紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

アルバム作品中、最もジャジーなコンセプトの傑作盤…サンタナ~キャラバンサライ

2008-01-19 15:12:04 | フュージョン
まず、最初に…今日は、「サンタナ」のアルバムで行くんですが、このアルバムのカテゴリーを、ラテン・インストゥルメンタルに入れるのを止めました。
最も「サンタナ」のサウンド自体が、ロック、ラテン、ワールド・ミュージック、フュージョン(ジャズ)の多岐に跨っているので、偏に一つのカテゴリーに入れるのが、最初から難しいグループなのは分り切った事ですが、特にこのアルバムは、ジャズ色が濃く、もしもカテゴリーを一つに決めなければならないのならば、私は「フュージョン」にしたいと思い、決めました。
※異論の有る方、ごめんなさい。

それから、このアルバムは、「サンタナ」の傑作であり、且つ問題作でもあります。
何故なら、ラテン・ポップの最高峰だったこのバンドの方向性を変える、言うなれば、過渡期に制作された事もあって、メンバーがアルバム制作途中で変わっているんです。
ですから、今日はパーソネル表記もいつもと変えておきます。(各曲について記入しておきます。)

それでは詳細に行きましょう。

アルバムタイトル…キャラバンサライ

曲目…1.復活した永遠のキャラバン
   Authors:Mike Shrieve;Neal Schon;Tom Rutley 
   Sax:Hadley Caliman
   Guitar:Neal Schon
   AcoーBass:Tom Rutley 
   Piano:Wendy Haas
   Perc:James Mingo Lewis;Calros Santana
   Drums:Mike Shrieve
   録音…1972年4月20日

2.躍動
  Authors:Douglas Rauch;Gregg Rolie
  L-Guitar:Calros Santana
  Guitar:Douglas Rauch;Douglas Rodrigues
  Bass:Douglas Rauch
  Organ:Gregg Rolie
  Timbales:Chepito Areas
  Congas:James Mingo Lewis
  Drums:Mike Shrieve
  録音…1972年4月10日
    
3.宇宙への仰視
  Authors:Calros Santana;Douglas Rauch;Gregg Rolie
  L-Guitar:Calros Santana
  Guitar:Douglas Rauch;Neal Schon
  Bass:Douglas Rauch
  Organ:Gregg Rolie
  Timbales:Jose Chepito Areas
  Congas:James Mingo Lewis
  Drums:Mike Shrieve
  録音…1972年2月22日

4.栄光への夜明け
  Authors:Mike Shrieve;Calros Santana;Gregg Rolie
  L-Guitar:Calros Santana
  Guitar:Neal Schon
  Bass:Douglas Rauch
  Organ:Gregg Rolie
  Timbales:Jose Chepito Areas
  Congas:James Mingo Lewis
  Drums:Mike Shrieve
  録音…1972年2月21日

5.風は歌う
  Authors:Gregg Rolie;Calros Santana;Neal Schon
  Guitar:Carlos Santana;Neal Schon
  Bass:Douglas Rauch
  Organ:Gregg Rolie
  Congas:James Mingo Lewis
  Drums:Mike Shrieve
  録音…1972年5月5日

6.宇宙への歓喜
  Authors:Calros Santana;Neal Schon
  Vocal:Calros Santana;James Mingo Lewis;Rico Reyes
  Guitar:Carlos Santana;Neal Schon
  Bass:Douglas Rauch
  Organ&Piano:Gregg Rolie
  AcoーBass:Tom Rutley 
  Timbales:Jose Chepito Areas
  Castanets:Lenny White
  Congas:James Mingo Lewis
  Drums:Mike Shrieve
  録音…1972年4月6日

7.フューチュア・プリミティヴ(融合)
  Authors:Jose Chepito Areas;James Mingo Lewis
  Congas:Jose Chepito Areas;James Mingo Lewis
  Bongos:James Mingo Lewis
  Timbales:Jose Chepito Areas
  Additional music by Mike Shrieve
  録音…1972年2月23日

8.ストーン・フラワー
  Authors:Antonio Carlos Jobim
  Words by:Mike Shrieve;Calros Santana
  L-Guitar:Calros Santana
  Guitar:Neal Schon
  AcoーBass:Tom Rutley 
  Piano:Wendy Haas
  Congas:James Mingo Lewis
  Bongos:Jose Chepito AreasJames 
  Drums:Mike Shrieve
  Perc:Carlos Santana;Armando Peraza;James Mingo Lewis
  録音…1972年4月4日

9.リズムの架け橋
  Authors:James Mingo Lewis
  L-Guitar:Calros Santana
  Guitar:Neal Schon
  AcoーBass:Tom Rutley
  Organ:Gregg Rolie
  AcoーPiano:James Mingo Lewis
  Elec-Piano:Tom Coster
  Timbales:Jose Chepito Areas
  Bongos:Amando Peraza
  Congas&Perc:James Mingo Lewis
  Drums:Mike Shrieve
  録音…1972年3月1日

10.果てしなき道
  Authors:Mike Shrieve
  Guitar:Carlos Santana;Neal Schon
  AcoーBass:Tom Rutley 
  Organ:Gregg Rolie
  Congas:James Mingo Lewis
  Drums:Mike Shrieve
  Orchestra arranged by Tom Harrel
  録音…1972年3月1日

原盤…米コロムビア  発売…ソニー・ミュージック
CD番号…MHCP-2028

演奏について…1曲目「復活した永遠なるキャラバン」…鳥の鳴き声から序奏が始まり、「キャリマン」の透明的な質感のサックス音が、まるで、早朝(朝日)の到来を告げているかの様。
「トム・ルーリー」のアコースティック・ベースは、察するに、キャラバン隊のラクダの足音か…。
重低音が、一歩一歩、大地を踏みしめて歩いて行く様に感じる。
そして、最高の聴き所は「ニール・ショーン」のカッティング・ギターが幻想的な風景を美しく表現している。

2曲目「躍動」…早速「サンタナ」のリード・ギターが炸裂し、中間部では伸びやかな高音を軸に、激しい気流の様な演奏をしてくれます。
又、パーカッション群(特筆物は「ミンゴ・ルイス」のコンガ演奏が最高!)と、「グレッグ・ローリー」のオルガンが、混然一体の音となって、マッシブな重厚感と躍動感を表現する。

3曲目「宇宙への仰視」…「ロウチ」と「ショーン」のツイン・サイド・ギターが「サンタナ」のリード・ギターとも融合されて、迫力のトリプル・ギターとなって、血の滾るパーカッションの嵐と共に宇宙空間へとトリップさせられる。
他では、ここでもオルガン「ローリー」のハードなプレイも聴き所です。

4曲目「栄光への夜明け」…コンガの「ミンゴ・ルイス」が皆をファイトさせるが如く、ビート・パワー全開で煽り捲ります。
曲は、「サンタナ」のヴォーカルもフューチャーされて、超絶技巧のギターと共に夜明けを告げる。

5曲目「風は歌う」…ここでの風は「グレッグ・ローリー」のオルガンと「サンタナ」のギターが、吹き付ける様子を表現していて、まじに良く歌うギター(風)です。
「ロウチ」のドライブ感覚溢れる、エレクトリック・ベースと、「マイケル・シュリーヴ」のドラムス、そしてまたまた「ミンゴ・ルイス」の燃えるコンガが、「サンタナ」の歌(演奏)を強固にアシストします。

6曲目「宇宙への歓喜」…ズバリ、このアルバムでのベスト演奏でしょう。
序奏は全員で、ユニゾン風に始めて、まるで音の洪水の様に圧倒的な迫力で聴衆を引きこむ。
その後、フラメンコ風なテーマに変わったかと思うと、軽快な「サンタナ」のヴォーカルが融合されて、非常に変化に富んだ曲である。
この辺のアプローチと編曲は、当時一番旬な音楽であったプログレに影響を受けているのかなぁ?
終盤は「サンタナ」のリード・ギターの独壇場かと思いきや、「ロウチ」のパワフル・ベース、ぶっ飛んでる「ローリー」のオルガン、そして千手観音の様に、ドラムを敲き捲る「シュリーヴ」と役者が勢ぞろいして、演奏はクライマックスとなる。

7曲目「フューチュア・プリミティヴ」…非常に静かで、天の声の様な序奏から、アフロ・リズムが出捲りの「アレス」のコンガと「ミンゴ・ルイス」のボンゴが不可思議な空間を想像する。

8曲目「ストーン・フラワー」…序盤は「ルーリー」のアコースティック・ベースによって、とてもジャジーな曲調で始まる。
その後、「ローリー」のオルガン伴奏?で、「シュリーヴ」と「サンタナ」がヴォーカルで飾り付ける。
この辺の優雅なラテン・ロック演奏は、正しく「サンタナ」と言うグループの十八番で、「サンタナ」本人のグルーヴィなギターと「ハース」のエレクトリック・ピアノのデュオ調の絡み合いが、とてもお洒落な感じです。

9曲目「リズムの架け橋」は、個人的に大好きなナンバーです。
ここでは、単調な演奏なんだけど「ミンゴ・ルイス」のアコースティック・ピアノが、ラテン曲臭さをぷんぷんに放って、「ペラザ」のボンゴのノリも最高潮で、皆のラテンの血が燃え滾るんです。
終盤のエレピ「トム・コスター」の名演も、曲に彩をそえてくれて、聴き所の一つです。

ラストの「果てしなき道」…まず、「サンタナ」と「ショーン」のギター・バトルが気持ち良い~!!
パーカション系では、ティンバレスを奏でる「ホセ・チェピート・アレアス」もgoodな演奏ですし、それ以上に特筆演奏は、ラスト曲で燃えに燃える、「ミンゴ・ルイス」のファイアー・コンガで、まるで敲いている掌から、煙が出ているようです。(笑)
燃えてます。爆走しています。速いです。乗ってます。まるで機関車です。
勿論、リーダーの「サンタナ」は、最後の力を振り絞って?ギターで叫びます。
素晴らしいアルバムの完成です。