紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

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生誕100年、ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団~マーラー交響曲第9番

2008-01-06 23:12:31 | クラシック交響曲・管弦楽曲・協奏曲
今日は、今年、生きていたら生誕100年と言う、記念すべき年に当たる、20世紀クラシック界の巨匠指揮者、「ヘルベルト・フォン・カラヤン」が、手兵「ベルリン・フィル」を振って、ベルリン芸術週間での、歴史的ライブ録音にて、「マーラー」の「交響曲第9番」の演奏アルバムを紹介します。

「カラヤン」の「マーラー」演奏にはそこそこ定評が有るものの、磨きぬかれたオーケストレーション故に、実際は、作為的だの美術工芸品、偽宝石(ジルコニア)などと、言われる評論家の方々が多い事も否めません。
そう言った意味では、「ワルター」や「バーンスタイン」の「マーラー」直系の愛弟子達や、「テンシュテット」、「アバド」達の「マーラー」演奏に対して、定評のある指揮者等と評価を比べてると、低いと言わざるを得ませんでした。

「カラヤン」とは、アプローチやスタイルが違うものの、一般的な音楽好き(俗的)な我々にだけ?評価されていた、「マーラー」指揮者と言えば、「ゲオルグ・ショルティ」が代表的ですが、「カラヤン」も「ショルティ」と同様の評価、(専門家から見方が)なされていたと言っても過言では無いでしょう。

つまり、俗人受けが良く、評論家や専門家からの評価は、こと「マーラー」演奏に対しては、高いものでは無かったのです。

しかし、本アルバムの、この演奏は、その評価を覆したばかりか、20世紀の全「マーラー」演奏の中でも屈指の評価を得た、超絶的な名演奏なんです。

一言で言うと、「カラヤン」がレコーディングの鬼、録音の魔術師では無かったことが証明されて、ライブで最高のパフォーマンスを表現できる、真のマエストロ(巨匠)である事を、実力でもって知らしめた演奏、アルバムなのです。

とにかく、全編に漲る緊張感と、「カラヤン」の研ぎ澄まされた「タクト」の魔術に、「ベルリン・フィル」の団員達も、極限状態まで高まった精神を集中して、演奏に邁進しています。

曲的には、「マーラー」の第9は、聴き易い曲では無く、一寸マニアックで、長大な曲なのですが、多くの指揮者がベスト・パフォーマンスを遺している曲ですので、是非、慣れて聴いて頂きたいと思います。

アルバムタイトル…カラヤン/マーラー交響曲第9番ニ長調

演奏…ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)
   ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

曲目…第1楽章 アンダンテ・コモド ニ長調 4分の4拍子 ソナタ形式
   第2楽章 ゆっくりとしたレントラーのテンポで、いくらかぶきっちょに、そして非常に粗野に ハ長調 4分の2拍子 非常に拡大されたスケルツォ 
   第3楽章 ロンド ブルレスケ イ短調 2分の2拍子 きわめて反抗的に
   第4楽章 アダージョ 変ニ長調 4分の4拍子 ロンド形式

1982年9月 ベルリン芸術週間におけるライブ・レコーディング

原盤…ドイツ・グラモフォン 410-726-2  発売…ポリドール
CD番号…F66G-50038~39 2枚組

演奏について…冒頭の解説でも、かなり述べているので、手短に行きましょう。
 
まず、一つには「カラヤン」と言う、詳細、ディティールを磨きぬく手法を得意とした、指揮者の力量を、余す事無く伝える演奏形態に、寸分違わず応える、「ベルリン・フィルハーモニー」のビルトオーゾぶりと、技術を味わってもらいたい。

二つ目に、ライブ・レコーディングと言う、得も言えぬ緊張感により、高められた各人のコンセントレーションを、「カラヤン」が一つの指揮棒によって纏めて、精神性の非常に高い演奏が、徹頭徹尾成されている。

三つ目に「マーラー」の第9と言う曲自体が、名演を生んだ大きな要因になっていて、その理由としては、「マーラー・ミュージック」中、最も美しいと評価されている、第1楽章と、美しい死が訪れる、究極の美音楽(空間)の第4楽章、アダージョが、「カラヤン」の磨きぬいた美音、美しさと、とてもマッチしている事。
中間の第2楽章は、とても変化に富んだ面白い楽章であり、同じく第3楽章も「道化」の楽章として、趣の深い演奏が強いられるので、こう言う「ポピュラー・ミュージック」的な演奏を演らせたら、「カラヤン」の右に出る者はいない。

つまり、全楽章を通じて、「パーフェクト」な演奏がなされているので有る。

是非、「カラヤン」の「ベスト・パフォーマンス」の出来栄えの、この1枚、アルバムを聴いて下さい。