子しのびの森 2

2015年09月16日 | Weblog


時は音もなく過ぎて行きます。時間を意識しているのは人間だけでしょうか。

 
                             町内にある Nikon の工場

動物も虫も魚も鳥も、夢中で毎日を過ごしているのだと思います。犬や猫がのんびりと昼寝しているのも、体のバランスを取るために脳が命令を出しているのであって、怠慢の心があってでは無いかも知れません。

もっとも、人も疲れて不愉快になれば自然に体を休めることはしますが、そのほかに、言うまでも無いことですが、怠けの気持がそうさせることもあります。

 

以前、2010年10月2日に 「 子しのびの森 」 というタイトルで同じ場所を紹介したことがありますが、 『更級日記』 に出てくる場所が隣町にありますので再び行ってきました。

『更級日記』は平安時代の中ごろに書かれた 菅原孝標女(すがわらたかすえのむすめ)と言う女性によって書かれた日記ですが、その中に父が常陸の国の国司となって今の茨城県に来る件(くだり)があります。その父が国をめぐり歩いているときに、立ち寄ったところであろうという場所が笠間市の岩間地区にあるので、久しぶりに行ってきました。

 

いまでもさびしいところです。娘に宛てた父親の手紙文がその『更級日記』にでています。

常陸の国にある神社をお参りして歩いているのですが、川の水が美しく流れている野が広くあるところに、木が群がってい良いところがあります。その風景を見せたいと思っていると真っ先にあなたを思い出しました。「ここはなんという所だ」と聞くと、「子しのびの森と申します」と言う答えがあったのですが、(その「子しのび」と言う名前が都に自分の子を置いてここにきている)自分の身の上と重なって、とても悲しく思ってしまい、そこで馬を下りてしばらく眺めていましたよ。 

  とどめおきてわがことものや思ひけむ
             見るにかなしき子しのびの森

 この森も自分のこと(「事」と「子と」と掛けことば)のようにもの思いをしているのだろう
            見るのも悲しくなる子しのびの森よ

                                以下省略

日記が書かれてから凡そ1,000年の月日が流れて、いまそこに「子しのびの森」が私の目の前にあると思うと大いに感動しました。
場所はなんでもない、どこにでもあるとても寂しい田舎の風景ですが、私にとっては特別な場所に思えました。

 
                             神社の境内にあった大木の実

この日記の作者の実名は書いてないので分かりません。あの天神様で有名な菅原道真の子孫だそうです。
有名な紫式部も、清少納言も実名は伝わっていないそうです。





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1 コメント

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Unknown (山ちゃん)
2015-09-17 18:58:33
茨城といえば日立と思っていまたが
NIKONもあるのですね、
やはり東京に近いので有利ですよね
我が街は紙の街です。
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