4世杵家弥七 その2

4世杵家弥七　その2


坂上ヨウは田中正平の「邦楽研究所」が、五線譜による
採譜を始めたことを知り、
オルガンやバイオリンの稽古に通う決心をする。

五線譜、つまり西洋音楽というものを理解するためだ。
わずか16、7の少女にして、何という情熱だろう。

夜なべで縫った着物の縫い賃は、すべて月謝に消える。
そして運命の人、赤星国清と出会う。

赤星は当時、高等女子実習学校から、
山脇高等女学校と改名されたばかりの学校に呼ばれ、
音楽の教官をしていた。

赤星の所でバイオリンを習い始めたヨウの情熱に、
深く感銘した赤星は、
「この人を助けなければ！」と思った。


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tea break・海中百景
photo by　和尚