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乳がん手術後、自身の脂肪で乳房 幹細胞注入し再建

2008年09月24日 | 医療技術
 乳がんで乳房温存手術をした後、患者自身の脂肪組織から採った幹細胞を注入すると乳房再建に効果があるようだ。九州中央病院(福岡市)の北村薫副院長(乳腺外科)らの臨床研究で、注入後1年半以上たった10人を調べたところ、膨らみが保たれていた。26日から大阪市で開かれる日本乳癌(がん)学会で発表する。

 脂肪組織から幹細胞などを抽出する機器を開発した米サイトリ社との共同研究で、まず患者の腹部から吸引した脂肪組織を2等分する。一方を処理して、様々な細胞の元になる幹細胞を含む細胞液を抽出し、もう一方の脂肪組織と混ぜ合わせて再建したい場所に注入する。

 06年5月から20~50代の16人の患者に実施した。注入から1年半以上過ぎた10人を調べたところ、がん摘出でくぼんだ場所の厚み(中央値)は再建前は9.8ミリだったが、注入1カ月後は18.1ミリになり、1年半後も15.5ミリと膨らみが保たれていた。

 乳がんが比較的進んでいない場合は乳房をできるだけ残す乳房温存手術が行われることが多いが、術後の放射線治療の影響などで思うように膨らみが戻らないことがある。

 北村さんによると、この手法は、残った乳房の萎縮(いしゅく)が大きい場合の復元は難しいものの、部分的なくぼみであれば十分修復することができた。長期的な効果や副作用はまだわからないが、少なくとも1年半(最長2年2カ月)では8割の患者が満足しており、特段の副作用もみられていないという。

 抽出した細胞液には幹細胞だけでなく、血管新生を促す物質や繊維組織を作る物質なども含まれ、それらが複合的に働いて組織が生着しやすいとみられる。

[朝日新聞 2008年09月24日]
http://www.asahi.com/science/update/0924/TKY200809240062.html


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