春興鏡獅子―1
桜痴は「枕獅子」の歌詞を改訂、添削して、
前ジテは、上の巻「小姓」、後ジテは、下の巻「胡蝶」の二段構成とした。
作曲は杵屋正治郎、振付けは藤間勘右衛門(2世)。
まず、舞台となるのは大奥広間。
祭壇に、正月鏡開きの慶事の飾り物、一対の獅子頭が飾られている。
この獅子頭に獅子の精が宿り、後ジテにと移行するという趣向。
上手より、局と奧女中に手を引かれた小姓、弥生(団十郎)が登場する。
出は、この曲は”石橋物”であるぞ、と知らしめるためか、
杵屋六左衛門(10代目・1830年作曲)の「石橋」から樵夫の出の一節を拝借し、
弥生の自己紹介へと続けた。
『樵歌 牧笛の声」
人間万事 様々に
世を渡り行く その中に
世の恋草をよそに見て
我は下萌 くむ春風に
花の東の宮仕え
忍ぶ便りの長廊下』
(意訳)
「木こりは歌い、
牧童は笛を吹く
人間は実に、
様々なことを生業にして生きている
私は、花のお江戸の大奥勤め
はげしい恋とは無縁だけれど
密かに思う人がいるの
その人から恋文が届いたばかりなの」
〓 〓 〓
tea breaku・海中百景
photo by 和尚
桜痴は「枕獅子」の歌詞を改訂、添削して、
前ジテは、上の巻「小姓」、後ジテは、下の巻「胡蝶」の二段構成とした。
作曲は杵屋正治郎、振付けは藤間勘右衛門(2世)。
まず、舞台となるのは大奥広間。
祭壇に、正月鏡開きの慶事の飾り物、一対の獅子頭が飾られている。
この獅子頭に獅子の精が宿り、後ジテにと移行するという趣向。
上手より、局と奧女中に手を引かれた小姓、弥生(団十郎)が登場する。
出は、この曲は”石橋物”であるぞ、と知らしめるためか、
杵屋六左衛門(10代目・1830年作曲)の「石橋」から樵夫の出の一節を拝借し、
弥生の自己紹介へと続けた。
『樵歌 牧笛の声」
人間万事 様々に
世を渡り行く その中に
世の恋草をよそに見て
我は下萌 くむ春風に
花の東の宮仕え
忍ぶ便りの長廊下』
(意訳)
「木こりは歌い、
牧童は笛を吹く
人間は実に、
様々なことを生業にして生きている
私は、花のお江戸の大奥勤め
はげしい恋とは無縁だけれど
密かに思う人がいるの
その人から恋文が届いたばかりなの」
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tea breaku・海中百景
photo by 和尚
