紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

熱気はむんむんだが、演奏はスマートでも有る…レイ・ブラウン~レッド・ホット

2008-01-16 22:17:50 | ジャズ・ベース
今日はピアノ・トリオのライブ・アルバムで行きましょう。
リーダーは伝説的なベーシスト、「レイ・ブラウン」で、トリオを構成するメンバーは、ピアニストに「ジーン・ハリス」、ドラムスに「ミッキー・ローカー」を配して、ニュー・ヨークのブルーノートでライブ録音された演奏です。

曲も良く知られたスタンダードやポピュラーが多く、真面目に聴くのも良し、BGM風に聴き流すのも良しで、ライトさと、ライブならではのコンセントレーション&緊張感が両方味わえる佳盤です。

アルバムタイトル…レッド・ホット

パーソネル…リーダー;レイ・ブラウン(b)
      ジーン・ハリス(p)
      ミッキー・ローカー(ds)

曲目…1.ジョーンズ嬢に会ったかい?、2.メディテーション、3.ストリート・オブ・ドリームス、4.レディ・ビー・グッド、5.ザッツ・オール、6.ラヴ・ミー・テンダー、7.ハウ・クッド・ユー・ドゥ、8.キャプテン・ビル

1985年11月、12月 NYC、ブルー・ノートにてライブ録音

原盤…concord jazz CCD-4315  発売…キングレコード
CD番号…240E-6816

演奏について…非常に良いと思うのは、3曲目「ストリート・オブ・ドリームス」の超スローでのバラード演奏。
「ハリス」は高音域をメインに用いて、粒立ちのハッキリしたタッチでスタンダードを歌い上げます。
アドリブは、シンプルですが…シンプル・イズ・ベストでしょう。
「ローカー」は、上品に物静かにブラシを刻み、「ブラウン」は影の?リーダーらしく、タイトで硬質の音で、ゆったりと(トリオを)ドライビングして行きます。
本当に美しいピアノ・トリオ演奏の代表的な演奏でしょう。

趣深い、面白い演奏のトップは、「エルヴィス・プレスリー」の代表作である、6曲目の「ラヴ・ミー・テンダー」でしょう。
非常にゆったりとした、序奏アプローチで曲が始まり、「ハリス」はサロン風に、テーマに即しながら、ピアノ・カデンツァの調べを奏でる。
受ける「レイ・ブラウン」は、ボウイングで、ラヴ・ミー~のメロディを弾き、とても静かだが、雄大なピアノとベースのデュオが続く。
その後、ブルースに転調し、「ハリス」は黒々しさバッチリの雰囲気で、ブルーズを決めてくれるし、「ブラウン」と「ローカー」はガッツリと「ハリス」をアシストするサイドメン演奏をこなす。
前半と後半の劇的な変化は…取って付けたと言う輩もいるかも知れないが、単純馬鹿の私には、お気に入りに追加トラックです。

しかし、5曲目「ザッツ・オール」が…このアルバムでベスト1の名演です。
この演奏では、序盤は静かなピアノ・アドリブを「ハリス」が弾くのですが、中盤から、おかず満載のソロを矢継ぎ早に演ってくれて、(先日亡くなられた「オスカー・ピーターソン」も真っ青のテクニックを駆使してくれて…)ここがこのアルバムでも最高の聴き所でしょう。
後半に入ると、「ブラウン」もカデンツァとも言える、すごテク、ソロを随所に見せて、寛ぎ度と遊び心もバッチリで、ライブの聴衆も皆大満足です。
ブラボー拍手喝采です。

個人的に大好きなのは、「アントニオ・カルロス・ジョビン」の作品らしく、ラテン・リズムで仕上げられた2曲目「メディテーション」
リズムがラテン(ボサ・ノヴァ)だからと言って、ライトだが決して軟派じゃない。
「ハリス」のピアノは、かなりアグレッシブに突っ込んで来るし、「ブラウン」のベース演奏はとても硬派で、マッシブで男性的なんです。
「ローカー」は、かなり高速でブラシを刻みファイトしていて、彼も軟派にはなっていません。
リズムは軽快…でもトリオ演奏自体は、バトル・ロワイヤル???…このギャップが堪りません。

4曲目「レディ・ビー・グッド」…ブルース演奏だけれども、全然南部臭くは無い感じで、かなりソフィストケイトされた演奏です。
「ハリス」は、すごテクのブロック・コードを頻繁に駆使して、演奏を引っ張り、そして飾る付けて行く。
「ブラウン」は知的で、かなり客観的なベース・ライン&演奏をしていて、この辺りも、都会的なブルーズと思う、一因だと思います。
終盤で、「ハリス」と「ブラウン」の一音一音での決闘?がワンポイントになってます。

オープニング曲「ジョーンズ嬢に会ったかい?」…ノッケから「ジーン・ハリス」がノリノリで絶好調!
煌びやかなシングル・トーンを用いて、跳ねる様にピアノの鍵盤を転がす&駆け廻る。
重厚さと歌謡的な両面を併せ持つ「ブラウン」のガッツリベースが、見事に花を副えます。

それから7曲目「ハウ・クッド~」…まず、粒立ちハッキリの「ハリス」の冴えたピアノ音が、きれいに録られたこのライヴ録音に感謝!
「ブラウン」のとても良く歌うベースと「ローカー」のシンバル・ワークも音が鮮明に立っていて、オーディオ的に見ても、ピアノ・トリオの規範的な演奏&録音がなされています。


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