紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

60年代マクリーンの最後の傑作…デモンズ・ダンス~ジャッキー・マクリーン

2008-01-13 11:05:38 | ジャズ・アルト・サックス
おどろおどろしくサイケなジャケット・デザインに目を奪われて、とても過激な演奏かと思いきや、中身は正統的な2管で、(曲によっては)若干フリーキーな演奏も有りますが、叙情性タップリの「マクリーン」のブロウが冴えている曲も多く、60年代後期、いや、(60年代)最後の「ジャッキー・マクリーン」を代表するアルバムが、これなんですよ。

アルバムタイトル…デモンズ・ダンス

パーソネル…リーダー;ジャッキー・マクリーン(as)
      ウディ・ショウ(tp)
      ラモント・ジョンソン(p)
      スコット・ホルト(b)
      ジャック・デジョネット(ds)

曲目…1.デモンズ・ダンス、2.トーイライド、3.ブー・アンズ・グラインド、4.スイート・ラヴ・オブ・マイン、5.フルーゲ、6.メッセージ・フロム・トレーン

1967年12月22日録音

原盤…BLUE NOTE BST-84345  発売…東芝EMI
CD番号…CP32-9548

演奏について…表題曲「デモンズ・ダンス」…「マクリーン」と「ショウ」のユニゾン演奏に、「デジョネット」の変幻自在のドラミングが付随して序奏が始まり、その後、「マクリーン」がスケール有るブロウを展開して行く。
「ショウ」は情感たっぷりのアドリブを演り、「ジョンソン」もスケールはやや小さいが、メロディ・フレーズ的には「マッコイ・タイナー」を彷彿させるモード演奏が行けてますね。
しかし、やはりこのアルバム全体を素晴らしい物に仕上げているのは、偏に「デジョネット」のドラムの素晴らしさにつきるだろう。
タイム・キープングとドライビングの素晴らしさは言うまでもないが、リズムを敲いていながら、しっかりとドラム&シンバルを一つの楽器として、歌わせている…
流石としか言いようが無い。

2曲目「カル・マッセイ」作品のバラッド曲「トーイランド」…この演奏は「ショウ」抜きのカルテット演奏なんですが、まず序奏の「マクリーン」の叙情性豊かにアルト・サックスを吹き始める所からが、いきなり、そして最大の聴き所です。
続く「ジョンソン」の透明度抜群の湖の様に、透き通った静かなピアノ・ソロも秀逸で、まっこと美しいカルテット演奏が終始なされます。

3曲目「ブー・アンズ~」では、このアルバム随一の「マクリーン」のアグレッシブなソロ演奏が聴けます。
「ショウ」もブリリアントな音色で、「マクリーン」の向こうを張ったアドリブを演ってくれて、フロント2管のバトル的な演奏がgoodですねぇ。
「ジョンソン」は、この演奏も「デモンズ・ダンス」と同様、ミニ「マッコイ」って感じで、モード演奏の極め付きのソロを弾きます。
「マクリーン」も「コルトレーン」に多大な影響を受けた一人ですが、それに付随して?至高のカルテットのメンバーからも(演奏的)影響を受けたミュージシャンって沢山いる事を改めて感じますね。
終盤、「デジョネット」も華麗なアドリブを一発演ってくれますぜ!

4曲目はこのアルバムの目玉曲「スイート・ラブ・オブ・マイン」。
私、大好きなボサ・ノヴァ・リズムの佳曲なんですが、歌うドラムス演奏で、ボサノヴァ・リズムでも、キッチリ皆を引っ張る「デジョネット」に率いられて、「マクリーン」、「ショウ」の二人とも、情感溢れるアドリブ・フレーズを吹くんです。
ここで面白いのが、「ジョンソン」の演奏で、今まではモード演奏で、クールに決めていたのですが、ここではラテン調と言う事も有ってか、遊びの演奏も演ってくれて、彼の個性が垣間見れるんです。
演奏もバッチリですが、とにかく曲が良いですね。

5曲目「フルーゲ」…アップ・テンポのリズムに乗って、「マクリーン」がかなりフリーキーにシャウトする1曲です。
ここでは「ジョンソン」が、非常に出来の良い、センス抜群のアドリブ・ソロを弾いてくれます。
中間部で、曲を無演奏(無音=タイム・ブレイク)する部分があって、この辺りは結構、実験的な感じがしますね。

ラストの「メッセージ・フロム・トレーン」…「コルトレーン」亡き後の、制作アルバムだったので、この曲を取り上げたんでしょうが、「ジョンソン」以外は、「コルトレーン・カルテット」的な演奏では無いんです。
しかし、各人のソロの出来栄えはかなり良いですよ~!
前述の「ジョンソン」のハイ・センスな演奏はもとより、リーダー「マクリーン」、「ショウ」の2管も聴き応え有りますし、ここでも「デジョネット」の華麗なソロは健在で、ラストを飾るに相応しい演奏です。

奇抜なアルバム・デザインで聴く事(購入する事)を躊躇されている方、…決して怖くは有りませんよ!(笑・笑)