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なんとなくクラシテル

獣医という仕事をしている人間の生活の例の一。
ほとんどが(多分)しょーもない話。

朝っぱら

2006年04月26日 | 仕事
に電話!が来ると、すわ急患か?とドキドキしてしまう。慌てて出てみると、患者さんじゃないけど、似たような話が。カンベンしてくれ~~。
 「疝痛」。嫌な言葉だ。「せんつう」と読むけど、獣医療業域の専門用語ですわね。普通の漢字変換じゃ出てこないか。聞くだけで腹痛が起きそうだ。その症状が、今コンビを組んでる馬に出たという。疾患というか、症状というか、不可解な病名なんだが、この疝痛というやつ、場合によっては命にかかわるのだ。
 どういう状況なのか?容態は?バタバタと質問する。聞いた感じでは、それなりの内科治療を受けているようだ、ますます腹が痛くなるよー。
 疝痛とはなにか?要は馬の腹痛なのだが、ただの腹痛じゃない。腹痛の内容が問題だ。馬の消化器系は人間や犬や猫のそれとは全く異なる。複雑な構造をしているせいで、ちょっと何かが詰まったり、腸管の運動が不順になると、途端に激しい腹痛の症状が現れるのだ。でっかい生き物だから、なら手術というわけにもなかなかいかない(尤も、アメリカやヨーロッパ・オーストラリア等々、馬がどっさりいる国々の大学病院なんかでは、開腹手術は普通に行われてると思うけど)。内科治療にどのくらいまで反応してくれるか?不安のあまり、思わず早めに出かけてしまうが、案の定本人は馬房にいない。あーもう、なまじ専門知識が中途半端にあるからいかんのだ。イライラする~~。
 でも、レッスンは受けなくちゃならん、代わりの馬を引き出してきて、しかし、集中できないよーと思ってたら、インストラクターさんが「大丈夫、だいぶ良くなってきましたから」と教えてくれた。ホッとする、というか、ハア~~~~。

 かつて学生だった頃、馬といえば=「疝痛」だ「蹄葉炎」だ、それで死んじゃうんだよ~~、と呪いの呪文ばりに仕込まれて、なのに、そうならないようにするためには?とか、そうなったらどうする?ということは教わらなかったような。つまり、馬の臨床が全く遅れていたんだな。情けない話だ。
 でも、小動物臨床界だって、学生当時からはまるで別物のように変貌しているのだもの、馬の臨床だって進展があるはずだものね、そうだよね、だから治せるんだ。専門領域が違うから知らなかっただけなのか。
 治療現場、見てみたかったが。