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多発性硬化症の治療薬に道 発症の仕組み解明=国立精神・神経センター

2008年06月10日 | 脳、神経
 中枢神経の一部が炎症を起こし、視覚や運動などさまざまな障害が出る難病「多発性硬化症」は、特定の遺伝子の働きが高まることで炎症を起こす物質が放出されて発症するという仕組みを国立精神・神経センター神経研究所の山村隆部長らが解明、9日付の米科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。

 この遺伝子を標的にすれば、病気の進行を抑える薬の開発につながるという。

 多発性硬化症は免疫機能の異常で、脳や脊髄の神経細胞を結ぶ細長い軸索を取り巻く「さや」の部分に炎症が起きて発症。リンパ球の一種、T細胞が中枢神経に入り、さやを攻撃することが原因とされるが、詳しい仕組みは不明だった。

 山村部長らは、多発性硬化症の患者で働きが活発になっている「NR4A2」という遺伝子に注目。マウス実験などで、この遺伝子がつくるタンパク質が、炎症を引き起こすサイトカインという物質の分泌に関与していることを突き止めた。

 この遺伝子の働きを弱めるとサイトカインの分泌が減り、病気のモデルマウスの症状が軽くなった。

[共同通信47NEWS 2008年06月10日]
http://www.47news.jp/CN/200806/CN2008061001000315.html



【多発性硬化症 「遺伝子から炎症物質」解明】

 手足のまひや視覚障害などの症状が出る神経難病「多発性硬化症」の患者に多く現れる遺伝子の働きを国立精神・神経センター神経研究所の山村隆免疫研究部長らが解明し、9日付の米科学アカデミー紀要に発表した。新薬開発につながる研究と注目される。

 山村部長らは、多発性硬化症の患者に多く現れる「NR4A2」という遺伝子が、免疫をつかさどるT細胞という細胞の中でどう働くかを調べた。この遺伝子が働くと、炎症を引き起こす物質(サイトカイン)を出すことを突き止めた。

 逆に、患者の血液からT細胞を取り出してこの遺伝子の働きを抑えると、細胞が出すサイトカインが減ることもわかった。マウスを使った動物実験でも、この遺伝子の働きを抑えると病気の症状が改善した。薬の開発への糸口になる可能性がある。

 多発性硬化症は、脳や脊髄(せきずい)などの中枢神経に炎症が起き、神経を包むさやが破壊される原因不明の病気。国内には推定で1万人の患者がいる。

[読売新聞 2008年06月13日]
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080613-OYT8T00499.htm


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2 コメント

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多発性硬化症 (粂原)
2008-12-31 17:55:57
多発性硬化症の治療薬
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Re:多発性硬化症 (ラット)
2009-01-01 18:02:50
粂原様、
コメントありがとうございます。
去年は、難しい病気のメカニズムが解明されるというニュースが多かった年だと思いました。今年も、どんどんこれらの研究が進むと良いですね。
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