「キース・ジャレット」…このスーパー・アーティストが、最高のパフォーマンスを発揮するのは、やはり「ソロ・ピアノ」であり、次いで「ピアノ・トリオ」で有ると言うのは異論の無い事でしょう。
しかし、今回はその2種類ではなく、サイケな70年代をいかにも象徴していて、アヴァンギャルドなタイプのミュージシャンが多く参加している、かなり異質のアルバムなんですが、この演奏が結構良いんですよ。
参加しているミュージシャンたちも、一癖も二癖も有る、兵揃いで、聴く前から興味が湧き湧きって感じです。
「ケルン・コンサート」や、「ソロ・コンサート」、或いは「スタンダーズ」とはがらりと違う、チョイ悪な「キース」の演奏をお楽しみ下さい。
アルバムタイトル…エクスペクテーションズ
パーソネル…リーダー;キース・ジャレット(p、ss)
チャーリー・ヘイデン(b)
ポール・モチアン(ds)
デューイ・レッドマン(ts)
サム・ブラウン(g)
アイアート・モレイラ(perc)
ストリングス&ブラス・セッション
曲目…1.ヴィジョン、2.コモン・ママ、3.ザ・マジシャン・イン・ユー、4.ルーシロン、5.エクスペクテイションズ、6.テイク・ミー・バック、7.ザ・サーキュラー・レター、8.ノーマッズ、9.サンダンス、10.ブリング・バック・ザ・タイム・ホエン、11.ゼア・イズ・ア・ロード
1972年 NYにて録音
原盤…CBS 発売…ソニー・ミュージック・ジャパン
CD番号…SICP-756
演奏について…序奏の「ヴィジョン」…ストリングスの優しい調べにのって、「キース」が美しいフレーズを弾いて…準備OKとなります。
2曲目「コモン・ママ」…ラテン・ロック調のリズムに、ホーン・セクションが加わると言う、かなり大編成のバックを従えて、「キース・ジャレット」が、自由奔放に、自らのスタイルで音を紡ぎ、鍵盤に「キース」調、「キース」魂を叩き付けるトラック。
序奏の後、「キース」は、ソプラノ・サックスを使用して絶叫し、合わせて「デューイ・レッドマン」のテナーもそこに絡んでくる。
この辺は、珍しい演奏ですよね。
その後「チャーリー・ヘイデン」が、ぶっとい音でアドリブ・ベース演奏をするんですが、流石です…見事にKOされます。
それから、「キース」はもう一度ピアノに戻り、「モレイラ」の刻むパーカッション、「レッドマン」のテナーと共に、音の異空間を作り上げて完成させます。
3曲目「ザ・マジシャン・イン・ユー」…この曲もラテン・フレヴァーな曲ですが、「サム・ブラウン」のギターと、「キース」のピアノ、そしてまたまた「モレイラ」のパーカッション(コンガ、ボンゴ)が、とてもメロディアスで素敵な曲に仕上げています。
まぁ、時代的にフュージョン全盛期に、ジャスト・ミートな曲と言えば、分かり易いかな?
4曲目「ルーシロン」…序奏はホーン群が、怪しい和音で初めて、その後「ヘイデン」が、ハードにびんびんに刻むベースと、「モチアン」がフリーに敲くドラムが、第一の聴き物です。
そして、続いて「キース」もフリーにソロを取ってから、「レッドマン」が激しいトーン&フレーズで絶叫します。
しかし、ただ絶叫するだけじゃなくて、時々メロディを吹いてくれる所に…可愛げが有るんですよ。
5曲目、表題曲の「エクスペクテーションズ」…一聴して、「キース」が奏でる、とても魅惑的なメロディに…心惹かれます。
それを受けて「ヘイデン」も、メロディアスなソロを取り、「ヘイデン」の演奏をストリングスが取り囲んで…更にロマンティックにします。
終盤に入ると…「キース」と「ヘイデン」、それから「モチアン」のブラッシュ・ワークで、とても美しいピアノ・トリオ演奏がなされて…うぅーん大満足です。
6曲目「テイク・ミー・バック」…親しみ易いメロディと、正統的なブルーズ調4ビートの「キース」作曲の曲で、演奏で耳を惹くのは、「レッドマン」が、ブルージー&フリーキーに仕上げるテナーが良い味を出しています。
「キース」は、序盤では、あえてか?ブロック・コード演奏を主にして、伴奏に専念しています。
終盤、華麗に決める部分(ソロ)も、勿論有るんですけどね。
他では、ギター「ブラウン」のテク抜群のソロも、バッチリ聴かせてくれて…相当行けてますよ。
最後まで、メンバーのノリは抜群で、とてもポップで聴き易い1曲です。
7曲目「ザ・サーキュラー・レター」…一寸、音を外した、ホーン群&ギターのユニゾン演奏&メロディが、不思議な気持ちにさせられるナンバーです。
しかし、覚え易いリフレインのこのテーマ・メロディを軸に、演奏している中で、「ヘイデン」&「モチアン」のリズム陣二人は、アグレシッブでぶっ飛んだ演奏をしていて…この対比が、実に面白いですね。
一言で言えば、曲調は単純明快で、リズムは難解でフリーキーなんですよ。
8曲目「ノーマッズ」…およそ18分弱の演奏時間を要する、このアルバム随一の大作です。
序盤のソロは、ギターの「ブラウン」が引っ張る感じで、押し進めて行き、「キース」も諸所で、音を重ねて行きます。
その後、重厚で崇高なオルガン演奏が入り…
☆オルガンは誰が弾いているんだろう?結構気になるけど、資料が無いので分りません。
その後、リズム陣「ヘイデン」「モチアン」「モレイラ」は、至ってクールに、乾いた音色で、リズムを刻み続けて、それに合わせる様に「キース」もドライな感覚で、クール・ビューティなアドリブを次々に作って行きます。
ピアノの鍵盤、全部を使用した様な、流れる様なメロディ・ラインで、音を紡ぐ「キース」は、彼の真骨頂の演奏をしてくれます。
「キース」が休んでいる間も、リズム・セクションの3人は、一切の妥協をせず、不気味なほど淡々と分厚いリズムを刻む演奏は、まじで玄人好みです。
とにかく3人の演奏が、カッコイイんです。
終盤になって「ブラウン」が、ハードなギター・ソロを抽入して来て、更に曲をヒート・アップさせてくれます。
「ブラウン」って、こんなにハードなプレイヤーだったかな?と思う程、ギターがシャウトしていて…「キース」とのデュオ・バトルは、かなり迫力が有りますね。
フィニッシュになると、ホーン群も復活して来て、二人のラスト・バトルに花を副えます。
聴き応え充分な1曲です。
9曲目「サンダンス」…ロック調の8ビートリズムに合わせて、「キース」とホーン群、「ブラウン」が楽しげに、演奏を開始します。
「レッドマン」も的を射たフレーズで、演奏を色付けてくれます。
後半のアドリブ・パートで「ブラウン」と「レッドマン」が、激しいソロを展開してくれて…ぴりりと効いたスパイスの役目を果たします。
10曲目「ブリング・バック~」…ブルースorラグタイム?…いずれにせよ「キース」が、鼻歌交じりにソロ演奏を始めて、そこに「レッドマン」も聴き易いアドリブ・フレーズを重ねてきます。
「ヘイデン」「モチアン」は、ここでもアバンギャルド系の乾いた感覚のリズムを一心不乱に刻み続けます。
この二人…本物の職人で、何て頑固者なんだよ~!でも、そこが良いんです。
その後、曲もハードな展開に変わってきて、「キース」は、テーマの後には、またまた鼻歌を歌いながら、「キース」節全開で、アドリブ・パートを弾き続けます。
終盤で、「レッドマン」が、フリーキーなトーンで、思い切り暴れ捲るアドリブを演ります。
前半から打って変わって、ハード・ボイルドな名演に仕上がりました。
ラストの「ゼア・イズ・ア・ロード」…序奏は、前曲までのハードな演奏とは一転して、とてもロマンティックな「キース」のソロ演奏が心を和ませます。
ここで聴けるのは、正しく「ケルン・コンサート」や「ソロ・コンサート」で聴ける、癒し系「キース」です。
その後、「ブラウン」のギター演奏が加わりますが、この演奏も、とてもメロディックで…歌心をメインにしていて…とても歌謡的な1曲ですね。
ラストでは、ストリングスも入って…安らかな眠りに就くようなエンディングです。
この曲は、とにかく美しく、安らげます。
しかし、今回はその2種類ではなく、サイケな70年代をいかにも象徴していて、アヴァンギャルドなタイプのミュージシャンが多く参加している、かなり異質のアルバムなんですが、この演奏が結構良いんですよ。
参加しているミュージシャンたちも、一癖も二癖も有る、兵揃いで、聴く前から興味が湧き湧きって感じです。
「ケルン・コンサート」や、「ソロ・コンサート」、或いは「スタンダーズ」とはがらりと違う、チョイ悪な「キース」の演奏をお楽しみ下さい。
アルバムタイトル…エクスペクテーションズ
パーソネル…リーダー;キース・ジャレット(p、ss)
チャーリー・ヘイデン(b)
ポール・モチアン(ds)
デューイ・レッドマン(ts)
サム・ブラウン(g)
アイアート・モレイラ(perc)
ストリングス&ブラス・セッション
曲目…1.ヴィジョン、2.コモン・ママ、3.ザ・マジシャン・イン・ユー、4.ルーシロン、5.エクスペクテイションズ、6.テイク・ミー・バック、7.ザ・サーキュラー・レター、8.ノーマッズ、9.サンダンス、10.ブリング・バック・ザ・タイム・ホエン、11.ゼア・イズ・ア・ロード
1972年 NYにて録音
原盤…CBS 発売…ソニー・ミュージック・ジャパン
CD番号…SICP-756
演奏について…序奏の「ヴィジョン」…ストリングスの優しい調べにのって、「キース」が美しいフレーズを弾いて…準備OKとなります。
2曲目「コモン・ママ」…ラテン・ロック調のリズムに、ホーン・セクションが加わると言う、かなり大編成のバックを従えて、「キース・ジャレット」が、自由奔放に、自らのスタイルで音を紡ぎ、鍵盤に「キース」調、「キース」魂を叩き付けるトラック。
序奏の後、「キース」は、ソプラノ・サックスを使用して絶叫し、合わせて「デューイ・レッドマン」のテナーもそこに絡んでくる。
この辺は、珍しい演奏ですよね。
その後「チャーリー・ヘイデン」が、ぶっとい音でアドリブ・ベース演奏をするんですが、流石です…見事にKOされます。
それから、「キース」はもう一度ピアノに戻り、「モレイラ」の刻むパーカッション、「レッドマン」のテナーと共に、音の異空間を作り上げて完成させます。
3曲目「ザ・マジシャン・イン・ユー」…この曲もラテン・フレヴァーな曲ですが、「サム・ブラウン」のギターと、「キース」のピアノ、そしてまたまた「モレイラ」のパーカッション(コンガ、ボンゴ)が、とてもメロディアスで素敵な曲に仕上げています。
まぁ、時代的にフュージョン全盛期に、ジャスト・ミートな曲と言えば、分かり易いかな?
4曲目「ルーシロン」…序奏はホーン群が、怪しい和音で初めて、その後「ヘイデン」が、ハードにびんびんに刻むベースと、「モチアン」がフリーに敲くドラムが、第一の聴き物です。
そして、続いて「キース」もフリーにソロを取ってから、「レッドマン」が激しいトーン&フレーズで絶叫します。
しかし、ただ絶叫するだけじゃなくて、時々メロディを吹いてくれる所に…可愛げが有るんですよ。
5曲目、表題曲の「エクスペクテーションズ」…一聴して、「キース」が奏でる、とても魅惑的なメロディに…心惹かれます。
それを受けて「ヘイデン」も、メロディアスなソロを取り、「ヘイデン」の演奏をストリングスが取り囲んで…更にロマンティックにします。
終盤に入ると…「キース」と「ヘイデン」、それから「モチアン」のブラッシュ・ワークで、とても美しいピアノ・トリオ演奏がなされて…うぅーん大満足です。
6曲目「テイク・ミー・バック」…親しみ易いメロディと、正統的なブルーズ調4ビートの「キース」作曲の曲で、演奏で耳を惹くのは、「レッドマン」が、ブルージー&フリーキーに仕上げるテナーが良い味を出しています。
「キース」は、序盤では、あえてか?ブロック・コード演奏を主にして、伴奏に専念しています。
終盤、華麗に決める部分(ソロ)も、勿論有るんですけどね。
他では、ギター「ブラウン」のテク抜群のソロも、バッチリ聴かせてくれて…相当行けてますよ。
最後まで、メンバーのノリは抜群で、とてもポップで聴き易い1曲です。
7曲目「ザ・サーキュラー・レター」…一寸、音を外した、ホーン群&ギターのユニゾン演奏&メロディが、不思議な気持ちにさせられるナンバーです。
しかし、覚え易いリフレインのこのテーマ・メロディを軸に、演奏している中で、「ヘイデン」&「モチアン」のリズム陣二人は、アグレシッブでぶっ飛んだ演奏をしていて…この対比が、実に面白いですね。
一言で言えば、曲調は単純明快で、リズムは難解でフリーキーなんですよ。
8曲目「ノーマッズ」…およそ18分弱の演奏時間を要する、このアルバム随一の大作です。
序盤のソロは、ギターの「ブラウン」が引っ張る感じで、押し進めて行き、「キース」も諸所で、音を重ねて行きます。
その後、重厚で崇高なオルガン演奏が入り…
☆オルガンは誰が弾いているんだろう?結構気になるけど、資料が無いので分りません。
その後、リズム陣「ヘイデン」「モチアン」「モレイラ」は、至ってクールに、乾いた音色で、リズムを刻み続けて、それに合わせる様に「キース」もドライな感覚で、クール・ビューティなアドリブを次々に作って行きます。
ピアノの鍵盤、全部を使用した様な、流れる様なメロディ・ラインで、音を紡ぐ「キース」は、彼の真骨頂の演奏をしてくれます。
「キース」が休んでいる間も、リズム・セクションの3人は、一切の妥協をせず、不気味なほど淡々と分厚いリズムを刻む演奏は、まじで玄人好みです。
とにかく3人の演奏が、カッコイイんです。
終盤になって「ブラウン」が、ハードなギター・ソロを抽入して来て、更に曲をヒート・アップさせてくれます。
「ブラウン」って、こんなにハードなプレイヤーだったかな?と思う程、ギターがシャウトしていて…「キース」とのデュオ・バトルは、かなり迫力が有りますね。
フィニッシュになると、ホーン群も復活して来て、二人のラスト・バトルに花を副えます。
聴き応え充分な1曲です。
9曲目「サンダンス」…ロック調の8ビートリズムに合わせて、「キース」とホーン群、「ブラウン」が楽しげに、演奏を開始します。
「レッドマン」も的を射たフレーズで、演奏を色付けてくれます。
後半のアドリブ・パートで「ブラウン」と「レッドマン」が、激しいソロを展開してくれて…ぴりりと効いたスパイスの役目を果たします。
10曲目「ブリング・バック~」…ブルースorラグタイム?…いずれにせよ「キース」が、鼻歌交じりにソロ演奏を始めて、そこに「レッドマン」も聴き易いアドリブ・フレーズを重ねてきます。
「ヘイデン」「モチアン」は、ここでもアバンギャルド系の乾いた感覚のリズムを一心不乱に刻み続けます。
この二人…本物の職人で、何て頑固者なんだよ~!でも、そこが良いんです。
その後、曲もハードな展開に変わってきて、「キース」は、テーマの後には、またまた鼻歌を歌いながら、「キース」節全開で、アドリブ・パートを弾き続けます。
終盤で、「レッドマン」が、フリーキーなトーンで、思い切り暴れ捲るアドリブを演ります。
前半から打って変わって、ハード・ボイルドな名演に仕上がりました。
ラストの「ゼア・イズ・ア・ロード」…序奏は、前曲までのハードな演奏とは一転して、とてもロマンティックな「キース」のソロ演奏が心を和ませます。
ここで聴けるのは、正しく「ケルン・コンサート」や「ソロ・コンサート」で聴ける、癒し系「キース」です。
その後、「ブラウン」のギター演奏が加わりますが、この演奏も、とてもメロディックで…歌心をメインにしていて…とても歌謡的な1曲ですね。
ラストでは、ストリングスも入って…安らかな眠りに就くようなエンディングです。
この曲は、とにかく美しく、安らげます。