ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

新型インフルエンザ 国内すでに1千人規模か

2009年05月17日 | 新型インフルエンザ

昨日、新型インフルエンザA(H1N1)の国内での人から人への感染が初めて確認されましたが、その後、続々と国内感染事例が報道されています。「日本国内の感染者数は、すでに1000人レベルを超えた可能性がある」と専門家(田代真人・国立感染症研究所・ウイルス研究センター長)が述べています。これから新型インフルエンザの国内感染者数が、千人→1万人→十万人→百万人と拡大していく過程で、現在の厳戒態勢を継続するのが次第に困難となってゆくと思われます。

新型インフルエンザ 国内発生を初めて確認

**** 読売新聞、2009年5月17日21時47分

新型インフル感染、国内すでに1千人規模か

…感染研センター長

 【ジュネーブ=金子亨、高田真之】国立感染症研究所の田代真人インフルエンザウイルス研究センター長は17日、滞在先のジュネーブで記者団に対し、日本国内で新型インフルエンザの感染が確認されたことについて、「(感染者数は)すでに1000人レベルを超えた可能性がある」と述べた。

 田代氏は、新型インフルエンザの警戒レベル引き上げの是非を世界保健機関(WHO)事務局長に提言する緊急委員会の委員。感染は北米地域で広く確認されており、レベルを現行の「フェーズ5」から世界的大流行(パンデミック)を意味する「6」に引き上げるには、北米以外で感染が継続していることが要件になる。

 田代氏は「(今後の日本の状況が)フェーズ6に引き上げる判断材料になる可能性があり、WHOは注視している」と指摘した。

(読売新聞、2009年5月17日21時47分)

**** 毎日新聞、2009年5月17日21時44分

新型インフル:「日本も地域社会へ拡大」

WHO電話会議で

 【ジュネーブ澤田克己】日本での新型インフルエンザ感染拡大を受けて、世界保健機関(WHO)は17日、日本の専門家などを交えた電話会議を開いて状況を検討した。会議に参加したWHO関係者は「日本では既に(ウイルスが地域社会に)出ていってしまっている可能性が高いのではないか」という見方を示した。

 WHOが「地域社会での感染拡大」を認定すれば、米州以外で初めてとなる。「世界の2地域以上で地域社会での感染拡大」が確認されると、新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)に備える警戒度を現在の「フェーズ5」から最高レベルである「6」へ引き上げる条件がそろうことになる。

 ただ、ケイジ・フクダ事務局長補代理ら幹部は「病気の重さとフェーズは無関係」と繰り返しており、警戒度引き上げに伴って新たな対策が取られるという状況にはない。インフルエンザ対策を担当するWHOの進藤奈邦子医務官は「5と6は単純に地理的な広がりだけの違い。WHO内部では、もうパンデミックが起きているという認識で行動している」と話している。

 警戒度引き上げを巡ってはこれまで、欧州諸国での感染拡大が引き金になると見られていた。特に、英国とメキシコでの感染拡大が注目されていたが、スペインは感染者のほとんどがメキシコ帰りで、英国もメキシコ旅行をした生徒が在籍する学校での感染拡大が多い。WHOは「両国とも感染源を特定できない地域社会レベルの流行とは言えない」(フクダ事務局長補代理)としてきた。

 ただ、日本の場合、大阪と神戸での感染拡大は今のところ海外渡航歴を持つ人との関連が見つかっておらず、英国、スペインとは状況が違いそうだ。WHO勤務経験のある日本人医師は「日本は欧州より人口密度が高く、インフルエンザが流行しやすい」と話しており、WHOはこうした点を重視して日本での感染拡大に警戒感を強めている模様だ。

(毎日新聞、2009年5月17日21時44分)

**** NHKニュース、2009年5月17日19時42分

専門家“週明け以降注意を”

大阪府や兵庫県で新型インフルエンザの感染者が相次いで報告されていることについて、新型インフルエンザ対策に詳しい久留米大学の加地正郎名誉教授は「今は関西だけだが、首都圏など、関西との間で人の行き来が激しい地域にも、今後感染が広がるおそれがあり、注意が必要だ。特に、この週末関西に行っていた人が、感染して症状が出ないまま東京などほかの地域に戻ると、週明けのあす以降、その地域で感染を広げることにもつながりかねない。高熱やせきなどインフルエンザのような症状が出た人は、学校や会社を休んで発熱相談センターに連絡するなど、適切な対応を取ることが大切だ。症状が軽いからといって会社や学校に行ったりすると、ウイルスを排出して感染を広げるおそれがあるし、薬を飲んで熱が下がっていてもウイルスを排出することがあるので、注意してほしい」と話しています。

(NHKニュース、2009年5月17日19時42分)

**** 朝日新聞、2009年5月18日1時37分

新型インフル感染者急増 国内患者、計96人に

 新型の豚インフルエンザの感染者は、兵庫県に続いて大阪府でも相次いで確認されるなど17~18日未明に新たに84人増え、厚生労働省や自治体によると、18日未明までで累計96人(成田空港の検疫で見つかった4人を含む)にのぼった。高校生が9割を占め、感染者が確認された学校は16日の2校から10校以上に拡大した。症状は多くが軽く、快方に向かっているという。大阪府の橋下徹知事は18日未明、「厚労省と協議した結果、府内全域の中学、高校が1週間の休校となる予定」と発表した。期間は18日から1週間。

 日本の感染者数は米国、メキシコ、カナダなどに次ぎ、急激に増えている。世界保健機関(WHO)が、警戒レベルを現在の「フェーズ5」から、世界的大流行(パンデミック)であることを示す「フェーズ6」に引き上げるかどうかの判断をめぐり、日本への注目が高まっている。

 16日に確認された兵庫県立神戸高校(神戸市灘区)と同兵庫高校(同長田区)のほかに、新たに確認されたのは私立関西大倉高校・中学(大阪府茨木市)と関西大学(同吹田市)、兵庫県立高砂高校(兵庫県高砂市)、同八鹿(ようか)高校(同養父(やぶ)市)、同豊岡高校(同豊岡市)、田山高校(同朝来市)、神戸市立工業高専(神戸市西区)、私立神戸村野工業高校(同長田区)、私立六甲高校(同灘区)など。関西大倉高校は、感染が確認された生徒のほかにも、インフルエンザのような症状を訴えている生徒が百数十人いるという。

 感染者は大阪府43人、兵庫県53人。高校生や大学生だけでなく、家族や教員にも感染者が出ている。大阪府八尾市で小学生では初めて6年生の女子が確認された。周囲には、これまでに感染が確認された人が通う高校の関係者はいないとされ、別の感染経路が考えられる。

 厚労省と関係自治体は、感染者の周囲の「濃厚接触者」に関する調査を進めている。濃厚接触者には自宅待機を要請し、健康状態や渡航歴を確認している。

 感染者が神戸市以外でも出たことについて、厚労省の担当者は会見で「(大阪と神戸は)疫学的なリンク(関係性)があるかも知れないし、独立した事象かも知れない。疫学調査の結論調査を見て判断すべきだ」と話し、政府の新型インフルの国内対策を「第2段階」から「第3段階(感染拡大期)」に移すには時期尚早との認識を示した。

 新型インフルは毒性は低いが、感染力は強いとされる。今後、兵庫県や大阪府で患者が増え、関連の病院の病床が不足する可能性がある。厚労省の担当者は、医療態勢については国と地元自治体が協議し、地域ごとに弾力的に対応する方針を明らかにした。

 また、現在は都道府県の検査で新型インフル陽性となった場合、国立感染症研究所で最終確認しているが、厚労省は神戸市、兵庫県、大阪府、大阪市の検査結果について信頼性が確かめられたとして、同研究所での確認を不要とした。

(朝日新聞、2009年5月18日1時37分)

**** 読売新聞、2009年5月18日2時5分

新型インフル国内感染数96人に

…成田検疫4人を含め

 神戸市の兵庫県立高校2校の生徒8人に新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)への感染が確認されたのに続き、18日未明までの厚労省などの発表で、新たに同県や大阪府の高校生や教諭ら84人の感染が確認された。

 海外渡航歴のない高校生が多く、感染者のいる高校では発熱などを訴える生徒も多数いる。高校を中心とした集団感染を食い止めるため、神戸市や大阪府などは大規模な休校措置を取り、休校数は1400校を超えた。「国内感染」はこれで92人となり、成田空港での検疫で判明した4人も含めると、国内の感染者数は計96人となった。

 18日午前1時現在で感染が確認されているのは、大阪府では、関西大倉中高(茨木市)の生徒36人と講師、生徒の家族など。兵庫県では、六甲高(神戸市)の生徒9人、県立神戸高(同)の生徒11人と保護者、県立兵庫高(同)の生徒12人、県立高砂高(高砂市)の生徒3人、県立八鹿(ようか)高【養父(やぶ)市】の生徒1人と教諭、県内の高校生11人など。関西大倉高では、併設の中学も含め、約190人がインフルエンザの症状を訴えたため、大阪府などが調査を進めている。

 さらに、大阪府八尾市の小学6年女児(11)のほか、同府吹田市の大学生らの感染も確認され、広範囲に二次感染が進んでいる可能性が出てきた。

 厚労省と兵庫県などによると、同県内の高校で感染が確認された生徒はバレーボール部員が多く含まれていたが、ほかに文化系などの部活動の生徒もいた。厚労省によると、自治体側は16日に感染が確認された神戸、兵庫高校の生徒8人の「濃厚接触者」として161人をリストアップし、自宅待機要請や健康状態の確認などを進めている。

 大阪府は17日、茨木市など12市町に小中高校・幼稚園などを23日まで臨時休校するよう求め、府内の休校数は計676校に達した。府は全小中高・幼稚園に、児童・生徒にインフルエンザの症状があれば出席停止とするよう要請。茨木、豊中、吹田市の保育所、高齢者介護の通所施設、映画館などにも休業を求めた。

 兵庫県でも、県立高や公立小中などの休校数は743校に上っている。

(読売新聞、2009年5月18日2時5分)

**** 朝日新聞、2009年5月18日5時1分

新型インフル拡大 

「ドクターは戦場にいるような状態」

 「ドクターは戦場にいるような状態だ。能力オーバーになりつつある」

 神戸市保健福祉局の桜井誠一局長は17日午前の記者会見で、新型インフルエンザの感染者の診療にあたっている市立医療センター中央市民病院の現状について語った。

 神戸高校で初の感染者が出た16日以降、電話相談を経ずに発熱外来を直接訪れる市民が急増。ウイルスが病室外に出ないよう工夫された病床が36床あるが、感染した患者らで、すでに「ほぼいっぱい」。別の病棟を空けて検査結果待ちの患者を入れ始めた。

 大阪府北部の発熱外来には17日、発熱相談センターの紹介で17人が訪れ、直接来たのは21人。それぞれ前日の約3倍という。17日朝、市消防本部が病院前に待合用のテントを二つ張って対応した。自家用車で来た人には、車の中で待ってもらった。

 病院職員は「これ以上増えると救急医を発熱外来に回さなければならない。新型は季節性と症状も治療も変わらない。分けないで対応したいのだが……」と話す。

 一方、発熱相談センターも相談の電話が急増している。

 兵庫県と県内の政令、中核市の各発熱相談窓口に16日に寄せられた相談は、前日の6倍以上にあたる計約900件に達した。神戸市の相談センターは16日分は588件。その後もこれを上回る勢いで増え、電話回線を3本から7本に増やした。

 大阪府でも16日、15カ所への相談センターの相談件数が、前日の125件から8倍以上の1039件に跳ね上がった。その6割にあたる651件は本庁の発熱相談センターに集中。前日の65件から10倍増となった。専用電話は鳴りっ放しの状態だ。

 大阪市の発熱相談センターも市内で感染者が出てから相談件数が激増した。中川正・同市保健所長は嘆く。「発熱相談の電話でてんてこ舞い。疫学的な調査に人がさけない。感染者のつながりがどうやねんということはまだ」

(朝日新聞、2009年5月18日5時1分)