今度のNHK大河ドラマは蔦屋重三郎の話で、
吉原が舞台なので1話から観ている。
時代は1700年代後半で、吉原も中期頃でしょうか。
芝居で見るような豪華絢爛な遊女が登場するのは、
もう少し後の1800年代になってからだ。
きょうの話の『雛形若菜の初模様』が刊行されたのは
1775(安永4)年。

『雛形若菜の初模様』はシリーズ化され、この後5、6年は続いたという。
この図はその1作目の1枚だ。
遊女が鼓を打ち、芸者が三味線を弾いている。
芸者の衣装もまだこんなに素朴だ。
この頃の吉原には芸者の見番があるくらいで、
芸はもっぱら芸者の担当になっていたはずだが
この絵のモデル、たま屋のしずかは鼓を得意としていたのかもしれない。
芝居では日本一の女形中村富十郎が未曾有のヒットを飛ばした「京鹿子娘道成寺」
(1752・宝暦2年初演)を引っ提げ20年以上も各地を回っている頃で、
芸者の間でも長唄は便利な演目になっていたはずだ。