ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

新型インフルエンザ 国内初の感染確認

2009年05月09日 | 新型インフルエンザ

コメント(私見):

日本国内でも、新型インフルエンザ感染が初めて確認されました。今回、新型インフルエンザ感染を確認された3人は、現在、成田市内の感染症指定医療機関で隔離されて治療を受けています。また、患者の周りの座席の乗客ら計49人が、検疫法に基づき宿泊施設に10日間隔離されることになりました。

ただ、新型インフルエンザ感染が確認された人は、29か国で合わせて3456人もいます。今回のGWを海外で過ごした人は何十万人もいますから、海外で新型インフルエンザに感染した人も少なくないと思われます。ウイルスに感染しても症状が発現するまでには数日かかります。帰国時に症状がまだ出てなければ検疫でのチェックの対象外で、そのまま検疫をすり抜けて、既に帰国している人も少なくないと考えられます。

今後は、日本国内での人から人への感染例が爆発的に増えていくことも、十分に予想されます。身近なところで新型インフルエンザに感染した人が多く確認されるようになるのも時間の問題と考えられます。そうなった時に、我々はいかに対応していくのか?みんなで綿密に作戦を練っておく必要があります。これからが正念場だと思います。

**** NHKニュース、2009年5月9日18時18分

新インフル 国内初の感染確認

 カナダでの交流事業に参加し、8日、成田空港に帰国した大阪府の高校生ら3人が、国内で初めて新型インフルエンザに感染していることが確認されました。感染の拡大を防ぐため、近くのホテルに滞在する措置がとられている49人のうち、高校生7人が発熱やせきなどの症状を訴え、詳しい検査を行って新型インフルエンザに感染していないか調べることにしています。

 新型インフルエンザに感染していることが確認されたのは、8日午後、アメリカのデトロイトから成田空港に帰国した大阪府の男子高校生2人と40代の男性教員のあわせて3人です。厚生労働省によりますと、この3人は検疫の簡易検査で陽性反応を示し、東京の国立感染症研究所でウイルスの遺伝子検査をした結果、新型インフルエンザに感染していることが確認されました。国内で新型インフルエンザの感染者が確認されたのは初めてです。厚生労働省は、この3人を検疫法に基づいて成田市内の感染症指定医療機関に隔離し、治療を進めています。大阪府教育委員会によりますと、この3人は、先月24日から、ほかの生徒と引率の教員あわせて33人といっしょにカナダのオンタリオ州を訪問し、地元の高校との交流事業に参加していたということです。厚生労働省は、この33人と、機内で近くに座っていた乗客や乗員16人のあわせて49人についても、感染の拡大を防ぐため、今月18日までの10日間、近くのホテルに滞在してもらう「停留」措置をとりました。このうち高校生7人が発熱やせきなどの症状を訴え、簡易検査では陰性でしたが、念のため、詳しい検査を行って新型インフルエンザに感染していないか調べることにしています。一方、感染した高校生のうち1人は機外に出たあと症状を訴えたため、周辺に座っていて本来、停留の対象となる乗客が最大で11人そのまま入国したということで、保健所を通じて連絡を取っています。また、同じ旅客機に乗っていたほかの乗客についても、保健所から定期的に連絡を取って健康状態を確認することにしています。

(NHKニュース、2009年5月9日18時18分)

**** 朝日新聞、2009年5月9日13時35分

国内初の新型インフル感染確認 

成田帰国の大阪の3人

 厚生労働省は9日、成田空港の検疫で、米デトロイト発の便で帰国した大阪府内の日本人男性3人が、新型の豚インフルエンザに感染していることを確認したと発表した。国立感染症研究所でウイルスの遺伝子検査をした結果、新型インフルの陽性反応が出た。国内で感染者が確認されたのは初めて。

 厚労省や府教委によると、感染が確認されたのは大阪府寝屋川市の府立高校の教員(46)と生徒2人(いずれも16)の計3人。市内の府立高3校の教員と生徒合わせて36人で、4月24日~5月7日に語学研修のためカナダのオークビルに滞在し、米デトロイトを経由して、ノースウエスト航空25便で8日午後4時半過ぎに成田に到着した。

 同便の乗客・乗員は約410人。3人のうち教員1人と生徒1人は、成田で検疫官が乗り込んだ機内で症状が確認された。厚労省は、生徒らの近くに座って「濃厚接触」の可能性がある乗客(最大52人)や、同行者らのうち、合わせて乗客47人、乗員2人の計49人に空港周辺の施設などにとどまってもらっている。検疫法にもとづき到着から10日間空港近くの宿泊施設で過ごしてもらう。濃厚接触の52人のうち13人は国外に出たという。

 3人のうち1人は機内検疫の際には検疫官に体調不良を訴えず、サーモグラフィーでも発熱が見つからなかった。大阪方面への乗り継ぎのために機外に出てから体調不良を訴えた。

 この1人が機内で座っていた席の周囲には、濃厚接触した可能性がある乗客らが最大11人いた。本来は空港近くの宿泊施設などにとどまってもらう対象だが、すでに入国したり、乗り継いで日本を出てしまったりした可能性がある。舛添厚労相は「感染する危険性がある」と話し、厚労省は全乗客に連絡を試みる。連絡がつけば地元の都道府県知事が自宅待機を求める。

 教員は発熱やせき、関節痛などの症状があった。生徒2人は鼻水とせきがあり、うち1人は熱があった。3人は8日夜から千葉県成田市内の病院に入院。9日朝の時点で教員は熱があるが、生徒2人に熱はない。

 政府は9日午前、新型インフルエンザ対策本部の幹事会を首相官邸で開き、当面はメキシコなどから到着した便を対象とした現行の検疫態勢を維持することを確認した。空港での検疫段階で見つけたことから政府は「国内発生」に当たらないと判断。「ただちに国内の感染拡大につながる可能性は低い」として、渡航制限などの新たな段階の対策にすぐには移行しない。世界保健機関(WHO)に感染者3人の確認を届け出る。

 同日朝、記者会見した舛添厚労相は「(国内発生にすると)国民の経済活動や自由な動きを制限しなければならない。まだそこまでやらなくてもいいだろうという判断」と話した。

 3人とも検疫の簡易検査でA型のインフルエンザと診断された。さらに同研究所でウイルスの遺伝子検査をしたところ、A型だが、通常の季節性インフルエンザのA香港型ではないことがわかり、さらにウイルスの表面にあるたんぱく質が、新型でA型の豚ウイルスと同タイプだった。カナダ政府のホームページによると、8日現在で同国内の新型インフルエンザ感染者は計242人。オンタリオ州は最も多い61人。

(朝日新聞、2009年5月9日13時35分)

**** 読売新聞、2009年5月9日6時45分

新型インフル、国内初の感染確認

…大阪の高校生ら3人

 厚生労働省は9日午前、カナダへの短期留学から米国発の航空機で8日夕に成田空港(千葉県成田市)に帰国した、大阪府立高校の男子生徒2人と40歳代の男性教諭の計3人について、国立感染症研究所(感染研)での遺伝子検査の結果、いずれも新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)への感染が確認されたと発表した。

 国内で新型インフルエンザへの感染者が見つかったのは初めて。

 政府は近く世界保健機関(WHO)に日本での感染例として報告するが、指針の「行動計画」上は、入国前の検疫時の発見で国内での感染ではないとして現在の「第1段階(海外発生期)」から「第2段階(国内発生期)」に引き上げず、引き続き水際対策を徹底する方針。

 厚労省では9日午前8時半から舛添厚労相が記者会見する。

 厚労省や大阪府教育委員会によると、短期留学は大阪府立高校3校による国際交流事業で、3校の生徒30人と付き添いの教員6人の計36人が参加。4月24日から5月7日までカナダ・オンタリオ州オークビル市内の3高校を訪問していた。

 一行は8日午後4時40分頃、米デトロイト発のノースウエスト機で成田空港に到着。その際の機内検疫で、教諭と男子生徒1人にせきなどの症状があり、簡易検査でA型インフルエンザが陽性と判明した。

 その後、もう1人の男子生徒も同様の症状を訴えてA型陽性が確認されたため、同空港検疫所で3人の検体についてウイルスの遺伝子検査を実施したが、深夜になって電気系統のトラブルで検査が中断。

 同時に検体を送っていた感染研による遺伝子検査で9日早朝、3人の新型インフルエンザ感染が確認された。

 感染確認を受け、3人は検疫法に基づいて成田市内の感染症指定医療機関に隔離入院され、治療を受けている。8日時点の体温は高校教諭が38・6度、男子生徒は37・1度と36・1度だった。

 残る生徒28人と引率教諭5人、さらに近隣座席の乗客14人と担当客室乗務員2人の計49人も感染の恐れがある「濃厚接触者」として、9日朝まで空港近くの宿泊施設で待機した。今後は同法に基づいて近くの別の宿泊施設で10日間留め置かれ、医師が毎日、健康状態を確認。仮に発症した場合は抗インフルエンザ薬の投与を受ける。

 その他の乗客についても今後、同検疫所が居住地の都道府県に連絡し、地元の保健所が一定期間、電話などで発症の有無を確認する健康観察を行う。

 WHOの警戒度の引き上げを機に政府が新型インフルエンザ対策本部を設置した4月28日以降、この3人のケースが判明するまでに、計17人の「疑い患者」があったが、検査の結果、いずれも新型でないことが確認されていた。

(読売新聞、2009年5月9日6時45分)

**** 朝日新聞、2009年5月9日13時53分

現地で発熱したが予定通り帰国 

大阪府教委会見

 マスクの未着用、教員も発熱したが予定通り帰国……。大阪府教育委員会が9日午前から計3回開いた記者会見などで、学校や府教委の対応に疑問が浮かびあがった。

 一行が滞在中にカナダなどで感染が広がり、府教委は4月28日、対策本部を設置。3校にメールで、生徒の健康観察の徹底▽手洗いやマスク着用の励行▽カナダ国内の感染状況の情報収集▽帰国後も10日間は学校で健康観察を続ける――の4点を通知した。しかし、指示は徹底されなかった。引率教員らは主な滞在先のオークビル一帯でも感染者が確認されたことについて把握せず、生徒はマスクもつけていなかったという。

 高校側は5月1日、マスクを50枚発送し、現地に5日までについたが、引率の教員が「現地は平穏でマスクをつけていると周囲に違和感を持たれる」と判断し、着用を見送った。その後、姉妹校で授業を受けたり、トロントで大リーグの試合を観戦したりした。マスクをそろって着用したのは、出国間際だったという。

 生徒の1人が発熱したのは5日夜。6日朝、教員に付き添われて、現地の病院で診察を受けた。インフルエンザについての詳しい検査はなく、問診とのどを見て「風邪」と診断された。この診断を受け、教員が同日午後、「発熱した生徒が1人いるが、新型インフルエンザではないと診断を受けたので予定通り帰国する」と高校にメールを送った。

 教員が発熱したのは6日夜。パーティーに出ていたとき熱っぽいと感じて、途中でホストファミリー宅に戻ったという。それでも予定通り、帰国の途についた。

 中西正人教育長は「結果的に対応が甘かったということになる。反省すべき点はある」と語った。カナダで感染が広がる中、帰国を早めるよう勧告しなかった点については、「高校側から報告を受ける限りでは、帰国を促す事態にはいたっていないと判断した」と説明した。

(朝日新聞、2009年5月9日13時53分)

****** 読売新聞、関西、2009年5月9日

マスク着けず、学校「対応は適切」

…国内初新型インフル

 新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)について、世界保健機関(WHO)がメキシコでの大規模感染を明らかにしてから半月、日本国内で初めて感染者が確認された。カナダでの国際交流を終えて8日夕に帰国した大阪府内の府立高校生2人と引率教諭。府教委や高校は「残念なことになった」と繰り返したが、感染が拡大する現地でマスクを着用せずに観光地を巡るなど、学校側の判断に疑問を残した。厚生労働省は9日早朝から、同じ航空機に乗っていた人の追跡調査を急ぎ、健康への注意を呼びかけた。

 生徒2人と教諭の感染が確認された寝屋川市内の府立高校では午前9時半、校長が正門前で記者会見し、「残念な結果だが、学校の対応は適切だった」と繰り返した。

 同高はカナダでの感染拡大を受け、4月28日、交流事業に参加した他の2校と今後の対応を協議。「現地のコーディネーターが『周辺に感染者がいないので問題ない』と言っている」などの説明があったため、健康管理の徹底を確認し、同30日、メールで引率教諭に健康チェック用のシートを送付したという。

 現地では、シートに基づいて発熱やせきの有無など10項目を毎日確認したが、トロントで大リーグの試合を観戦した5日の夜、生徒の一人が発熱。翌朝、ホームステイ先のホストファミリーの紹介で病院で受診し、抗生物質を処方された。インフルエンザの検査はなく、教諭が「新型インフルエンザではないですね」と尋ねたところ、医師は「それはない。風邪です」と答えたという。

 発熱した生徒は6日のお別れパーティーに出席し、成田空港で感染が確認された。病院に同行した教諭も同日夜に発熱し、同空港で感染が判明した。

 校長によると、4日に引率教諭に対し、生徒にマスクを着用させるように指示したが、9日に教諭に再確認したところ、「現地でマスクをしている人がおらず、集団でつけていると奇異の目で見られると思って着用させなかった」と説明を受けたという。

 不特定多数が集まる大リーグ観戦やナイアガラの滝観光などを中止しなかったことについては「引率教師やコーディネーターと頻繁に連絡を取り、問題ないと判断した」と釈明した。

 午前8時50分から体育館で臨時の全校集会が開かれ、校長は「生徒の症状は重くないので安心してほしい。学校での感染はなく通常通り授業を行う」と話した。

(読売新聞、関西、2009年5月9日)

**** 共同通信、2009年5月9日11時54分

潜伏期間考慮し49人10日隔離 

飛沫感染、周囲2m対象

 新型インフルエンザ感染が9日判明した高校生ら3人に関し、厚生労働省は患者の周りの座席の生徒ら計49人を、検疫法に基づき宿泊施設に10日間隔離した。隔離はウイルスの潜伏期間を考慮し、感染の恐れがある人に取られる措置で、17日まで宿泊施設に滞在する。

 新型インフルエンザは季節性のインフルエンザと同じく、飛沫感染が主な感染経路とされ、患者の前後左右3列ずつ、約2メートル以内にいた乗客や乗員が感染の可能性が高いとされ、隔離の対象となる。今回は患者と行動をともにしていた学校関係者もすべて対象とした。

 期間中、医師が1日1回は健康状態を確認し、これらの人が発症した場合は、9日に感染が判明した患者と同様に感染症指定医療機関に入院、治療を受ける。

 また生徒1人はいったん飛行機を降りてから症状を訴えたため、この生徒の周囲に座り、既に入国した乗客が最大で11人いる可能性があり、所在確認を急ぐ。同じ便の搭乗者は既に帰宅するなどしているが、提出された健康状態の質問票に基づいて、10日間、地元保健所が継続的に電話などで連絡を取って健康状態を把握することにしている。

(共同通信、2009年5月9日11時54分)

**** NHKニュース、2009年5月9日15時38分

感染は3456人 死者48人

 新型インフルエンザは、感染が確認された日本人も訪れていたカナダで初めて死者が出たほか、ニュージーランドで新たに2人の感染が確認され、感染した人は29の国と地域であわせて3456人、死亡した人は3か国で48人になりました。

 カナダ保健省は、8日、西部アルバータ州で先月28日に死亡した30代の女性が新型インフルエンザに感染していたことを明らかにし、カナダで初めての死者が確認されました。また、ニュージーランド保健省は、9日、新たに2人の感染を発表しました。これまでに感染した人は、29の国と地域であわせて3456人、死亡した人はメキシコ、アメリカ、カナダの3か国であわせて48人に上っています。感染が確認された人を国や地域ごとにみますと、▽アメリカが最も多く1639人、▽メキシコで1364人、▽カナダで242人、▽スペインで93人、▽イギリスで39人、▽ドイツで11人、▽フランスで12人、▽イタリアで8人、▽ニュージーランドとイスラエルで7人、▽ブラジルで6人、▽日本、韓国、オランダ、グアテマラで3人、▽エルサルバドルとパナマで2人、▽香港、オーストラリア、ポルトガル、スイス、オーストリア、アイルランド、スウェーデン、デンマーク、ポーランド、それにコスタリカ、コロンビア、アルゼンチンでそれぞれ1人となっています。

(NHKニュース、2009年5月9日15時38分)