富士田吉治―71「淡島」
そして、次は浄瑠璃の”表具屋節”を持ってきた。
廓は怖いぞ、と戒める。
『本地は即ち 虚空無天の御容姿にて(女郎の真の姿は、包容無限、相手選ばず)
丑寅の御方は(鬼門の方角には)
一代男を守り本尊と掛けられて(好色男の世之介が、守り本尊として鎮座しているのだから)
腰より下は地につかず(腰から下がふわついて)
とんとはまるが浮世川(どっぷりはまるのも当たり前)
うつぼ船やら 三谷船(いろんな船でえんやらやっと、通うのさ)』
〓 〓 〓
tea breaku・海中百景
photo by 和尚