽香港、オーストリア、スイス、オランダ、デンマーク、アイルランド、ポルトガル、コスタリカ、コロンビア、グアテマラでそれぞれ1人、感染が確認されています。これで、世界でこれまでに感染が確認された人は、あわせて22の国と地域で1656人に上っています。

(NHKニュース、2009年5月6日18時33分)

**** 共同通信、2009年5月6日21時15分

病原性は通常インフル並み  高齢者に免疫?専門家見解

 世界保健機関(WHO)の新型インフルエンザに関する委員会メンバーの田代真人国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長は6日、同研究所の記者会見にテレビ中継で参加し、新型インフルエンザの病原性について「通常のインフルエンザと同程度」との見解を示した。

 注目すべき特徴としては60代以上の重症患者がほとんどいない点を挙げ、理由は不明としながらも、この世代が何らかの免疫を持っている可能性も考えられるとした。

 死者が多いメキシコの状況については「未報告の感染者が多いとみられ、実際の致死率は低い」との見方を示した。

 病原性について田代氏は従来「弱毒性」との見方を示しているが、今回はより具体的な見解を明らかにした。しかし感染力の強さから流行は急速に広がる恐れがあるとして「拡大を抑え健康被害を減らす努力は絶対必要だ」と強調した。

 田代氏は、通常のインフルエンザでは高齢者が重症化しやすく肺炎も多いが、新型では「不思議なことに60代以上で重症化した人がほとんどいない」と指摘。感染国の高齢者が何らかの免疫を持っている可能性もあるとしたが「現時点で理由は説明できない」とした。

 メキシコの状況については、当初は肺炎で死亡した若者が多く、致死率は高いとの報告があったが、感染確認は少なかったとして「実際の致死率は低いと考えられる。患者数は今報告されている数百人ではなく、数万人ではないか。症状が軽く医療機関に受診しない患者がたくさんいると推定される」とした。

(共同通信、2009年5月6日21時15分)


感染確認 21か国1400人超

2009年05月05日 | 新型インフルエンザ

コメント(私見):

海外では新型インフルエンザの感染が拡大していますので、いずれは日本国内にもウイルスは持ち込まれることになると予想されますが、現時点では、国内で新型インフルエンザの感染はまだ確認されていません。

季節性インフルエンザの感染者数は、冬のピーク時と比べるとかなり減少してきましたが、今の季節でも、インフルエンザ迅速診断キットで陽性になる患者さんは時々いらっしゃいます。御家族がインフルエンザと診断されていて症状も同様という時には、いちいちインフルエンザの検査をしない場合もあります。妊婦さんのインフルエンザに対してタミフルが処方される場合もまれではありませんが、一般にどんな薬でも妊婦さんには使いづらい面があり、私の場合は、普段から使い慣れている漢方薬を処方して様子を見ることの方がむしろ多いです。いずれにしても、通常の季節性インフルエンザであれば、1週間以内に症状が軽快する場合が多いです。

*** NHKニュース、2009年5月5日19時48分

感染確認 1400人余に

 新型インフルエンザは韓国で新たに1人の感染が確認され、世界でこれまでに感染した人は21の国と地域で1400人余りに上っています。

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 韓国政府は、5日、ソウル郊外に住む44歳の女性が新型インフルエンザに感染していたことが確認されたと発表しました。韓国での新型インフルエンザの感染者は2人目です。女性は、最初に感染が確認された51歳の女性といっしょに生活していたということで、症状は回復し、6日には退院する予定だということです。これで、世界全体で感染した人の数は21の国と地域で1434人に上り、このうち死亡した人はメキシコで26人、アメリカで1人のあわせて27人となっています。国や地域の内訳は、▽メキシコで802人、▽アメリカで367人、▽カナダで140人、▽スペインで57人、▽イギリスで27人、▽ドイツで8人、▽ニュージーランドで6人、▽イタリアで5人、▽フランスとイスラエルで4人、▽韓国とコスタリカ、それにエルサルバドルで2人、▽香港、オーストリア、スイス、オランダ、デンマーク、アイルランド、ポルトガル、それにコロンビアでそれぞれ1人となっています。

(NHKニュース、2009年5月5日19時48分)

*** NHKニュース、2009年5月5日8時15分

フェーズ6 現段階で予定なし

 新型インフルエンザをめぐり、WHO=世界保健機関のチャン事務局長は、現段階では警戒レベルを最高のフェーズ6に引き上げる予定はないという認識を示し、各国に冷静な対応を求めました。

 ニューヨークの国連本部で、4日、新型インフルエンザをめぐって総会で協議が行われ、国連のパン・ギムン事務総長が出席したほか、WHOのチャン事務局長がジュネーブからテレビ中継で参加しました。

 この中で、まず、チャン事務局長は、新型インフルエンザの警戒レベルを世界的な大流行を示すフェーズ6に引き上げるかどうかは、今後、北米以外の地域でもヒトからヒトへの感染が持続的に広がるかどうかにかかると指摘したうえで、「現在はまだその段階にはない」と述べ、各国に冷静な対応を求めました。

 そのうえで、チャン事務局長は「世界じゅうの人に同時に行き渡るだけのワクチンなどを製造する能力はないのが現実だ」として、「生まれた場所によって、治療が受けられたり受けられなかったりすることは避ける必要がある」と述べて、対策を進めるにあたって、途上国への支援が重要だと強調しました。

 これについて、パン事務総長は「地球規模で連帯を発揮するときだ」と述べて、途上国へ新型インフルエンザ対策の資金援助を拠出するための国際会議を再来週ジュネーブで開催すると発表しました。 

(NHKニュース、2009年5月5日8時15分)

*** NHKニュース、2009年5月5日8時15分

米CDC 症状は比較的軽い

 アメリカのCDC=疾病対策センターは、新型インフルエンザの感染地域の拡大は今後も続くという見方を示す一方、症状は季節性インフルエンザとほとんど変わらず、比較的軽いことなど、「勇気づけられる兆候がある」と指摘しました。

 CDCのベッサー所長代行は4日、記者会見し、アメリカ国内で「感染した可能性が高い」とみられる人の数が、44の州で700人を超えていることを初めて明らかにし、これまで感染が確認された36の州より地域がさらに広がるとの見通しを示しました。

 その一方で、ベッサー所長代行は、これまでの調査で、▽アメリカ国内の感染者の症状は季節性インフルエンザとほとんど変わらず、比較的軽いこと、▽ウイルスが、タミフルなどの治療薬への「耐性」を備えておらず、薬に効果があるとみられること、さらに、▽メキシコ国内では感染の拡大が収まる傾向が見受けられることをあげ、「勇気づけられる兆候が出ている」と指摘しました。

 また、今回の新型ウイルスのワクチン製造に踏み切るかどうかなど、今後の対策にあたっては、まもなく冬場を迎える南半球で感染が拡大を続けるのか、薬への耐性を備えるのかなどを注意深く監視しながら判断していく必要があるという認識を示しました。

(NHKニュース、2009年5月5日8時15分)

**** 共同通信、2009年5月5日15時37分

WHO「水準6」視野に地ならし 

緊張保持にも腐心

 【ジュネーブ5日共同】世界保健機関(WHO)は、新型インフルエンザの警戒水準について世界的大流行(パンデミック)の認定を意味する「フェーズ6」への引き上げが近くあり得ることを踏まえ、過剰反応を回避する「地ならし」を本格的に始めた。

 「6」に引き上げた場合の意味合いについてマーガレット・チャン事務局長は4日付スペイン紙に「世界の終わり」を意味しないと強調し、「無用のパニック」を避けたい意向を表明した。フクダ事務局長補代理ら幹部も今月に入り、欧州やアジアなど米州地域以外で「持続的感染」が確認されれば、警戒水準の定義上「5」が「6」に上がるだけだとの説明を定例記者会見などの場でし始めた。

 背景には、今回のウイルスが現時点では死亡や重症をもたらす確率がそれほど高くないとみられていることや、各国がパンデミック認定に身構える中、一方的に水準引き上げに踏み切ればWHO自体が「過剰反応」の批判を避けられないという懸念がある。

 新型ウイルスの特徴にはなお不明な点も多く、より強い健康被害をもたらすものに変化していくリスクがある。WHOは世界に「冷静な対応」を求める一方、緊張感のつなぎ留めにも腐心する微妙な作業を迫られている。

パンデミック 新型インフルエンザなど感染症の世界的な大流行。世界保健機関(WHO)の警戒レベルで最高の「フェーズ6」に当たる。ウイルスに対してほとんどの人が免疫を持たない場合、新型インフルエンザは爆発的に世界的に拡大し、大きな健康被害と社会的、経済的影響をもたらすと懸念されている。大流行の危険が差し迫った状況が「フェーズ5」。20世紀以降、インフルエンザの世界的な大流行は3回。1918年に発生したスペイン風邪は世界中で推定4千万人が死亡、57年にアジア風邪、68年に香港風邪が大流行した。

(共同通信、2009年5月5日15時37分)

**** 共同通信、2009年5月4日21時8分

A型の季節性患者は推定17万人 

新型感染の疑い今後も

 簡易検査でインフルエンザのA型と判定され、新型インフルエンザが疑われる人が相次いでいる。国立感染症研究所によると4月下旬の季節性インフルエンザの国内推定患者は約17万人。

 同研究所は「まだまだ季節性の患者が出ており、A型とされても新型の可能性が高いとは言えない」と指摘。今後も一時的に新型の感染が疑われるケースが出そうだ。

 感染研によると、4月20日からの1週間に全国の定点医療機関から報告されたインフルエンザ患者は約1万6600人で、推定患者数は約17万人。B型が多く、全体的に流行は下火になってきている。

 4月中旬のデータで発生が目立つ地域は首都圏のほか、北海道、秋田、長野、鹿児島各県など。

 インフルエンザで大規模な流行をするのはA型とB型。国内では11月下旬-12月上旬に発生が始まり、翌年1-3月に患者が増加、4-5月に減少するが、夏に患者が発生することもある。

(共同通信、2009年5月4日21時8分)

**** スポーツ報知、2009年5月5日6時1分

新型インフルは人類VSウイルスの戦い 

中田市長よ、事の重大性を認識せよ

 「人類とウイルスの戦争なんだ」―。世界中で猛威を振るう新型インフルエンザ。日本上陸阻止のため舛添要一厚労相(60)は連休返上で、対応に追われている。早朝や真夜中の緊急会見など、いつにも増してテンションが高い様子だが「危機管理にやり過ぎはない」と断言。その上で「人の命がかかっている話。事の重大性を理解していないのでは」と感染の疑い例の公表をめぐって対立した中田宏横浜市長(44)に疑問を投げかけた。

 ―新型インフルエンザが日本に忍び寄っている。

 「とんだゴールデンウイークになってしまった。感染国が拡大しており、まだワクチンも存在しない。新型は、鳥インフルに比べて弱毒性ではあるが、人から人へと感染するため、大変な脅威だ。まさにこれは見えない敵、人類とウイルスとの戦争だ」

 ―予防法は?

 「ワクチン開発まで半年ほど要するが、まずは季節性インフルと同じ対策を取ってほしい。つまり、手洗いやうがいの励行といったこと」

 ―大型連休の終盤に帰国ラッシュを控える。

 「そこがひとつのヤマ場で、政府は空港や港での『水際対策』を強化している。それでも、ウイルス侵入は前提にしなければいけないが。帰国者には機内検疫での『質問票』を正直に申告してもらいたい。面倒でも自分や周囲の人たちを守ることになるからだ」

 ―新型インフルは謎が多い。

 「最大の疑問はなぜメキシコで流行し、死者が集中している点だ。医療体制の不備や劣悪な衛生状態など、原因には諸説あるようだが…。日本でいまだ感染者が出ていないのは、日本人が毎年のように予防接種を受けるなど、意識が高いこともあると思う」

 ―感染の疑いがあった横浜市の男子生徒の検査結果発表(結果は陰性)をめぐる真夜中の緊急会見が「見切り発車」と指摘されている

 「横浜市の衛生研究所での遺伝子検査で『疑いあり』の結果を受け、私の判断で会見を設けた。ところが、直前に市側から『結果は解析不能』との報告があり、その後一切連絡が取れなくなった。可能性は五分五分。しかし、感染拡大は時間との戦いでもあるから公表に踏み切ったんだ」

 ―横浜市の対応を「危機管理がなってない」と批判した。

 「『市に電話が殺到して連絡が取れなくなった』なんて言い訳にもならない。中田市長は『大臣は落ち着け』と反論したが、事の重大性が分かっていないんじゃないか。人の生き死にがかかっているんだよ。今回は陰性で済んだが、情報を公表もせず、陽性と判定されていたら、それこそパニックになったはず。自治体トップにはより高い危機意識を持ってもらいたい」

 ―大臣を始め、過剰に反応することで、国民が必要以上に不安を感じるのでは?

 「危機管理は最悪の状況を想定して取り組むものだが、日本人はとかく楽観主義だ。私は海外経験が長かったが、外国人は自分の身に降りかかる脅威に対する意識が高いように思う。もちろん国民には冷静な対応を求めるが、危機管理に“やり過ぎ”はない」

 ―もし国内で感染者が出たら選挙どころじゃない?

 「もしパンデミック(大流行)状態になったら、集会は開けないし、衆院解散・総選挙の時期に影響は出るかもしれない。ただ、私の役目は国民の生命と健康を守ること。今は政局の話は抜きだ」

(スポーツ報知、2009年5月5日6時1分)


感染確認 20か国1000人超

2009年05月04日 | 新型インフルエンザ

新型インフルエンザに関する Q and A

4/29 豚インフルエンザ関連のニュース

4/30 WHO、警戒水準をフェーズ5へ引き上げ 新型(豚)インフルエンザ

5/1 横浜の高校生、新型インフルエンザには感染してなかったことが判明 (厚労省の会見)

5/2 新型インフルエンザ アジアで初の感染確認例についての報道

**** NHKニュース、2009年5月4日17時4分

感染確認 1000人超える

 新型インフルエンザの感染は、アメリカやニュージーランドでさらに患者が確認され、感染が確認された人は、20の国と地域で1000人を超えました。

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 メキシコ保健省は、3日、新型インフルエンザの感染が確認された人が84人増えて590人に上り、死者も3人増えてあわせて22人の死亡が確認されたと発表しました。これで、世界全体での死者はアメリカの1人を含めて23人となりました。また、感染が確認された人は、アメリカで13人増えてあわせて245人に上ったほか、ニュージーランドでもさらに2人の感染が確認されました。これで、感染が確認された人は、世界全体で20の国と地域で1034人となりました。国や地域の内訳は、▽メキシコで590人、▽アメリカで245人、▽カナダで101人、▽スペインで44人、▽イギリスで18人、▽ドイツで8人、▽ニュージーランドで6人、▽フランスとイスラエルで4人、▽イタリア、コスタリカ、エルサルバドルでそれぞれ2人、▽韓国、香港、オーストリア、スイス、オランダ、デンマーク、アイルランド、それにコロンビアでそれぞれ1人となっています。

(NHKニュース、2009年5月4日17時46分)

**** 共同通信、2009年5月4日10時26分

患者重症化傾向なしと米保健当局 「明るい兆し見えてきた」

 【ワシントン3日共同】米疾病対策センター(CDC)は3日、米国内の新型インフルエンザの状況について、患者が重症化する傾向がなく「明るい兆しが見えてきた」との認識を示した。

 記者会見した感染症問題の担当者、アン・シュケット博士によると、米国内の感染確認は半数を超える30州で226人。そのほか、疑い例がある州も多く「ほぼ全米にウイルスが広がっている」とした。

 死亡例はメキシコから入国した幼児1人、入院した患者は30人だが、それ以外の大部分は回復している。50歳以上の感染者は極めて少なく、平均年齢は17歳という。

 ウイルスの解析では、1918年に出現して世界的大流行を起こしたスペイン風邪のウイルスの病原性に関連する要素は持っておらず、感染力は強いが毒性はさほど強くないとの見方を示した。

 メキシコの状況についても「安定してきた」との認識を示す一方、秋には季節性と新型、いずれのインフルエンザにも備える必要性を強調した。

 米FOXテレビに出演したリチャード・ベッサー所長代行も「明るい兆し」に言及した上で「危機を脱したとは言えない」としている。

(共同通信、2009年5月4日10時26分)

**** 共同通信、2009年5月3日21時42分

WHO「6」引き上げの公算  軽微大流行を宣言も

 【ジュネーブ3日共同】世界保健機関(WHO)の当局者は3日、共同通信に対し、新型インフルエンザ感染拡大の6段階の警戒水準(フェーズ)について「感染の勢いが衰えていない。(引き上げは)ここ何日という問題だ」と述べ、現在の「5」から世界的大流行(パンデミック)を意味する「6」へ早期に引き上げる公算が大きいとの見方を示した。

 一方、WHOのライアン警戒対策部長は2日の定例記者会見で、引き上げるかどうかを「今後数日の事態の進展」で判断できる可能性があると述べる一方、「フェーズ6は症状の重さでなく地理的な感染拡大を示す」と強調。国境閉鎖や渡航制限の勧告を伴わない、事実上の「マイルド(軽微な症状の)パンデミック」宣言にとどまる可能性もある。

 WHOが引き上げをめぐる判断を迫られているのは、英国やドイツ、スペインなど欧州地域を中心に感染者の確認が増え続けていることに加え、発生源とみられるメキシコなどへの渡航歴のない人まで多数巻き込んだ「地域社会レベルの持続的感染」が確認される可能性があるためだ。

 同当局者によると、決め手となる「人-人-人」の3代にわたる感染報告が今月に入って欧州諸国から出始めている。

 WHOの警戒水準の定義を適用すると、北米以外で持続的な感染が確認されれば「6」への引き上げ条件が整う。感染が確認された国・地域は2日にアイルランドが加わり計18となった。

 各国政府や有識者の間には、WHOによるパンデミック認定には大きな社会的影響力があるため「簡単に上げるわけにはいかない」(国立感染症研究所の田代真人氏)などの意見も出ている。

(共同通信、2009年5月3日21時42分)

****** 毎日新聞、2009年5月3日

新型インフルエンザ:基礎知識 まず身近な予防策

 メキシコに端を発した新型インフルエンザ。感染は世界各国に広がり、世界保健機関(WHO)は4月29日(現地時間)、警戒度を「世界的大流行(パンデミック)直前の兆候」を意味するフェーズ5に引き上げた。豚のインフルエンザウイルスが、どうやって人に感染する新型になったのか。どうすればウイルスから身を守れるのか。新型インフルエンザに関する基礎知識をまとめた。

 ◇メキシコ発端、世界に拡大

 各国で確認された新型インフルエンザ患者の多くは、もとをたどればメキシコで感染したとみられている。

 発端は4月24日。WHOが「メキシコと米国で豚インフルエンザの人への感染が相次ぎ、メキシコ市周辺で死者60人前後」と発表。米疾病対策センター(CDC)が同日、米国内の豚インフルエンザが「人から人」へ感染するウイルスであったと断定し、「新型」への懸念が一気にふくらんだ。

 5月2日までのロイター通信の報道によると、メキシコでは、感染が確認された16人が死亡した。メキシコ以外の死者は1人で、米テキサス州で4月27日に死亡したメキシコ人の男児だ。男児は家族とともに同州を訪れていた。

 ニュージーランドでは4人の感染が確認されたが、メキシコに3週間滞在して帰国した同じ高校の生徒。

 他にもイスラエル2人、オランダ1人、スイス1人、オーストリア1人は全員が直前までメキシコに滞在していた。

 メキシコに渡航歴がなくても、帰国した人から感染したと断定または推定される感染者も増えている。カナダ・ノバスコシア州の保健当局は、メキシコを学校旅行で訪れた生徒4人の感染を確認し、その生徒からうつされた症例が1人あると公表した。米ニューヨーク市の高校での集団感染や、スペインや英独で少なくとも1人について、同様の感染ルートが疑われている。【花岡洋二】

 ◇ワクチン開発4~6カ月 豚の体内で変異、別種にも感染

 インフルエンザウイルスは直径約100ナノメートル(1万分の1ミリ)。中心にRNA(リボ核酸)という遺伝子があり、周囲のたんぱく質の種類でA、B、C型の3種類に大別できる。人間、鳥、豚、馬、アザラシなど多くの動物に感染するのはA型ウイルスだ。

 A型には、いがぐりのとげのようなたんぱく質の突起が多数ある。突起はヘマグルチニン(H)とノイラミニダーゼ(N)の2種類でHは16種類、Nは9種類ある。HとNの組み合わせにより、「H1N1」「H5N1」など計144種類にタイプが分けられる。

 インフルエンザウイルスは本来、水鳥の体内をすみかとしていたと考えられている。ウイルスは生きた細胞の中でしか生存できない。宿主が死ねば自分も死ぬため、ウイルスは水鳥に対して徐々に毒性をなくし、今では感染しても症状を示さなくなった。

 ウイルスは一般に、動物の種の壁を越えて感染しにくい。ウイルスと細胞はカギとカギ穴のようにつながる部位を持っており、種が変わるとカギが合わず感染できなくなってしまう。ところが、まれにウイルスが変異して別種の動物への感染力を持つことがある。あるいは、特定の動物が仲介役になって別種への感染を引き起こす場合もある。代表的な仲介役が豚だ。豚は鳥と人のウイルスの両方に感染するため、体内で鳥、人、豚のウイルスの「雑種」を作る。

 この雑種は簡単に種の壁を乗り越えてしまう。人がこれまで接したことのないウイルスだ。人は免疫を持たないため、感染すれば重症化する恐れがあり、「新型インフルエンザ」を引き起こす。

 しかし、人にどの程度の病原性を発揮するかは容易に予測できない。H5、H7のウイルスは鶏を100%殺す「強毒」に変異する例もあるが、そのウイルスでも人は発症しないこともある。逆にスペイン風邪のように、鳥では弱毒なのに人間に大被害をもたらす例もある。

 インフルエンザの予防にはワクチン、治療には抗ウイルス薬が使われる。日本で使われるワクチンは、鶏の有精卵にウイルスを注射して増殖させ、濃縮した後、薬剤でウイルスを死滅させて作る。ワクチンを投与すると、人体の免疫機能がウイルスの抗体を作る。本物のウイルスが体内に侵入しても、ウイルスを撃退してくれる。

 しかし違う型のウイルスには効かない。新ワクチン開発には4~6カ月かかる。今回の新型インフルエンザのワクチンが使えるようになるのは、早くても秋以降になりそうだ。

 治療に使われるオセルタミビル(商品名タミフル)やザナミビル(同リレンザ)などの抗ウイルス薬は、体内に入ったウイルスの増殖を抑える。ウイルス表面の突起ノイラミニダーゼは細胞表面にとりついて増殖したウイルスが次の細胞に移る際、離れるのを手伝う。抗ウイルス薬はこの働きを邪魔して、ウイルスをその場に「足止め」することで増殖を抑える。【奥野敦史】

 ◇日本の行動計画、5段階に分類

 日本のインフルエンザ対策は、今年2月に改定された「新型インフルエンザ対策行動計画」が基になる。計画は、新型インフルエンザ発生前から、国内で発生して大流行を迎え、小康状態に至るまでの5段階に分類し、段階に応じた対策を定めている。

 WHOが警戒レベルを「フェーズ5」としているものの、国内で発生していない現段階は、第1段階(海外発生期)になる。この段階で最も重視しているのが、国内侵入を食い止める水際対策だ。

 発生国からの入国については、旅客機は4空港(成田、関西、中部、福岡)、客船は3港(横浜、神戸、関門)に集約化して検疫を実施し、新型インフルエンザの疑いが判明した人は隔離する。その人と長時間近くで過ごした人なども、空港近くの施設などに10日間程度とどまってもらう措置を取る。

 国内で患者が発生すると、第2段階(国内発生早期)に移行し、国民の活動を制限する対策が大幅に増える。発生地域の住民の外出自粛▽集会や興行の自粛▽学校の一時休校▽企業の業務縮小--などだ。国の方針に基づき主に都道府県知事が要請し、都道府県単位で対応が取られる。

 ただし、今回の新型インフルエンザは弱毒性と指摘されているため、「強い規制を伴う対策の実施はマイナス面も大きい」との声も出ている。政府も柔軟な運用をする方針だ。

 ◆新型インフルエンザQ&A

 新型インフルエンザの症状や、個人でできる対策をQ&Aでまとめた。【下桐実雅子】

 ◇潜伏期間は最大10日 発熱、せき、関節痛など

 ◇人込みの外出避け、マスク着用、手洗いを徹底

 ◇米国ではほぼ軽症、疑わしい症状は保健所に相談

 Q 症状は?

 A 冬に流行する季節性インフルエンザと同じです。発熱やせき、のどの痛みのほか、関節痛、倦怠(けんたい)感などです。下痢や嘔吐(おうと)を起こす人もいます。メキシコでは重症者の多くが肺炎を起こしています。

 Q 感染したら、すぐ発症するの?

 A 季節性インフルエンザと同様と考えられ、潜伏期間は最大10日ほどです。感染者がウイルスを排出し、他人に感染させる期間は症状が出る少し前から発症後約1週間です。

 Q ワクチンはあるのかな。

 A 新型インフルエンザ発生に備えた鳥インフルエンザ(H5型)のウイルス株をもとに製造したワクチンは、豚から発生した新型インフルエンザ(H1N1型)への効果は期待できません。季節性インフルエンザのAソ連型はH1N1型ですが、ウイルス表面の抗原性が大きく異なっており、このワクチンも効果がありません。

 Q では予防はどうしたらいいの?

 A 主な感染経路は、せきやくしゃみによりウイルスが含まれた唾液(だえき)や鼻水の飛沫(ひまつ)による感染と、ウイルスが付着した手で鼻や目などの粘膜を触る接触感染です。対策は通常のインフルエンザと基本的に同じ。厚生労働省は、手洗いやうがいの徹底▽手洗いはせっけんを使って15秒以上▽人込みを避け不要不急の外出はしない▽十分な休養と栄養バランスの取れた食事--を挙げています。外出を避けるため、災害時のように2週間程度の食料・生活必需品の備畜を勧めています。WHOはうがいを勧めていません。厚労省によると、予防効果の証拠はないそうですが、日本では手洗い・うがいが習慣化されており、うがいを含めたそうです。

 Q 市販のマスクで大丈夫なのかな。

 A 厚労省は、やむを得ず外出する場合に、不織布(ふしょくふ)製マスクの着用は一つの防御策としています。ある程度の飛沫の侵入は防げるそうです。他人にうつさないために、せきやくしゃみの症状がある人は必ずマスクを着用するよう呼びかけています。医療現場で使われるマスクは、一般の人に適さないとしています。

 Q 自分や家族に発熱など疑われる症状が出たらどうする?

 A 厚労省は、メキシコや米国などの感染確認国から帰国した人などの相談窓口(03・3501・9031)を設置しています。10日以内に発熱などの症状があれば、最寄りの保健所に相談し、指示に従って医療機関を受診してください。

 Q 治療法は?

 A 国立感染症研究所によると、米国の感染者のほとんどが軽症で、インフルエンザ治療薬を服用しなくても多くは回復しているそうです。一方、早期に治療薬を使うと症状が早く治まるという報告も増えており、タミフルとリレンザは効果があるとされています。国はタミフル3380万人分、リレンザ270万人分を備蓄しており、医療機関で処方されます。

 Q タミフルは予防にも使えるの?

 A 新型について専門家は「限られた資源なので、基本的には症状の出た人に投与すべきだ」との見方です。厚労省も「自己判断で服用しないで、保健所などに相談してほしい」としています。

 Q 豚肉は食べても大丈夫なのかな。

 A 71度以上の加熱で、ウイルスは死滅します。適切に調理された豚肉や加工品は食べても安全です。

 Q 大型連休中だけど、海外に行ってもいいの?

 A 外務省はメキシコへの不要不急の渡航は延期を求めています。米国やカナダなど感染確認国に行く人にも、渡航先の最新情報を入手し感染予防策を徹底するよう呼びかけています。

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 ◇新型インフルエンザをめぐる経緯(現地時間)

3月 下旬 米国で最初の発症

4月 2日 メキシコで発症者を確認

  24日 メキシコ市・州で学校が休校に。米疾病対策センターが人から人への感染と断定

  25日 WHOが緊急委員会開催。世界的大流行(パンデミック)への警戒度は「3」に据え置き

  26日 カナダで感染確認

  27日 WHOが警戒度を「4」に引き上げ。スペイン、英国で感染確認。日本政府が「新型インフルエンザ発生」を認定。対策本部を設置し、行動計画を始動

  28日 イスラエル、ニュージーランドで感染確認

  29日 米国内で初の死者公表。WHOが警戒度を「5」に。独、オーストリアで感染確認

  30日 メキシコが、発表する死者・患者数を感染確定者に限定し、死者「176人」が「12人」に。WHOが「豚インフルエンザ」の呼称をA(H1N1)に

      米国便で帰国した日本人女性が、機内検疫の簡易検査で「陽性」反応。遺伝子検査の結果、季節性インフルエンザと判明

5月 1日 感染者500人超す。カナダでホームステイした日本人高校生に新型インフルエンザの疑い。遺伝子検査の結果、季節性インフルエンザと判明

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 ◇政府の行動計画第1段階(海外発生期)の概要

 ■政府の体制強化

・WHOのフェーズ4宣言時、全閣僚による対策本部設置

 ■感染症危険情報

・発生が確認された場合、感染症危険情報を出し渡航延期を勧告

 ■水際対策

・発生国からの入国者には質問票配布や診察を実施。感染可能性がある場合は原則として隔離

・発生国で患者と濃厚な接触があった人は一定期間、指定した施設で経過観察

・発生国の在外公館はビザ発給の審査厳格化や発給停止

 ■ワクチン製造

 ■発熱相談センター設置

 ■相談窓口設置

 ◇第2段階(国内発生早期)の概要

 ■水際対策

・感染の恐れのある人に不要不急の出国の自粛を勧告。発熱が見られる人のチェックインを拒否するよう航空会社に注意喚起

 ■国内での感染拡大防止

・患者の同居者や濃厚接触者、同じ職場の人への抗インフルエンザウイルス薬の予防投与を都道府県や医療機関に要請

・発生地域の住民に次の要請▽可能な限り外出を控える▽集会や興行施設の活動を自粛▽臨時休校や入学試験延期

 ■ワクチン接種開始

 ■発熱外来の整備

 ■患者及び接触者への対応

・都道府県等に次の点を要請▽新型患者は原則、感染症指定医療機関などで診療▽患者の接触者に経過観察期間を定め、外出自粛、健康観察、抗インフルエンザウイルス薬の予防投与などを指導

 ■事業者の対応

・全国の事業者に不要不急の業務の縮小を要請

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 ■国立感染症研究所

 ◇新型インフルエンザのページ

http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/index.html

 ■厚生労働省

 ◇新型インフルエンザのページ

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html

 ◇都道府県の相談窓口

http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/090430-02.html

 ■WHO(英語)

 ◇最新の状況

http://www.who.int/en/

(毎日新聞、2009年5月3日)


奈良県が判決不服で控訴 産科医の時間外手当訴訟

2009年05月02日 | 地域周産期医療

コメント(私見):

奈良県の産婦人科医療提供体制を立て直していくためには、まずは奈良県内の産婦人科医の頭数を地道に増やしていく必要があります。

時間外勤務手当を法で定められた通りに支払うくらいのことは、最低限の必須事項です。産婦人科医不足の今、現在の職場を辞めたとしても、働く場所など探せばどこにでもみつかります。県が正当な報酬の支払いをかたくなに拒否し、県側と医師側とが法廷で激しく争っているようでは、産婦人科医の頭数を現状のまま維持していくことすらだんだん難しくなっていくと思います。

日赤医療センター(常勤産婦人科医:24人)や愛育病院(常勤産婦人科医:15人)などのマンパワーの充実した病院でも、労働基準法違反を理由に軒並み立ち入り調査や是正勧告を受けている現状を、奈良県知事はよく理解する必要があると思います。

【以下コメントの追記、2009年5月3日】

法定労働時間とは、労働基準法において労働者を働かせることができる限度の時間です。法定労働時間は、1日8時間、1週間については40時間となります。それを超える労働は時間外労働となり、割増賃金を支払う必要があります。労働時間は業務に従事していた時間だけではなく、使用者の指揮監督下にあるかどうかでみます。 例えば、準備・整理の時間、仕事待機の時間、出席することが義務づけられた研修の時間なども労働時間に含めます。また、労働基準法では、当直などの時間外勤務は労使が協定を結んだ上で、原則月45時間以内と定めています。 労働基準監督署の基準では、医師の当直(宿直、日直の総称)は、病室の定時巡回など軽度で短時間の業務と定義されています。

従来は、医師の当直に対して、時間外、休日労働の割増賃金ではなく、割安な手当が支給されることが常態化していました。今回、奈良地方裁判所は、産科医の夜間や土曜休日の宿日直勤務について、労働基準法上の時間外労働に当たるとの判断を示し、奈良県に割増賃金の支払いを命じましたが、奈良県は、その奈良地裁の判決を不服として控訴する方針を発表しました。

奈良県は産婦人科医が不足し、産科救急事例の多くが県内で受け入れできない状況が恒常化していると聞いています。(2006年、奈良県の某病院で分娩中に急変した妊婦さんが、約20の病院から受け入れを断られ、約6時間後に大阪府内の病院に搬送され、その1週間後に死亡した事例は、当時大きく報道されました。)このような危機的状況を打開するためには、奈良県内の産婦人科医の頭数を大幅に増やす必要があり、今回は県の周産期医療提供体制を立て直す大きなチャンスであったと思われます。県の上層部の方々は、産科医療が一度完全に崩壊しないことには、事態の重大性が全く理解できないのかもしれません。

医師の当直勤務は「時間外労働」、割増賃金支払い命じる判決

産科業務と労働基準法

愛育病院、日赤医療センター: 労働基準法違反で是正勧告

**** NHKニュース、奈良、2009年5月3日

時間外手当の判決で県が控訴

 県立奈良病院の産婦人科医の時間外手当をめぐる裁判で、奈良県は、1500万円あまりを医師らに支払うよう県に命じた、奈良地方裁判所の判決を不服として、1日、大阪高等裁判所に控訴しました。

 この裁判は、県立奈良病院の産婦人科に勤務する医師2人が、夜間や休日の当直勤務で、出産や救急患者の対応に追われているのに、待ち時間の多い仕事という扱いで、割り増し分の時間外手当が支払われないのは違法だとして、奈良県に未払いの賃金を支払うよう求めているものです。

 この裁判で、奈良地方裁判所は、4月22日、「産婦人科医の夜間・休日の当直は、待ち時間の多い勤務とは言えない」として、労働時間にあたると認め、奈良県に対し、あわせて1500万円あまりを支払うよう命じる判決を言い渡しました。

 奈良県は、この判決を不服として、1日、大阪高等裁判所に控訴しました。

 控訴の理由について、奈良県の荒井知事は会見で、「診察などの業務が当直勤務時間中の4分の1しかなかったのに、勤務時間すべてを時間外手当の対象とした判断は適切でない」と述べました。

(NHKニュース、奈良、2009年5月3日)

****** 朝日新聞、2009年5月1日

奈良県が判決不服で控訴 産科医の時間外手当訴訟

 奈良県立奈良病院(奈良市)の産婦人科医2人が当直勤務中の時間外手当(割増賃金)の支払いを県に求めた訴訟で、県は1日、医師の訴えを認めて計約1540万円の支払いを命じた4月22日の奈良地裁判決を不服として、大阪高裁に控訴すると発表した。

 記者会見した荒井正吾知事は「当直勤務時間すべてを割増賃金の対象とする判決は適切ではない。診療をしていない待機時間は労働時間から外すべきだ」と話した。

(朝日新聞、2009年5月1日)

****** 読売新聞、2009年5月1日

産科医割増賃金訴訟 奈良県が控訴

 奈良県立奈良病院(奈良市)の産婦人科医2人が当直勤務などに時間外割増賃金の支払いを求めた訴訟で、県は1日、当直は時間外労働にあたり、計1540万円の支払いを命じた奈良地裁の判決を不服として、控訴すると発表した。

 県は「当直勤務すべてを時間外労働の対象にするべきではない」などとしている。荒井正吾知事は「勤務医の当直勤務が、労働基準法に抵触するかどうかという、全国の病院に共通の課題を突きつけられた判決。さらに上級審の判断を求めたい」と話した。

(読売新聞、2009年5月1日)

****** 産経新聞、2009年5月1日

産婦人科医訴訟で奈良県が控訴

 奈良県立奈良病院(奈良市)の産婦人科の医師2人が、夜間宿直や休日勤務などに対する割増賃金の支払いを県に求めた訴訟で、県は1日、医師らの訴えを認めて計約1540万円の支払いを命じた奈良地裁の判決を不服として控訴する方針を固めた。

 県は、判決が宿直や休日の勤務時間すべてを割増賃金の支払い対象としたことについて、「診療を行っていない待機時間は労働時間にあたらず、実態に即していない」などとしている。

(産経新聞、2009年5月1日)

****** 共同通信、2009年5月1日

産科医当直労働時間外で控訴へ 奈良県

 県立奈良病院(奈良市)の産科医2人が当直勤務の時間外割増賃金などの支払いを県に求めた訴訟で奈良県は1日、当直を時間外労働と認め、計約1500万円の支払いを県に命じた奈良地裁判決を不服として、大阪高裁に同日控訴すると発表した。

 控訴理由について県は「当直時間のすべてを割増賃金の対象にするとした判決は適切ではない。診療していない待機時間は労働時間から外すべきだ」などとしている。

割増賃金 労働基準法は、使用者に対し原則1日8時間、1週間に40時間を超えて働かせてはならないと残業を禁止している。事前に労使が協定を結んだ場合には残業をさせることができるが、使用者は25%以上の割増賃金を上乗せして支払うことが義務付けられている。

(共同通信、2009年5月1日)


新型インフルエンザ アジアで初の感染確認例についての報道

2009年05月02日 | 新型インフルエンザ

コメント(私見):

新型インフルエンザは日を追うごとに感染が拡大し、香港や韓国でも、新型インフルエンザの感染が確認されました。現時点(5月2日19時)で、16の国と地域において合わせて639人の感染が確認されています。

このウイルスが日本に入り込んでくるのも、もはや時間の問題と考えられます。

産婦人科においては、新型インフルエンザ感染の疑いのある妊婦さんの妊婦健診をどの病院でどうやって実施するのか?分娩はどの病院のどの分娩室でいかに対応するのか?帝王切開となった場合はどの手術室を使うのか?など、緊急時にパニックに陥らないように、今のうちに担当者間でよく話し合って、詳細を取り決めておく必要があります。

新型インフルエンザに関する Q and A

4/29 豚インフルエンザ関連のニュース

4/30 WHO、警戒水準をフェーズ5へ引き上げ 新型(豚)インフルエンザ

5/1 横浜の高校生、新型インフルエンザには感染してなかったことが判明 (厚労省の会見)

**** NHKニュース、2009年19時15分

感染確認 16の国と地域

 新型インフルエンザの感染は、これまでに世界の16の国と地域で確認されており、感染者の数は630人を超えました。

 新型インフルエンザの感染は、1日夜、アジアでは初めて香港で確認されたのに続き、2日、韓国でも確認されました。これで、感染が確認されたのは、世界全体では16の国と地域であわせて639人となりました。このうち、メキシコの16人とアメリカの1人のあわせて17人の死亡が確認されています。感染が確認された国と地域の内訳は、▽メキシコが最も多く397人、次いで▽アメリカで145人、▽カナダで51人、▽スペインとイギリスでそれぞれ13人、▽ドイツで5人、▽ニュージーランドで3人、▽イスラエルとコスタリカ、フランスでそれぞれ2人、▽オーストリアとスイス、オランダ、デンマーク、香港、それに韓国でそれぞれ1人となっています。

(NHKニュース、2009年19時15分)

**** NHKニュース、2009年19時15分

韓国 感染確認で検疫態勢強化

 韓国では、初めて新型インフルエンザの感染が確認されたことを受けて、空港や港などで検疫態勢を強化するなど、感染の広がりを食い止めようとしています。

 韓国の保健福祉家族省は、2日、メキシコ旅行から先月帰国した51歳の女性が新型インフルエンザに感染したことを確認したほか、同居していた44歳の女性も感染した疑いがあるとして詳しく調べています。国内で初めて新型インフルエンザの感染が確認されたことを受けて、ソウル近郊のインチョン国際空港では検疫態勢を強化し、職員をふだんより30人以上増やしました。そして、熱が出たと申告してきた乗客が乗っていた便については、ひとりひとりの乗客の体温を計るなどしています。また、韓国南部のプサン港でも、これまでに感染が確認されている国や地域から到着した船に職員が乗船して検疫を行い、新型インフルエンザの感染の広がりを食い止めようとしています。一方、韓国には、大型連休の期間中に10万人近い日本人観光客が訪れると予想されています。このうち、ソウル中心部のミョンドンを訪れた人は、韓国で初めての感染が確認されたことについて、「多少は不安だが、韓国で感染した人が1人と確率は低いので、このまま滞在を続けます」、「日本にウイルスを持ち帰らないように気をつけなければならない」などと話していました。今回の事態を受けて日本に帰国するという観光客はいませんでしたが、市内では、マスクをつけて歩く日本人観光客の姿が目立ち始めています。

(NHKニュース、2009年19時15分)

**** NHKニュース、2009年19時15分

香港 日本人宿泊客も隔離

 香港の衛生当局は、新型インフルエンザへの感染が確認されたメキシコ人男性が泊まっていたホテルの宿泊客と従業員全員を1週間ホテルの中に隔離することを決め、日本人旅行客を含むおよそ350人の健康状態の確認を進めています。

 香港の衛生当局は、1日夜、観光で香港を訪れているメキシコ人男性が新型インフルエンザに感染していることが確認されたと発表しました。男性は4月30日午後に香港に到着し、その後ホテルで発熱したということです。これを受けて香港当局は、独自に設けている3段階のインフルエンザの警戒レベルを最高の「緊急」に引き上げ、男性が宿泊していたホテルの宿泊客と従業員およそ350人全員を1週間ホテルの中に隔離し、健康状態に問題がないか確認することを決めました。今のところ、新型インフルエンザの症状を訴えている人はいないということです。また、香港の日本総領事館によりますと、このホテルに宿泊していた日本人旅行客から連絡があり、日本人も滞在していることが確認できたということです。ただ、何人いるかなど詳しいことは把握できておらず、総領事館では、香港当局と連絡をとりながら健康状態などの確認を進めています。

(NHKニュース、2009年19時15分)

**** CNN、2009年5月2日18時37分

香港のホテルを1週間「封鎖」、新型インフルエンザ感染判明で

 香港で1日、、中国・上海経由で同地を訪れたメキシコ人男性(25)の新型インフルエンザ感染が確認されたことを受け、香港の衛生当局は2日、男性が滞在していたホテルの「封鎖」を決定、宿泊客約200人、スタッフ約100人が約1週間、建物内にとどまることを命じた。

 このホテルは「メトロパーク・ホテル」。宿泊客らには抗インフルエンザ薬のタミフルが投与される予定。香港政府によると、男性は4月30日、上海経由で香港に到着していた。

 アジアで感染者が確認されたのは、香港が初めてだった。

 メキシコ人男性は病院で手当を受けているが、友人と共に行動していたとされ、友人の健康状態も調べている。上海では空港外に出なかったとされる。

(CNN、2009年5月2日18時37分)

**** 毎日新聞、2009年5月2日東京夕刊

新型インフルエンザ:韓国でも感染者、「水際作戦」を強化 メキシコ在住者帰国で

 【ソウル大澤文護】メキシコから帰国した韓国人女性が新型インフルエンザ感染者と確認されたことで、韓国政府は2日、この女性と同じ航空機に搭乗していた乗客337人の健康状態の追跡調査を急ぐとともに、同日から帰国し始めたメキシコ在住韓国人の到着に合わせた「水際作戦」を強化している。

 韓国政府の発表などによると、感染が確認されたのは51歳の修道女で、先月19日からメキシコ市南部のモレロス地域で奉仕活動に従事した後、同26日に韓国・仁川空港に到着した。28日に「推定患者」と認定された後、ソウル市南郊の軍関係の病院で隔離治療を受けている。保健当局は「すでにインフルエンザの症状は治まり、合併症の兆候もない」と話している。この女性を仁川空港まで迎えに出た40歳代の修道女が、インフルエンザの兆候を引き起こし、新型インフルエンザの「推定患者」と認定された。新型インフルエンザと確認された女性から感染した可能性が指摘されている。韓国政府の対策本部は特殊防疫マスク50万枚を購入、国内の各国際空港の出入国係官、病院職員などに配布する。

 聯合ニュースによると、2日早朝、メキシコ在住の韓国系企業従業員の家族ら計45人が米ロサンゼルス経由の航空便で仁川空港に帰国した。機内で全員が保健当局による検査を受けたが、新型インフルエンザの兆候はなかったために帰宅した。

(毎日新聞、2009年5月2日東京夕刊)

**** NHKニュース、2009年5月2日8時43分

韓国で初めての感染を確認

 韓国の保健福祉家族省は先月、メキシコから帰国した51歳の韓国人女性が新型インフルエンザに感染したことを明らかにしました。韓国で新型インフルエンザの感染が確認されたのはこれが初めてで、これによって世界で感染が確認されたのは、16の国と地域であわせて600人になりました。

(NHKニュース、2009年5月2日8時43分)

**** 共同通信、2009年5月2日8時46分

韓国で感染初確認 新型インフル、隣国へ

 【ソウル2日共同】韓国保健福祉家族省は2日、メキシコ旅行から帰国し新型インフルエンザの感染の疑いが濃い推定患者と診断されていた韓国人女性(51)の感染が最終的に確認されたと明らかにした。韓国で新型インフルエンザ確認は初。

 感染確認はこれで16カ国・地域となった。アジアでは香港に続き2カ所目。ついに年間400万人以上が往来する隣国まで迫り、日本は感染流入阻止に向けた水際対策の重要性がますます高まった。

 感染が確認された女性は4月中旬にメキシコを旅行し、26日に米ロサンゼルス経由で仁川国際空港に帰国。飛行機内でせきや悪寒、発熱などの症状があり、28日から隔離病棟に収容された。同省によると退院が可能な状態まで回復したという。

 韓国政府は5月1日、女性と同じ修道院で暮らす別の女性も推定患者と診断されたと発表。メキシコなどへの渡航歴がなく、2次感染の可能性があり、詳しい検査を続けている。

 韓国政府は現在、4段階のうち下から2番目の注意の警戒態勢を警戒へ格上げするかどうか検討する。保健当局はメキシコからの入国者は症状の有無にかかわらず、自宅などで1週間の隔離状態に置く措置を取っている。

(共同通信、2009年5月2日8時46分)

**** FNNニュース、2009年5月2日8時16分

新型インフルエンザ 韓国でも初の感染者確認 メキシコに旅行した51歳の韓国人女性

 世界的広がりを見せる新型インフルエンザについて、2日午前、韓国でも初めての感染者が確認された。感染が確認されたのは、4月にメキシコに旅行した51歳の韓国人女性。帰国後、発熱の症状などを訴え、病院で手当てを受けていた。この女性を仁川空港に迎えに行った別の女性も感染が疑われていて、現在検査が行われている。

(FNNニュース、2009年5月2日8時16分)

**** FNNニュース、2009年5月2日7時18分

新型インフルエンザ アジア初の感染者確認 香港を旅行で訪れていたメキシコ人男性

 新型インフルエンザの感染が世界各地に広がりを見せている中、香港で1日、アジア初の感染者が確認された。香港政府の発表によると、感染が確認されたのは、香港を旅行で訪れていたメキシコ人の男性。男性は、4月30日にメキシコから中国・上海を経由して香港に到着したあと、発熱の症状が出たという。アジアでの感染確認は、これが初めてとなる。一方、ヨーロッパでも感染が広がっているが、イギリスやドイツでは、新たにヒトからヒトへの感染が確認されている。2日午前7時現在までに感染が確認されたのは、メキシコ、アメリカ、カナダなど15の国や地域で、594人となっている。ところで、WHO(世界保健機関)は1日、記者会見を行い、新型インフルエンザに有効なワクチンが使用可能になるには、4~6カ月かかるとの見通しを示した。

(FNNニュース、2009年5月2日7時18分)

**** NHKニュース、2009年5月2日5時27分

香港 アジアで初の感染を確認

 香港の保健当局は、1日夜、香港を訪れているメキシコ人男性1人が新型インフルエンザに感染していることが確認されたと発表し、男性が泊まっていたホテルを封鎖するなどして、感染が広がっていないかどうか確認を進めています。

 香港の保健当局の発表によりますと、新型インフルエンザへの感染が確認されたのは、メキシコ人の25才の男性で、4月30日に観光のため友人2人と香港を訪れたということです。男性は、30日の夜、香港のホテルに入ったあとに発熱し、病院に運ばれて詳しい検査を受けた結果、新型インフルエンザに感染していることが確認されました。男性はメキシコから上海経由で香港に入りましたが、上海の空港で乗り換えたときは体調に異常はみられなかったということです。香港の保健当局は、感染が確認された男性と、男性の友人のメキシコ人2人を病院の専門の病室に隔離するとともに、男性が宿泊していたホテルを封鎖し、従業員と宿泊客をホテルに留め置いたまま健康状態を観察しています。また、中国本土の衛生当局と連絡を取り、感染が確認された男性と同じ中国東方航空の便に乗っていた乗客にインフルエンザの症状が出ていないかなど、詳しく調べることにしています。アジアで新型インフルエンザへの感染が確認されたのは香港が初めてです。

(NHKニュース、2009年5月2日5時27分)


横浜の高校生、新型インフルエンザには感染してなかったことが判明 (厚労省の会見)

2009年05月01日 | 新型インフルエンザ

新型インフルエンザに関する Q and A

4/29 豚インフルエンザ関連のニュース

4/30 WHO、警戒水準をフェーズ5へ引き上げ 新型(豚)インフルエンザ

**** NHK NEWS、2009年5月1日7時38分

高校生のウイルスはAソ連型

 カナダから帰国したあと、病院の簡易検査でインフルエンザウイルスに感染している疑いがあると判定された横浜市の高校生について、国立感染症研究所がウイルスの遺伝子を検査したところ、新型インフルエンザではなくAソ連型であることがわかりました。

 新型インフルエンザに感染した疑いが持たれていたのは横浜市に住む17歳の男子高校生です。この生徒は、先月10日から25日まで学校の研修旅行でカナダに滞在し、帰国後、発熱やせきなどの症状がみられたため、30日夜、病院で簡易検査を受けたところ、新型インフルエンザと同じA型と判定されました。このため、生徒から採取した検体を東京の国立感染症研究所に送り、ウイルスの遺伝子検査を行った結果、新型インフルエンザではなくAソ連型であることがわかりました。国内では、30日、アメリカから帰国した日本人女性が、成田空港の検疫所の簡易検査で感染の疑いがあると判定されましたが、詳しい検査でA香港型とわかりました。

(NHK NEWS、2009年5月1日7時38分)

**** FNN NEWS、2009年5月1日18時29分

新型インフルエンザ 高校の校長、陰性との結果を受け「バンザイです」

 新型インフルエンザ感染の疑いがあった神奈川・横浜市の男子高校生が「陰性」と判明したことについて、高校の校長が喜びを語った。

 校長は「バンザイです。テレビはずっとつけっぱなしで、厚生労働省の発表の17時30分のを皆さんで一生懸命聞きました」と涙ながらに話した。

(FNN NEWS、2009年5月1日18時29分)

**** 読売新聞、2009年5月1日17時36分

横浜の高校生、新型インフルでないと判明…厚労省

 新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の「疑い症例」と診断されていた横浜市内の私立高校2年の男子生徒(17)について、厚生労働省は1日午後5時半から記者会見し、新型インフルエンザには感染していないことが判明したと発表した。

 詳細な検査の結果、季節性インフルエンザのAソ連型と診断されたという。

(読売新聞、2009年5月1日17時36分)

**** FNN NEWS、2009年5月1日17時40分

新型インフルエンザ 男子高校生は陰性、ウイルスは「Aソ連型」

 政府関係者は1日午後、FNNの取材に対し、新型インフルエンザ感染の疑いがあった神奈川・横浜市の男子高校生について、検体を濃縮して調べ直した結果、PCR検査で「新型インフルエンザではない」との結果が出たとの見方を明らかにした。

 その後、午後5時半から厚生労働省が会見を行い、「Aソ連型」、季節性のインフルエンザだったという結果が発表された。/p>

 厚労省は、会見で「当該患者は、季節性インフルエンザに感染していることが確認され、新型インフルエンザへの感染は否定されるものと考えられる」などと語った。

(FNN NEWS、2009年5月1日17時40分)

**** TBS NEWS、2009年5月1日17時51分

横浜の高校生、新型インフル感染なし

 新型インフルエンザへ感染が疑われていた横浜市の男子高校生は、検査の結果新型インフルエンザには感染していないことがわかりました。

 厚労省では記者会見を開き、横浜市の男子高校生は新型インフルエンザではないと判定しました。

 「新型インフルエンザへの感染は否定されるものと考えられる」(厚労省の会見)

 厚生労働省によりますと、国立感染症研究所が行ったインフルエンザウイルスの遺伝子を調べるPCR検査で、男子生徒が感染したのは季節性のAソ連型のウイルスで、新型インフルエンザではないことが判明しました。

 男子高校生の検査は難航していましたが、その理由として、国立感染症研究所の岡部信彦情報センター長は、少年が抗インフルエンザ薬の治療を受けて、検出されたウイルスの量が少ないことなどを挙げていました。

 国立感染症研究所では、ウイルスの遺伝子を増幅して検査を続けた結果、新型でないことがわかったものです。

 男子生徒は1日午後に熱も36度台にまで下がり、安定しているということで、回復次第、退院することになります。

(TBS NEWS、2009年5月1日17時51分)

**** 日テレNEWS24、2009年5月1日17時36分

横浜市の男子高生、新型感染を否定~厚労省

 新型インフルエンザに感染した疑いがあるとされた横浜市に住む男子高校生(17)は、国立感染症研究所で行われた遺伝子の詳しい検査の結果、新型ではない季節性インフルエンザに感染していたことがわかった。

 厚労省が1日午後5時半から行った記者会見によると、この男子高校生が感染していたのは「Aソ連型」と呼ばれる季節性のインフルエンザで、メキシコやアメリカで流行している新型のインフルエンザではない。男子高校生のウイルスの量が少なかったため、1日朝から国立感染症研究所で遺伝子などを詳細に調べた結果、判明した。

 現在、男子高校生は横浜市の病院に入院しているが、症状は軽く、熱も下がって、1日朝は普通の食事が出されて、食欲もあるという。

(2009年5月1日17時36分)

**** 朝日新聞、2009年5月1日2時4分

新型インフル、国内初の感染疑い例 横浜の男子高校生

 舛添厚生労働相は1日未明、記者会見し、国内で初めて、新型の豚インフルエンザの疑いがある患者が見つかったと発表した。カナダから帰国した横浜市に住む日本人男子高校生(17)という。今後、さらに詳しく調べて、新型インフルエンザ患者と確認されれば、国内初の症例となる。同行者がおり、複数の感染者が出ている可能性があるという。ただし、現段階ではAソ連型の可能性も残っている。

 厚労省によると、4月10~25日にカナダ・ブリティッシュコロンビア州に同行者とともに滞在。30日に医師の診察を受け、簡易検査でインフルエンザA型が陽性との結果が出た。発熱、せき、たんの症状がある。より詳しい「ウイルス遺伝子検査」(PCR法)の結果が解析不能だったため、もう一度検査する。感染の疑いがあれば、確定検査をする。

 同州では、29日現在、6人の新型インフル感染者が確認されている。

 同省は、国内での患者の行動や接触者、同行者の状況などを調べる準備をしている。検疫を通過した帰国者から感染疑い例が見つかったことで、国内でもすでに感染が広がっている恐れが出てきた。

 一方、成田空港に30日午後に到着した米ロサンゼルス発の航空機内での検疫では、乗客の日本人女性(25)に対する簡易検査でA型インフルエンザの陽性反応が出た。PCR法の検査をした結果、1日未明、A香港型と判明し、新型インフルには感染していなかったことが明らかになった。

 厚労省などによると、女性の周辺の乗客ら十数人も到着後、検査結果が判明するまで空港内に足止めされた。

 感染した疑いのある乗客が見つかった場合、周辺に座っていた乗客や担当の客室乗務員ら「濃厚接触者」(座席位置により最大で約50人)も、経過をみるため10日程度、空港近くのホテルに滞在させることになる。ほかの乗客にも質問票に連絡先を書いてもらい、それぞれの地元の保健所などが10日程度、健康状態の確認をする。

(朝日新聞、2009年5月1日2時4分)

**** 読売新聞、2009年5月1日2時1分

国内初、新型インフルの疑い…カナダ修学旅行の横浜の高校生

 舛添厚生労働相は1日午前1時半ごろから記者会見し、国内で新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の「疑い症例」が発生したと発表した。

 修学旅行でカナダを訪れていた横浜市内の男子高校生(17)で、発熱、せき、たんの症状があり、30日に医師の診察を受け、簡易検査でA型インフルエンザの陽性反応を示した。今後、さらに詳しい遺伝子検査(PCR検査)を行うが、確定診断には1~2日程度かかる見込みという。日本で疑い症例が確認されたのは初めて。

 舛添厚労相は「今の段階でいたずらにパニックになる必要はない。もし新型インフルエンザであれば、しかるべき対応をする」と述べ、冷静な対応を呼びかけた。

 舛添厚労相の説明などによると、高校生は4月10日から、カナダのブリティッシュコロンビア州を訪れ、政府の水際対策が始まる前の25日に帰国していた。

 A型インフルエンザには、新型インフルエンザのほか、ウイルスの型が同じタイプ(H1N1型)のAソ連型、さらに、A香港型(H3N2型)などがある。簡易検査の後、さらに詳しい遺伝子検査を行ったが、解析不能だった。同省では、国立感染症研究所でウイルスを詳しく調べて診断を確定させる。

 高校生は感染症指定病院に収容されている。同省は高校生が国内でどんな行動をとったかや、接触者、同行者などを調査する。舛添厚労相は「(高校生の通う)学校が臨時休校するという判断もありえる」と述べた。

 一方、同省などによると、30日午後3時半過ぎに成田空港に到着した米ロサンゼルス発の航空機内で、発熱を訴えた日本人女性(25)に対する簡易検査で陽性反応が出た。しかし、遺伝子検査を行ったところ、A香港型で、新型インフルエンザではないことが判明した。女性は千葉県内の病院で治療を受け、機内で女性の周囲にいた乗客ら十数人は、検査結果が判明するまで空港周辺に留め置かれていた。

 新型インフルエンザの判断については、国内で発生した場合は簡易検査で陽性が出た時点で疑い症例とするが、検疫の場合は簡易検査に加え、遺伝子検査を行ったうえで判断する。

(読売新聞、2009年5月1日2時1分)

**** 毎日新聞、2009年5月1日東京朝刊

新型インフルエンザ:高校生、感染疑い 水際、阻止できず 厚労相、未明の緊迫会見

 世界的に感染が拡大していた新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)は1日、ついに国内で初めての疑い例が確認された。厚生労働省職員は報道陣や関係機関からの問い合わせに追われた。懸念されていた日本上陸も現実味を帯び、関係者は緊張に包まれた。

 「横浜市から新型インフルエンザの疑いがある患者が出たと通報があった」

 国内初の「疑い例」が確認されたことを受け、舛添要一厚生労働相は1日午前1時半過ぎから厚労省で緊急会見に臨んだ。

 いったんは報道各社に1時半と伝えた会見予定を「1時15分から」に変更したが、結局、予告から20分以上遅れて会見場に姿を見せた。

 ◇機内検疫対象外

 メキシコに端を発した新型インフルエンザが世界に拡大する中、政府は「上陸」の水際阻止に全力を挙げてきたが、ついに国内でも感染の疑い例が判明した。感染が疑われる高校生がカナダから帰国したのは、感染が深刻になる以前にだった。

 最も重要な水際対策では、世界保健機関(WHO)が警戒度レベルをフェーズ4に引き上げた4月28日から、厚生労働省はメキシコなど発生国からの航空便の乗客に機内検疫を実施した。

 第三国経由の入国者にも質問票を配り、全員の健康状態を調べ、感染の疑いがある人が見つかった場合、入国手続き前に隔離措置を取っていた。

 水際対策をすり抜けてウイルスを持ち込む恐れがあるのは、検疫強化以前の帰国者と、潜伏期間中に入国してしまう感染者だ。今回発覚した高校生の場合、機内検疫が始まる3日前の4月25日に帰国していた。しかも、当初は機内検疫対象外のカナダ発の便だった。

 水際でのチェックをすり抜けた人がいた場合、国内でパンデミック(大流行)になるのは、患者が隔離される前に不特定多数に感染を広げる事態が国内各地で起きる場合だ。厚労省はこれまで「帰国者に感染疑いの例が出ても、すぐに過度の警戒をする必要はない」と説明していた。

 ◇発熱女性、成田で検査

 成田空港では30日、到着した米国機の機内検疫で、日本人女性の乗客1人が新型インフルエンザと同じA型のインフルエンザに感染していることが判明。その後の検査で感染していなかったことが分かった。

 成田国際空港会社によると、女性を乗せた米ロサンゼルス発のノースウエスト機(乗客199人、乗員13人)は、予定より約1時間早い午後3時45分ごろ到着。厚生労働省成田空港検疫所が機内検疫を実施した。この際、女性が高熱を訴えたため、検疫官が鼻やのどから粘液を採取。約15分で判定できる診断キットで検査した結果、A型インフルエンザと判明した。遺伝子検査でさらに調べている。

 女性は午後8時10分ごろ、検疫官に支えられながら階段をゆっくりと下り、検疫所の救急車に乗り込んだ。救急車はサイレンを鳴らさずに空港を出発。約20分後、約10キロ西にある成田赤十字病院に到着した。

 同病院によると、検疫所から受け入れの要請があったのは午後7時35分ごろで「A型のインフルエンザの陽性患者が出た」との内容だった。女性は自力で歩いて病院内に入り、直ちに感染症病床に入院したという。現在は感染症の専門医1人と看護師1人が24時間体制で健康状態を観察している。同病院によると、接触の機会を減らすため、限られた要員でローテーションを回すという。

 一方、関係者によると、女性から半径約2メートルの範囲にいた約10人は、遺伝子検査の結果が出るまで空港近くの宿泊施設に待機した。

 施設の従業員によると、午後10時前に施設に入った際は相当疲れた様子だったという。施設は30部屋を用意し、今後も検疫所から要請があれば応じる方針。 【倉田陶子、斎川瞳】

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 ◇新型インフルエンザ相談窓口

▽厚生労働省 03・3501・9031(午前9時~午後9時)

▽農林水産省 03・3591・6529(午前10時~午後5時、平日のみ)

▽外務省   03・5501・8000(24時間)内線4625、4627、4629

▽文部科学省 03・6734・2957(午前9時~午後6時半)

(毎日新聞、2009年5月1日東京朝刊)

**** 共同通信、2009年5月1日7時42分

同級生らの体調確認へ 感染疑いの高校生は快方に向かう

 横浜市は1日、国内で初めての新型インフルエンザの感染の疑いがあるとされ、市内の病院に入院している高校2年の男子生徒(17)について、一緒にカナダに修学旅行に行き、頻繁に接触していた同級生や教職員から体調について個別に事情を聴き、新型インフルエンザの症状が出ているかどうかの確認を急ぐ。

 同市健康福祉局によると、生徒は1日未明の段階で、熱が37度台前半に下がり、快方に向かっている。担当者が1日午前、生徒が入院している横浜市保土ケ谷区の市立市民病院に足を運び、あらためて修学旅行先での接触者や生活状況を把握する。

 病院で採取した生徒の検体は1日、国立感染研究所に運び、精密検査を実施。早ければ一両日中にも結果が判明する。

 生徒が通う同市栄区の高校は1日、クラブ活動を含め6日までの休校を決定。生徒には自宅待機し、外出は控えるよう求めた。同校によると、カナダ・ブリティッシュコロンビア州への修学旅行に参加したのは生徒115人、教員5人。

 一方、厚生労働省によると、生徒は4月30日に医師の診察を受けた。簡易検査で「A型陽性」と出たが、遺伝子を調べるPCR検査では、新型インフルエンザの感染の疑いがあるかどうか判定できない「解析不能」との結果が出た。

 舛添要一厚労相は、男子高校生との接触者などを調べる疫学調査の必要性も強調しており、感染の疑いの有無について「新しい情報が入り次第、お知らせする」としている。

(共同通信、2009年5月1日7時42分)