4/29 豚インフルエンザ関連のニュース
*** 毎日新聞、2009年4月30日23時15分
新型インフル:検査試薬開発…6時間で判定 国立感染症研
国立感染症研究所は30日、新型インフルエンザの感染の有無を約6時間で判定する検査試薬を開発したことを明らかにした。現在は約24時間かかるが、試薬を使えば4分の1に短縮できる。感染研は試薬の検査結果を確認するのに必要な新型ウイルスの遺伝子を米疾病対策センター(CDC)から取り寄せたうえ、試薬とセットにして週明けに各地の地方衛生研究所に配布。全都道府県で迅速に判定できる検査体制が整う見込みだ。
検査では、患者ののどから採取した粘液を用い、そこに含まれるウイルスの遺伝子の型が新型ウイルスと一致するか調べる。試薬は、米国で公開された新型ウイルスの遺伝子情報を基に開発された。【江口一】
(毎日新聞、2009年4月30日23時15分)
*** 時事通信、2009年4月30日23時3分
日本人女性からA型陽性反応=新型インフル感染を詳細検査-米ロス便・成田
新型インフルエンザの感染拡大を受け、検疫態勢が強化された成田空港で30日午後、米国から帰国した日本人女性(25)が簡易検査の結果、A型インフルエンザの陽性反応を示した。厚生労働省は詳細検査を行い、新型インフルエンザ感染の有無を調べている。
検疫が各空港で強化されて以降、新型の豚インフルエンザと同じA型の陽性反応が出たのは初めて。同省は詳細検査の結果を5月1日午前7時に記者会見して発表する。
同省によると、女性にはせき、鼻水の症状があり、A型インフルエンザの感染を調べる迅速診断キットによる簡易検査を受けた。陽性反応が出たものの、季節性インフルエンザと判別できないため、女性を近くの成田赤十字病院に搬送。遺伝子診断「PCR検査」を実施し詳しく調べている。
同省幹部は報道陣に対し「初めてのケースなので検査には慎重を期したい」と説明。結果が判明するのは1日未明になるとした。
最終的な感染の有無は、米国から新型インフルエンザの資料を入手した後、さらに検査を行った上で確定する。
女性の周辺座席にいた乗客約20人は感染の可能性を否定できないため、空港内の施設で明朝までの待機を求めた。女性が新型インフルエンザに感染したと判断された場合、約20人は感染症法に基づき、指定施設に10日間とどめられる「停留」対象になるとしている。
女性は30日午後3時半、米ロサンゼルス発の米ノースウエスト1便で帰国した。
(時事通信、2009年4月30日23時3分)
*** 共同通信、2009年4月30日20時1分
WHO警戒水準「6」引き上げも 新型インフル感染13カ国に
【ジュネーブ30日共同】世界保健機関(WHO)は新型インフルエンザ感染拡大の警戒水準(フェーズ)を「4」から「5」に引き上げたが、30日にはスイスとオランダでも感染が確認され、感染確認は少なくとも13カ国に増加。世界的大流行(パンデミック)の正式認定を意味する「6」への引き上げも現実味を帯びてきた。
WHOは米国などの保健当局や製薬業界と連携し、新型インフルに有効なワクチン開発に欠かせない、ウイルスの遺伝子構造の全容解明などに全力を挙げる。大流行に対し「歴史上最も備えができている」(チャンWHO事務局長)とされる世界の対応力が試される。
感染が確認されたのは、死者が多数出ているメキシコをはじめ、北米、中南米、欧州、中東、オセアニアにまたがる。感染の疑い例はアジア、アフリカも含め20カ国で見つかった。
WHOの警戒水準の定義では、「5」と「6」の間には感染の地理的な拡大以外にほとんど違いはない。「5」への引き上げの理由は、メキシコの隣国である米国で、人から人への感染拡大と一部感染者の症状が比較的重かったことが確認されたことだ。米国では29日、首都圏で初めて疑い例が報告された。
(共同通信、2009年4月30日20時1分)
*** 読売新聞、2009年4月30日15時6分
新型インフル、手抜かりない備え冷静に進めよ
新型インフルエンザの警戒レベルについて、世界保健機関(WHO)がさらに1段階高い「フェーズ5」に引き上げたのは、世界的な経済・社会への影響を考慮しても、対策が遅れている国々に明確な警告を発する必要があると判断したからだ。
WHOの指針によると、フェーズ5は「世界6地域のうち、1地域の複数国で流行」と定義されている。今回の場合、南北アメリカ地域で、メキシコと米国の少なくとも2か国で流行が進行していると判断したものだ。
新型インフルエンザは、WHOなどが強毒性の新型インフルエンザとして警戒してきた「高病原性鳥インフルエンザ」とは異なり、これまでの調査では、弱毒性と考えられている。多くの人が免疫を持たない新型インフルエンザであることもまた事実で、対策をより強化しなければ、われわれ人類は引き返すことのできない事態に直面するだろう。
WHOのマーガレット・チャン事務局長も「人類全体が危機にさらされる」と警告したが、同時に指摘したように、「私たちは過去のどの時代よりも、新型インフルエンザに備えができている」のも事実だ。
日本にとって幸いなことは、国内ではまだ感染者が出ていないことだ。政府はすでに国内にウイルスを侵入させないため、フェーズ4の段階から徹底した水際対策に着手している。
忘れてはいけないことは、国内で患者が発生しない限り、基本的な対策方針もこれまでとまったく変わらないことだ。とはいえ、国内発生を前提に、冷静に手抜かりのない備えをより進める必要がある。 【科学部 本間雅江】
(読売新聞、2009年4月30日15時6分)
****** 毎日新聞、2009年4月30日夕刊
新型インフルエンザ:「フェーズ5」 「大流行直前の兆候」WHO、米の2次感染受け
【ジュネーブ澤田克己】新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)が世界に拡大している問題で、世界保健機関(WHO)は29日、世界的大流行(パンデミック)に備える警戒レベルを、現行の「フェーズ4」から「パンデミック直前の兆候」を意味する「フェーズ5」に初めて引き上げた。メキシコと米国での人から人への2次感染を重視した。WHOは、各国に高度の警戒を継続し、検疫強化などの対策を取るよう求めた。また、製薬企業にも協力を要請した。マーガレット・チャン事務局長が29日、会見して明らかにした。
「5」は、6段階ある警戒レベルの上から2番目で「人から人への地域レベルの感染が少なくとも2カ国で起き、大流行直前の兆候がある」段階。メキシコに加え米国からも地域レベルの感染報告があったことを引き上げの理由に挙げた。米ニューヨーク市の高校で、メキシコ旅行から帰った生徒からの2次感染が広がったことを考慮した。
インフルエンザ対策責任者であるフクダ事務局長補代理は、パンデミックを意味する「6」に触れ「我々はそこへ向かっている」と、WHOが「6」も視野に入れていることを示唆した。
チャン事務局長は、変異を繰り返すウイルスは「予測不可能」で、「パンデミックがどれだけ深刻なものになるかは最大のなぞだ」と警戒感を表明。「(先進国より)深刻な症状を起こす」と、発展途上国での被害拡大に憂慮を示した。
一方、「4」に引き上げた際に行った、渡航制限や国境閉鎖は行うべきでない▽季節性インフルエンザワクチンの生産は継続されるべきだ--という勧告は維持すると表明した。
各国に新型インフルエンザ対策計画の発動を要請するとともに、インフルエンザに似た病気や肺炎の特異な流行に対する監視を続けるよう求めた。また、インフルエンザ治療薬の提供など、製薬企業にも協力を依頼した。
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■解説
◇「国内」想定、体制整備を
「フェーズ5」は「2カ国以上で人から人への感染が確認され、パンデミック(世界的大流行)の直前の兆候がある」ことを意味する。日本でも感染者が出ることを想定した対策が改めて急務になったと言える。
新型インフルエンザウイルスは、日本で毎冬に流行する季節性インフルエンザウイルスと同様、「弱毒性」と指摘されている。政府の新型インフルエンザの行動計画は強毒性の鳥インフルエンザを前提に作られており、柔軟に運営することが求められる。また、新型には大半の人に免疫がなく、患者が多発、ピーク時には医療機関に人が殺到し大きな影響が出かねない。現在の水際対策に加え、ワクチン製造や治療手順など体制を整える必要がある。
一方、WHOのチャン事務局長が「特に途上国で致死性が高くなる可能性がある」と言及したように、現在の感染拡大は軽視できる状況ではない。人から人に感染していく過程で毒性が強くなる恐れもある。強毒になるかどうかを早期発見する体制の強化も急務であり、日本を含めた先進国の役割は大きい。【関東晋慈】
(毎日新聞、2009年4月30日夕刊)
*** 読売新聞、2009年4月30日7時43分
厚労相「引き続き冷静な対応を」
…警戒水準「5」で緊急会見
世界保健機関(WHO)が新型インフルエンザの警戒水準を「フェーズ4」から「5」に引き上げたことを受けて、舛添厚生労働相は30日朝、厚労省内で緊急記者会見を行い、「フェーズ4に引き上げられた段階で、国・地方自治体をあげて必要な対策を講じている。現時点で国内に患者が発生している状況ではない。国民は引き続き冷静に対応してほしい」と呼びかけた。
舛添厚労相は国内での感染者発生に備え、院内感染に配慮した発熱外来の準備、新型インフルエンザのワクチン製造などの対策を実施していくことを改めて表明。「今は水際対策に最善を尽くしているが、危機管理としてはウイルスが日本に侵入することを前提している。その時も、国民には冷静に対応していただく」と強調した。
(読売新聞、2009年4月30日7時43分)
*** AFP、2009年4月30日8時20分
WHO、新型インフルの警戒水準を「フェーズ5」に引き上げ
世界保健機関(WHO)は29日夜(日本時間30日早朝)、メキシコを中心に猛威を振るう新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)への警戒水準をこれまでの「フェーズ4」から「フェーズ5」に引き上げたと発表した。同日、メキシコ以外では初めて、米国で新型インフルエンザによる死者が確認されたことなどを受けたもの。
WHOのマーガレット・チャン事務局長は会見で、「各国はただちにパンデミック(世界的大流行)対策を実行に移さなければならない」と強調した。
フェーズ5はパンデミックの一歩手前の状態を意味し、かなりの数のヒトからヒトへの感染があることの証拠があるとされている。
(AFP、2009年4月30日)
*** 朝日新聞、2009年4月30日5時16分
WHO、警戒水準をフェーズ5へ引き上げ
豚インフルエンザ
【ジュネーブ=南島信也】新型の豚インフルエンザの感染拡大が世界各国で歯止めがかからない状況を受け、世界保健機関(WHO)のマーガレット・チャン事務局長は29日夜、緊急記者会見し、警戒レベルを「フェーズ4」から「フェーズ5」に引き上げると発表した。メキシコ、米国以外の地域で感染者が増加し、二次感染とみられるケースも増えていることから、引き上げが必要と判断した。
警戒レベルは27日に「フェーズ4」に引き上げられたばかり。「フェーズ5」は人と動物の混合ウイルスによる地域単位の感染が、1つのWHO管轄地域内の2カ国以上で起きており、大流行(パンデミック)の兆候があると認定された場合に宣言される。
(朝日新聞、2009年4月30日5時16分)