シネマ見どころ

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「ダウントン・アビー」(2019年、イギリス)

2020年05月13日 | 映画の感想・批評
シーズン6まである超大作、日本でも放送され、大人気となった海外テレビドラマの、後日談。
よくぞこれだけの人数の俳優さんたちを揃え、再結集できたものと、その点でもうれしい。

20世紀初頭のイギリスの伯爵家の屋敷内で起こる、貴族の家族と下の階の住人、使用人たちが繰り広げる、豪華絢爛物語。
ドラマ版を知らない人には冒頭で簡単に人物紹介がある。とはいえ、貴族と使用人の区別やら対立関係やら、初見の人にはけっこうハードではなかったかと。マニアには懐かしさに溢れ、吹き替え版で観たがお馴染みの声にも安心して見られた。

物語はテレビ版の数年後、1927年。グランサム伯爵家が暮らすダウントンに国王夫妻が訪問、お泊りするという連絡が入り、使用人たちまで大騒動。引退した執事を呼び戻し、準備を進めるが、国王付きの使用人たちが乗り込んできて、一切合切をダウントンの使用人を排除して仕切ると言い出す。そして、使用人たちは機転を利かせて反撃に出る!という、痛快なお話し。
その過程で、国王暗殺の動きを食い止めることになった三女の夫(もとは運転手)の活躍や、王女と知らずにうちとけるシーンがほのぼのとしていたり、現役執事トーマス・バローが休暇中にゲイバーで拘束されそうになったのを助けてくれた王室職員との愛、これはドラマ版のファンには落涙シーンであった。いじわるトーマスがやっと幸せになれそう・・・・・
先代伯爵夫人ヴァイオレット(マギー・スミス)の痛烈な皮肉がさく裂するのも楽しい。従妹であり、王妃の侍女を務めるモード(イメルダ・スタウトン)との確執、孫娘メアリー(ミシェル・ドッカリ―)を伯爵家の将来について諭すシーンなど、重鎮マギー・スミスの健在ぶりに感動。
次女イーディスがやっと幸せな結婚生活を送っていることが分かったのも、ファンにとってはうれしくてたまらない。彼女のお産に向けて、夫が仕事を休むかどうかも示唆されていて、興味深い。
ファッションもまた素晴らしかった。1927年、おそらく英国最後のきらめきの時代か。

映画版は時間の制限もある中、時代の背景や空気を十分に反映していたし、それぞれの人物の歴史を思うと、十分に伏線を生かして、大団円で終わる。ドラマファンだけでなく、初見の人にも十分幸せな時間を与えてくれたと思う。
もう一度劇場で観たいと念願していたが、コロナ禍のなか、あきらめざるを得なかった。せめて家でと、ドラマ版のBlu-rayコンプリート版を買ってしまった!!!
4月から毎週土曜日朝に、シーズン5からをBSプレミアムにて放送中。ぜひご覧くださいませ (アロママ)

原題:DOWNTON ABBEY
監督:マイケル・エングラー
脚本:ジュリアン・フェロウズ
主演:ヒュー・ボネヴィル、マギー・スミス、エリザベス・マクガヴァン、ミシェル・ドッカリー、ジム・カーター、イメルダ・スタウトン