専門家の以下の見解が示されました。
・ 新型インフルエンザの病原性は、通常のインフルエンザと同程度である。
・ 感染力の強さから流行は急速に広がる恐れがあり、感染拡大を抑え健康被害を減らす努力は絶対に必要である。
・ 新型インフルエンザでは60代以上で重症化した人がほとんどいない。高齢者が何らかの免疫を持っている可能性もある。
**** NHKニュース、2009年5月6日18時33分
新型インフル 感染1656人
新型インフルエンザは、メキシコやアメリカで、新たに80人の感染が確認され、これまでに世界で感染が確認された人は、22の国と地域で1656人に上っています。
メキシコ政府は5日、国内の新型インフルエンザの感染者が76人増えて942人になったとことを明らかにしました。このうち死亡した人は、29人に上っています。またアメリカでは、新たにハワイのオアフ島で3人の感染が確認され、感染が確認された人は、全米50州のうち39州であわせて407人になりました。このうちテキサス州の保健当局は、呼吸器系の病気を患い、今週初めに死亡した36歳の女性が、新型インフルエンザに感染していたことを確認したと発表しました。さらに▽カナダで165人、▽スペインで73人、▽イギリスで28人、▽ドイツで9人、▽ニュージーランドとイタリアで5人、▽フランスとイスラエルで4人、▽韓国とエルサルバドルで2人、▽香港、オーストリア、スイス、オランダ、デンマーク、アイルランド、ポルトガル、コスタリカ、コロンビア、グアテマラでそれぞれ1人、感染が確認されています。これで、世界でこれまでに感染が確認された人は、あわせて22の国と地域で1656人に上っています。
(NHKニュース、2009年5月6日18時33分)
**** 共同通信、2009年5月6日21時15分
病原性は通常インフル並み 高齢者に免疫?専門家見解
世界保健機関(WHO)の新型インフルエンザに関する委員会メンバーの田代真人国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長は6日、同研究所の記者会見にテレビ中継で参加し、新型インフルエンザの病原性について「通常のインフルエンザと同程度」との見解を示した。
注目すべき特徴としては60代以上の重症患者がほとんどいない点を挙げ、理由は不明としながらも、この世代が何らかの免疫を持っている可能性も考えられるとした。
死者が多いメキシコの状況については「未報告の感染者が多いとみられ、実際の致死率は低い」との見方を示した。
病原性について田代氏は従来「弱毒性」との見方を示しているが、今回はより具体的な見解を明らかにした。しかし感染力の強さから流行は急速に広がる恐れがあるとして「拡大を抑え健康被害を減らす努力は絶対必要だ」と強調した。
田代氏は、通常のインフルエンザでは高齢者が重症化しやすく肺炎も多いが、新型では「不思議なことに60代以上で重症化した人がほとんどいない」と指摘。感染国の高齢者が何らかの免疫を持っている可能性もあるとしたが「現時点で理由は説明できない」とした。
メキシコの状況については、当初は肺炎で死亡した若者が多く、致死率は高いとの報告があったが、感染確認は少なかったとして「実際の致死率は低いと考えられる。患者数は今報告されている数百人ではなく、数万人ではないか。症状が軽く医療機関に受診しない患者がたくさんいると推定される」とした。
(共同通信、2009年5月6日21時15分)