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医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

視床下部:もとになる細胞、ES細胞で作成 尿崩症治療薬に期待=理化学研究所

2008年08月06日 | 脳、神経
 食欲や排尿など体の重要な働きを調節する脳の一部「視床下部」のもとになる細胞をヒトのES細胞(胚(はい)性幹細胞)から作り出すことに、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の笹井芳樹グループディレクターと綿谷崇史リサーチアソシエイトらが成功した。拒食、過食などの摂食障害や脳手術などで視床下部が傷ついた際に尿が大量に出過ぎる「尿崩症」などの治療薬開発に活用できる可能性があるという。

 5日、米国科学アカデミー紀要電子版に論文が掲載された。

 視床下部は体積5立方センチ前後の器官。多様なホルモンを分泌し排尿や睡眠、体温などを調節している。人間が母胎で育つ途中で「視床下部前駆細胞」が変化してできる。笹井さんらは今回、この前駆細胞をヒトとマウスのES細胞から作った。

 マウスの実験では、前駆細胞をさらに変化させ、実際に視床下部の細胞を作ることに成功。排尿を抑えるホルモンを出す細胞や、満腹中枢の細胞ができた。これらを使えば、さまざまな化学物質が視床下部のホルモン分泌をどう変化させるか調べられるという。【野田武】

[毎日新聞 2008年08月06日]
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/08/06/20080806ddm012040062000c.html

がん:ビタミンC、マウス大量投与で増殖半分に=米国立衛生研究所(NIH)

2008年08月06日 | 食品・栄養

 ビタミンCをマウスに大量投与することで、がん細胞の増殖を半分に抑えることができたとの実験結果を、米国立衛生研究所(NIH)の研究チームが米科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。

 チームによると、約30年前にビタミンCががんに有効だと注目されたが、その後の実験で否定された。今回は、効果が否定された経口投与ではなく、体内に直接注入。「副作用もなく、人間への適用も可能だ」としている。

 実験ではまず、43種類のがん細胞と5種類の通常細胞に、ビタミンC(アスコルビン酸)の溶液を加えると、通常細胞に変化はなかったが、がん細胞のうち33種類では細胞の半分以上が死滅した。

 次に、腹腔(ふくくう)内にそれぞれ子宮がん、膵臓(すいぞう)がん、脳腫瘍(しゅよう)の細胞を植え付けたマウスに、体重1キロ当たり4グラムという大量のアスコルビン酸を毎日投与すると12~30日後に、投与しなかった場合に比べてがんの重さが41~53%に抑えられた。副作用もみられなかった。

 アスコルビン酸から発生した過酸化水素ががん細胞に作用したとみられるという。(ワシントン共同)

[毎日新聞 2008年08月06日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20080806k0000e040070000c.html


ビタミンC療法は、いつもたくさんのニュースが報じられています。
この記事では、いつもの抗酸化作用ではなく、強い酸化作用を持つ過酸化水素が主役とか。
通常の細胞は過酸化水素を中和する機能を持っているのに対して、がん細胞はその機能がないために破壊されるようです。
それにしても体重1kg当たり4gを毎日って‥ずいぶん大量投与ですね。
ちゃんと立証され、多くのがん患者に朗報がもたらされることを期待したいと思います。