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ラットに新たな「神経核」発見=京都府立医科大学

2008年08月19日 | 脳、神経
 ラットの脳の視床下部に新たな神経細胞の集合体「神経核」があることを、京都府立医科大学院3回生の森浩子さん(26)が発見、19日の米国科学アカデミー紀要電子版に発表した。新たな神経核の発見は30年ぶり。この神経核は血中の女性ホルモンの量に応じて受容体数が変動し、生殖や摂食行動を制御している可能性があるという。

 森さんは昨年4月、ラットの脳の断片写真を見ていて自律神経や内分泌機能をつかさどる視床下部に見たことがない神経核があるのを見つけた。ラットの脳の構造を解説する資料にも記述がなく、新たな神経核と判明。「矢状核(やじょうかく)」と名付けた。

 矢状核は雌雄いずれの脳にもあることが確認されたが、雄では雌に比べて約1.7倍大きいことも判明した。女性ホルモンであるエストロゲンの血中量の変化に応じ、受容体数が増減。変化に対応するように、矢状核内の抑制性の神経伝達物質が働いており、視床下部がつかさどる生殖や摂食行動などに影響を及ぼしているとみられるという。

 ヒトでは矢状核は見つかっていないが、森さんを指導する河田光博教授は「(人間にも)同じような神経核があれば、自己の性別を自然に認識する仕組みにかかわっている可能性がある」と話している。

[msn産経ニュース 2008年08月19日]
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080819/trd0808191116008-n1.htm