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再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

セロトニン不足で目先の利益追求型に=ATR、広島大学

2008年06月10日 | 心のしくみ
 行列のできた人気飲食店とすぐに空腹を満たせるファストフード店のどちらにするか――こうした行動選択の際、脳内物質のセロトニンが不足すると、目先の利益にとらわれやすい傾向があることを、国際電気通信基礎技術研究所(ATR、京都府精華町)と広島大のグループが解明し、米専門誌に発表した。

 20人の実験参加者に、24時間前からたんぱく質が少ない食事をしてもらい、人工的に体内のセロトニンが不足した状態を作り出した。その後、パソコン画面上で、「操作時間は長いが、20円がもらえる」あるいは「短時間操作で5円がもらえる」の選択肢を示し、制限時間内に選択を繰り返してもらった。その結果、セロトニンが不足していない場合に比べて、不足すると短時間操作を選ぶ割合が増える傾向があった。

 脳には、報酬が得られるまでの時間に応じて働く複数の神経回路があり、セロトニンは、これらの回路の働きを調節している。病気などでセロトニン不足になると、調節能力が失われ、将来の報酬の大きさと、かかる時間を比べて、状況に応じた適切な行動を選べなくなり、衝動的な行動が多くなるとグループはみている。

 仕組みをさらに調べると、衝動的な行動に陥りやすいうつ病などの診断、予防や多重債務者の精神状態の解明にもつながりそうだ。(林義則)

[朝日新聞 2008年06月10日]
http://www.asahi.com/kansai/kouiki/OSK200806100020.html


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