初心者のクラシック

有名な曲からおすすめの曲まで、できるだけ初心者にも分かり易く紹介します。

ヴァイオリン協奏曲 (シューマン作曲)

2008年08月15日 | その他の作曲家
たまには、クラシック音楽を聴いてみてはいかがですか?

今日はシューマン:ヴァイオリン協奏曲です。

シューマンの「協奏曲」と言えばピアノ協奏曲やチェロ協奏曲の方が有名ですが、こちらのヴァイオリン協奏曲も、なかなかどうして、名曲と言っても過言ではないでしょう。

しかしながら、作曲については少々いわくつきの曲のようでもあります。
シューマンはヴァイオリニストのヨーゼフ・ヨアヒムの依頼を受けてこの曲を作曲したようですが、曲が完成しても、シューマンの遺言めいた言葉のせいもあってか、ヨアヒムがこれに手をつける事はなく、この曲を封印してしまうのでした。
その後100年近くを経てから自筆譜が発見されると、カールベーム指揮のベルリンフィルによって初演されますが、ここでもその演奏内容をめぐって、ひと悶着あったようです。

という訳で、いろいろな言われのある一曲ではありますが、単純に「ヴァイオリン協奏曲」と思って聴くと、普通に聴ける一曲です。(当たり前か)


 第1楽章:少し不安な表情の管楽器からティンパニの(大太鼓)ドラムロールで
 盛り上がると、刻む弦楽器がその不安をあおっているようにも聴こえます。
 弦楽器が少し穏やかな表情になり、一段落したかに見えますが、再び弦楽器が
 刻み始めると険しい表情に戻ります。
 そこへ、ヴァイオリンソロが悲しくも突き刺さるように始まります。
 切々とその想いを伝えるべく、なめらかに歯切れよくその音色を響かせていきます。
 一旦、落ち着くと、ヴァイオリンの音色はゆるやかな表情になり、しっとりとした
 響きに変わり、その後は力強くじっくりと響かせる音色が強く伝わってきます。
 ティンパニが入ると、しばらくオーケストラの間奏が続き、
 再び現れたヴァイオリンは、どこか物哀しい表情になり、力無くだんだんと
 しおれていくようにも聴こえます。
 徐々に弱くなるヴァイオリンにオーボエがひとつ声を掛けるようにも響きますが、
 ヴァイオリンのテンポはゆっくりのまま、なかなか戻りません。
 やがて自力で這い上がるように起き上がると、ティンパニが力強く打ちつけて
 いきます。
 その後は、ヴァイオリンが最初と同じメロディを繰り返していきますが、
 今度は、不安感というよりも、希望の光を見つけ出そうとでもするかのように
 艶のある表情に聴こえてきます。
 そして今度もティンパニのドラムロールが力強く入りますが、今回は力強く響く
 ヴァイオリンを援護するように、勢いよく響きます。
 そして、力強いヴァイオリンは最後まで、渾身の力を込めて振り切るようにして
 堂々と最後を飾ります。 

 第2楽章:中音域の弦楽器が穏やかに始まると、その上をすべるように、そうっと
 ヴァイオリンのソロが始まります。
 ゆったりと響くヴァイオリンですが、ふっと肩の力を抜いたかのようなヴァイオリン
 は、色っぽくも聴こえてきます。
 しかし、ソロが低音域に向かうと自然と、やや険しい表情に変っていきます。
 ただ、他の弦楽器の穏やかな表情に包まれながら、どうにか平静を保っていると
 言ったところでしょうか?
 伸びやかなヴァイオリンソロですが、やはり、どこか寂しげな表情に聴こえてきます。
 
 第3楽章:そしてティンパニのドラムロールが力強く入ると、ヴァイオリンソロを
 引っ張って明るい表情へと導いていきます。
 すると、ヴァイオリンは水を得た魚のように力強く明るい表情へと変わり、ソロを
 次々と花開かせていきます。
 間に入る金管楽器やティンパニも力強く彩りを加えていきます。
 明るく華やかなヴァイオリンソロは続くと、しなやかで伸びやかなフレーズを加え
 ながら、クライマックスへ向けて力強くうねりながら、曲を盛り上げていきます。
 金管楽器とティンパニを交えながら大きく何度も羽ばたくと、
 ヴァイオリンソロが目まぐるしいばかりにそのフレーズを繰り返しながら、
 ラストへ向かって堂々とその響きを聴かせながら、盛り上がり最後を飾ります。


今回、自分で聴いたのはツェートマイアーの録音でした。個人的な感想だとシューマンのきめ細かいフレーズを若干、大味な解釈で演奏されてるようにも聴こえたので、上の記事の内容は若干、想像力も込みで書いてみました。
残念ながら、この曲の他の人の演奏を聴いた事が無いので、胸を張っては言えませんが、演奏者によっては、かなり印象が変わってくる曲なのかもしれません。

≪オススメCD≫
ツェートマイアーはブラームスの協奏曲と一緒に入ってます。
ブラームス:VN協奏曲
ツェートマイアー(トーマス)
ワーナーミュージック・ジャパン

このアイテムの詳細を見る


≪こちらもどうかな≫
聴いた事はありませんが、演奏者の名前だけならこちらも名盤かも?!
シューマン:ピアノ協奏曲&ヴァイオリン協奏曲
クレーメル(ギドン) アルゲリッチ(マルタ)
ワーナーミュージック・ジャパン

このアイテムの詳細を見る


【コレってどんな曲】
喜:☆☆☆★★
怒:☆☆☆★★
哀:☆☆☆★★
楽:☆☆★★★

≪おすすめシチュエーション≫
シューマンのヴァイオリンも試しに聴いてみては…


音楽ブログランキング