4/29 豚インフルエンザ関連のニュース
4/30 WHO、警戒水準をフェーズ5へ引き上げ 新型(豚)インフルエンザ
5/1 横浜の高校生、新型インフルエンザには感染してなかったことが判明 (厚労省の会見)
5/2 新型インフルエンザ アジアで初の感染確認例についての報道
**** NHKニュース、2009年5月4日17時4分
感染確認 1000人超える
新型インフルエンザの感染は、アメリカやニュージーランドでさらに患者が確認され、感染が確認された人は、20の国と地域で1000人を超えました。
メキシコ保健省は、3日、新型インフルエンザの感染が確認された人が84人増えて590人に上り、死者も3人増えてあわせて22人の死亡が確認されたと発表しました。これで、世界全体での死者はアメリカの1人を含めて23人となりました。また、感染が確認された人は、アメリカで13人増えてあわせて245人に上ったほか、ニュージーランドでもさらに2人の感染が確認されました。これで、感染が確認された人は、世界全体で20の国と地域で1034人となりました。国や地域の内訳は、▽メキシコで590人、▽アメリカで245人、▽カナダで101人、▽スペインで44人、▽イギリスで18人、▽ドイツで8人、▽ニュージーランドで6人、▽フランスとイスラエルで4人、▽イタリア、コスタリカ、エルサルバドルでそれぞれ2人、▽韓国、香港、オーストリア、スイス、オランダ、デンマーク、アイルランド、それにコロンビアでそれぞれ1人となっています。
(NHKニュース、2009年5月4日17時46分)
**** 共同通信、2009年5月4日10時26分
患者重症化傾向なしと米保健当局 「明るい兆し見えてきた」
【ワシントン3日共同】米疾病対策センター(CDC)は3日、米国内の新型インフルエンザの状況について、患者が重症化する傾向がなく「明るい兆しが見えてきた」との認識を示した。
記者会見した感染症問題の担当者、アン・シュケット博士によると、米国内の感染確認は半数を超える30州で226人。そのほか、疑い例がある州も多く「ほぼ全米にウイルスが広がっている」とした。
死亡例はメキシコから入国した幼児1人、入院した患者は30人だが、それ以外の大部分は回復している。50歳以上の感染者は極めて少なく、平均年齢は17歳という。
ウイルスの解析では、1918年に出現して世界的大流行を起こしたスペイン風邪のウイルスの病原性に関連する要素は持っておらず、感染力は強いが毒性はさほど強くないとの見方を示した。
メキシコの状況についても「安定してきた」との認識を示す一方、秋には季節性と新型、いずれのインフルエンザにも備える必要性を強調した。
米FOXテレビに出演したリチャード・ベッサー所長代行も「明るい兆し」に言及した上で「危機を脱したとは言えない」としている。
(共同通信、2009年5月4日10時26分)
**** 共同通信、2009年5月3日21時42分
WHO「6」引き上げの公算 軽微大流行を宣言も
【ジュネーブ3日共同】世界保健機関(WHO)の当局者は3日、共同通信に対し、新型インフルエンザ感染拡大の6段階の警戒水準(フェーズ)について「感染の勢いが衰えていない。(引き上げは)ここ何日という問題だ」と述べ、現在の「5」から世界的大流行(パンデミック)を意味する「6」へ早期に引き上げる公算が大きいとの見方を示した。
一方、WHOのライアン警戒対策部長は2日の定例記者会見で、引き上げるかどうかを「今後数日の事態の進展」で判断できる可能性があると述べる一方、「フェーズ6は症状の重さでなく地理的な感染拡大を示す」と強調。国境閉鎖や渡航制限の勧告を伴わない、事実上の「マイルド(軽微な症状の)パンデミック」宣言にとどまる可能性もある。
WHOが引き上げをめぐる判断を迫られているのは、英国やドイツ、スペインなど欧州地域を中心に感染者の確認が増え続けていることに加え、発生源とみられるメキシコなどへの渡航歴のない人まで多数巻き込んだ「地域社会レベルの持続的感染」が確認される可能性があるためだ。
同当局者によると、決め手となる「人-人-人」の3代にわたる感染報告が今月に入って欧州諸国から出始めている。
WHOの警戒水準の定義を適用すると、北米以外で持続的な感染が確認されれば「6」への引き上げ条件が整う。感染が確認された国・地域は2日にアイルランドが加わり計18となった。
各国政府や有識者の間には、WHOによるパンデミック認定には大きな社会的影響力があるため「簡単に上げるわけにはいかない」(国立感染症研究所の田代真人氏)などの意見も出ている。
(共同通信、2009年5月3日21時42分)
****** 毎日新聞、2009年5月3日
新型インフルエンザ:基礎知識 まず身近な予防策
メキシコに端を発した新型インフルエンザ。感染は世界各国に広がり、世界保健機関(WHO)は4月29日(現地時間)、警戒度を「世界的大流行(パンデミック)直前の兆候」を意味するフェーズ5に引き上げた。豚のインフルエンザウイルスが、どうやって人に感染する新型になったのか。どうすればウイルスから身を守れるのか。新型インフルエンザに関する基礎知識をまとめた。
◇メキシコ発端、世界に拡大
各国で確認された新型インフルエンザ患者の多くは、もとをたどればメキシコで感染したとみられている。
発端は4月24日。WHOが「メキシコと米国で豚インフルエンザの人への感染が相次ぎ、メキシコ市周辺で死者60人前後」と発表。米疾病対策センター(CDC)が同日、米国内の豚インフルエンザが「人から人」へ感染するウイルスであったと断定し、「新型」への懸念が一気にふくらんだ。
5月2日までのロイター通信の報道によると、メキシコでは、感染が確認された16人が死亡した。メキシコ以外の死者は1人で、米テキサス州で4月27日に死亡したメキシコ人の男児だ。男児は家族とともに同州を訪れていた。
ニュージーランドでは4人の感染が確認されたが、メキシコに3週間滞在して帰国した同じ高校の生徒。
他にもイスラエル2人、オランダ1人、スイス1人、オーストリア1人は全員が直前までメキシコに滞在していた。
メキシコに渡航歴がなくても、帰国した人から感染したと断定または推定される感染者も増えている。カナダ・ノバスコシア州の保健当局は、メキシコを学校旅行で訪れた生徒4人の感染を確認し、その生徒からうつされた症例が1人あると公表した。米ニューヨーク市の高校での集団感染や、スペインや英独で少なくとも1人について、同様の感染ルートが疑われている。【花岡洋二】
◇ワクチン開発4~6カ月 豚の体内で変異、別種にも感染
インフルエンザウイルスは直径約100ナノメートル(1万分の1ミリ)。中心にRNA(リボ核酸)という遺伝子があり、周囲のたんぱく質の種類でA、B、C型の3種類に大別できる。人間、鳥、豚、馬、アザラシなど多くの動物に感染するのはA型ウイルスだ。
A型には、いがぐりのとげのようなたんぱく質の突起が多数ある。突起はヘマグルチニン(H)とノイラミニダーゼ(N)の2種類でHは16種類、Nは9種類ある。HとNの組み合わせにより、「H1N1」「H5N1」など計144種類にタイプが分けられる。
インフルエンザウイルスは本来、水鳥の体内をすみかとしていたと考えられている。ウイルスは生きた細胞の中でしか生存できない。宿主が死ねば自分も死ぬため、ウイルスは水鳥に対して徐々に毒性をなくし、今では感染しても症状を示さなくなった。
ウイルスは一般に、動物の種の壁を越えて感染しにくい。ウイルスと細胞はカギとカギ穴のようにつながる部位を持っており、種が変わるとカギが合わず感染できなくなってしまう。ところが、まれにウイルスが変異して別種の動物への感染力を持つことがある。あるいは、特定の動物が仲介役になって別種への感染を引き起こす場合もある。代表的な仲介役が豚だ。豚は鳥と人のウイルスの両方に感染するため、体内で鳥、人、豚のウイルスの「雑種」を作る。
この雑種は簡単に種の壁を乗り越えてしまう。人がこれまで接したことのないウイルスだ。人は免疫を持たないため、感染すれば重症化する恐れがあり、「新型インフルエンザ」を引き起こす。
しかし、人にどの程度の病原性を発揮するかは容易に予測できない。H5、H7のウイルスは鶏を100%殺す「強毒」に変異する例もあるが、そのウイルスでも人は発症しないこともある。逆にスペイン風邪のように、鳥では弱毒なのに人間に大被害をもたらす例もある。
インフルエンザの予防にはワクチン、治療には抗ウイルス薬が使われる。日本で使われるワクチンは、鶏の有精卵にウイルスを注射して増殖させ、濃縮した後、薬剤でウイルスを死滅させて作る。ワクチンを投与すると、人体の免疫機能がウイルスの抗体を作る。本物のウイルスが体内に侵入しても、ウイルスを撃退してくれる。
しかし違う型のウイルスには効かない。新ワクチン開発には4~6カ月かかる。今回の新型インフルエンザのワクチンが使えるようになるのは、早くても秋以降になりそうだ。
治療に使われるオセルタミビル(商品名タミフル)やザナミビル(同リレンザ)などの抗ウイルス薬は、体内に入ったウイルスの増殖を抑える。ウイルス表面の突起ノイラミニダーゼは細胞表面にとりついて増殖したウイルスが次の細胞に移る際、離れるのを手伝う。抗ウイルス薬はこの働きを邪魔して、ウイルスをその場に「足止め」することで増殖を抑える。【奥野敦史】
◇日本の行動計画、5段階に分類
日本のインフルエンザ対策は、今年2月に改定された「新型インフルエンザ対策行動計画」が基になる。計画は、新型インフルエンザ発生前から、国内で発生して大流行を迎え、小康状態に至るまでの5段階に分類し、段階に応じた対策を定めている。
WHOが警戒レベルを「フェーズ5」としているものの、国内で発生していない現段階は、第1段階(海外発生期)になる。この段階で最も重視しているのが、国内侵入を食い止める水際対策だ。
発生国からの入国については、旅客機は4空港(成田、関西、中部、福岡)、客船は3港(横浜、神戸、関門)に集約化して検疫を実施し、新型インフルエンザの疑いが判明した人は隔離する。その人と長時間近くで過ごした人なども、空港近くの施設などに10日間程度とどまってもらう措置を取る。
国内で患者が発生すると、第2段階(国内発生早期)に移行し、国民の活動を制限する対策が大幅に増える。発生地域の住民の外出自粛▽集会や興行の自粛▽学校の一時休校▽企業の業務縮小--などだ。国の方針に基づき主に都道府県知事が要請し、都道府県単位で対応が取られる。
ただし、今回の新型インフルエンザは弱毒性と指摘されているため、「強い規制を伴う対策の実施はマイナス面も大きい」との声も出ている。政府も柔軟な運用をする方針だ。
◆新型インフルエンザQ&A
新型インフルエンザの症状や、個人でできる対策をQ&Aでまとめた。【下桐実雅子】
◇潜伏期間は最大10日 発熱、せき、関節痛など
◇人込みの外出避け、マスク着用、手洗いを徹底
◇米国ではほぼ軽症、疑わしい症状は保健所に相談
Q 症状は?
A 冬に流行する季節性インフルエンザと同じです。発熱やせき、のどの痛みのほか、関節痛、倦怠(けんたい)感などです。下痢や嘔吐(おうと)を起こす人もいます。メキシコでは重症者の多くが肺炎を起こしています。
Q 感染したら、すぐ発症するの?
A 季節性インフルエンザと同様と考えられ、潜伏期間は最大10日ほどです。感染者がウイルスを排出し、他人に感染させる期間は症状が出る少し前から発症後約1週間です。
Q ワクチンはあるのかな。
A 新型インフルエンザ発生に備えた鳥インフルエンザ(H5型)のウイルス株をもとに製造したワクチンは、豚から発生した新型インフルエンザ(H1N1型)への効果は期待できません。季節性インフルエンザのAソ連型はH1N1型ですが、ウイルス表面の抗原性が大きく異なっており、このワクチンも効果がありません。
Q では予防はどうしたらいいの?
A 主な感染経路は、せきやくしゃみによりウイルスが含まれた唾液(だえき)や鼻水の飛沫(ひまつ)による感染と、ウイルスが付着した手で鼻や目などの粘膜を触る接触感染です。対策は通常のインフルエンザと基本的に同じ。厚生労働省は、手洗いやうがいの徹底▽手洗いはせっけんを使って15秒以上▽人込みを避け不要不急の外出はしない▽十分な休養と栄養バランスの取れた食事--を挙げています。外出を避けるため、災害時のように2週間程度の食料・生活必需品の備畜を勧めています。WHOはうがいを勧めていません。厚労省によると、予防効果の証拠はないそうですが、日本では手洗い・うがいが習慣化されており、うがいを含めたそうです。
Q 市販のマスクで大丈夫なのかな。
A 厚労省は、やむを得ず外出する場合に、不織布(ふしょくふ)製マスクの着用は一つの防御策としています。ある程度の飛沫の侵入は防げるそうです。他人にうつさないために、せきやくしゃみの症状がある人は必ずマスクを着用するよう呼びかけています。医療現場で使われるマスクは、一般の人に適さないとしています。
Q 自分や家族に発熱など疑われる症状が出たらどうする?
A 厚労省は、メキシコや米国などの感染確認国から帰国した人などの相談窓口(03・3501・9031)を設置しています。10日以内に発熱などの症状があれば、最寄りの保健所に相談し、指示に従って医療機関を受診してください。
Q 治療法は?
A 国立感染症研究所によると、米国の感染者のほとんどが軽症で、インフルエンザ治療薬を服用しなくても多くは回復しているそうです。一方、早期に治療薬を使うと症状が早く治まるという報告も増えており、タミフルとリレンザは効果があるとされています。国はタミフル3380万人分、リレンザ270万人分を備蓄しており、医療機関で処方されます。
Q タミフルは予防にも使えるの?
A 新型について専門家は「限られた資源なので、基本的には症状の出た人に投与すべきだ」との見方です。厚労省も「自己判断で服用しないで、保健所などに相談してほしい」としています。
Q 豚肉は食べても大丈夫なのかな。
A 71度以上の加熱で、ウイルスは死滅します。適切に調理された豚肉や加工品は食べても安全です。
Q 大型連休中だけど、海外に行ってもいいの?
A 外務省はメキシコへの不要不急の渡航は延期を求めています。米国やカナダなど感染確認国に行く人にも、渡航先の最新情報を入手し感染予防策を徹底するよう呼びかけています。
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◇新型インフルエンザをめぐる経緯(現地時間)
3月 下旬 米国で最初の発症
4月 2日 メキシコで発症者を確認
24日 メキシコ市・州で学校が休校に。米疾病対策センターが人から人への感染と断定
25日 WHOが緊急委員会開催。世界的大流行(パンデミック)への警戒度は「3」に据え置き
26日 カナダで感染確認
27日 WHOが警戒度を「4」に引き上げ。スペイン、英国で感染確認。日本政府が「新型インフルエンザ発生」を認定。対策本部を設置し、行動計画を始動
28日 イスラエル、ニュージーランドで感染確認
29日 米国内で初の死者公表。WHOが警戒度を「5」に。独、オーストリアで感染確認
30日 メキシコが、発表する死者・患者数を感染確定者に限定し、死者「176人」が「12人」に。WHOが「豚インフルエンザ」の呼称をA(H1N1)に
米国便で帰国した日本人女性が、機内検疫の簡易検査で「陽性」反応。遺伝子検査の結果、季節性インフルエンザと判明
5月 1日 感染者500人超す。カナダでホームステイした日本人高校生に新型インフルエンザの疑い。遺伝子検査の結果、季節性インフルエンザと判明
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◇政府の行動計画第1段階(海外発生期)の概要
■政府の体制強化
・WHOのフェーズ4宣言時、全閣僚による対策本部設置
■感染症危険情報
・発生が確認された場合、感染症危険情報を出し渡航延期を勧告
■水際対策
・発生国からの入国者には質問票配布や診察を実施。感染可能性がある場合は原則として隔離
・発生国で患者と濃厚な接触があった人は一定期間、指定した施設で経過観察
・発生国の在外公館はビザ発給の審査厳格化や発給停止
■ワクチン製造
■発熱相談センター設置
■相談窓口設置
◇第2段階(国内発生早期)の概要
■水際対策
・感染の恐れのある人に不要不急の出国の自粛を勧告。発熱が見られる人のチェックインを拒否するよう航空会社に注意喚起
■国内での感染拡大防止
・患者の同居者や濃厚接触者、同じ職場の人への抗インフルエンザウイルス薬の予防投与を都道府県や医療機関に要請
・発生地域の住民に次の要請▽可能な限り外出を控える▽集会や興行施設の活動を自粛▽臨時休校や入学試験延期
■ワクチン接種開始
■発熱外来の整備
■患者及び接触者への対応
・都道府県等に次の点を要請▽新型患者は原則、感染症指定医療機関などで診療▽患者の接触者に経過観察期間を定め、外出自粛、健康観察、抗インフルエンザウイルス薬の予防投与などを指導
■事業者の対応
・全国の事業者に不要不急の業務の縮小を要請
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■国立感染症研究所
◇新型インフルエンザのページ
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/index.html
■厚生労働省
◇新型インフルエンザのページ
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html
◇都道府県の相談窓口
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/090430-02.html
■WHO(英語)
◇最新の状況
(毎日新聞、2009年5月3日)