なんとなくクラシテル

獣医という仕事をしている人間の生活の例の一。
ほとんどが(多分)しょーもない話。

第一回ジャパンK9ゲーム

2005年11月27日 | 仕事
へ。K9ゲームとは、犬の基本的な躾(お座り・待て・伏せ・ついて歩く)をゲームにしたものということらしい。発案者のイアン・ダンバー氏は、犬の躾や訓練方面でかなり有名な方。この方が提唱している「ほめる躾」のビデオは見たことがあるし。まあ、第一回ということは最初だし、見に行ってみるか、という感じ。
 うん、色々考える所のものはあったのね。妙な熱気で、なーんかイヤになって、会場にいられなくなっちゃったんだけど。
 なにがイヤだったんかなあ?色々考えて納得。来場者には犬がくっついてる人も多いのだが、犬が誰も彼も「洋犬の純血種」なんです。和犬がいない、雑種がいない。なんかさ、「金持ち自慢」っぽいような。だけじゃなくて、結局この手の躾が入りやすいのが洋犬ということか?
 あとね、「ごほうびをあげてしつける」にどうしても違和感があるんだな。

 うーん、そりゃ、動物って食い物が大好きだから、食い物で釣るのは楽だし簡単なんですよ。でね、獣医の立場からするとだな、こういう犬って普段の食生活はどうなんだ?と思っちゃうんだ。おやつしか食べなくなっちゃうとか、弊害が出てくるのでは?と心配になる。当院でガミガミ言ってる最低限の躾№.1=「規則正しい食習慣を身に着けましょう」なんですよねー。しょっちゅうなんか食べてるというのが健康にいいとはどうしても思えない。実際、そのせいで脂肪肝になっちゃって死にぞこなったケースもある。

 絶食しなくちゃならない状況とか病気って結構多いんだよね。手術前もそうだし、肝臓病・糖尿病・アトピー等々、その辺をきちんとしないと管理が難しい病気はわんさかある。そういう場合、どうすんのか?躾のために健康を害するなんて、シャレにならんもの。そこをクリアした内容を提示してもらえないと、患者さんに勧められないんですよ。

 ゲーム内容を見てて思ったのは「結局、犬が若くて元気で健康だから成り立つゲームっぽいよなー」ということ。なんでも素早くが要求される。犬って律儀だから、急停止・急回転、なんでもするんだよ。で、ヘルニアとか起こさないか、と見ててハラハラするのさ。参加犬の体重別とか年齢制限を作ったほうがいいんじゃないか?

 アメリカ発の躾というと、例の「αシンドローム」なる言葉を流行らせた「ヒトがリーダーにならなくちゃいけません」式のトレーニングもありますねえ。この手の躾本を読んでてああ!と気付いたこと。なんで犬のボスになれ、リーダーになれ、と言いたがるのか?やってる連中が「アメリカ人」だからだよ!!アメリカ人はそういうのが好きだからさ。アホくさい。
 ダンバー氏は、そういう連中とは全く別系統の方なんですけどね。
コメント
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