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温泉めぐり紀行

サクラ咲く(2025年4月)

830.股間若衆

2019-09-09 | 暮らし

ときどき手持ちのスマホで自分の blog を見ることがある。
スマホ版には自身のブログの中でよく見られているものをリストアップする機能があり、
日によって多少の入れ替わりはあるが、
コンスタントに上位にランクインするのが「317.キンタマの品格」。
理由はよくわからないが、たぶん キンタマ・・という響きやgoogle、yahooの検索に引っかかりやすいせいなのかもしれない。

    「本のいらすとや」の画像検索結果


その記事はあとで見るとして、
ここではタマの方ではなく前に付いている棒の方の話し。
この夏、図書館で実に面白い本を見つけた。



せいきの大問題 新股間若衆」(木下直之著 2017年 新潮社)。
タイトルはもちろん「新古今和歌集」をもじったものである。
新と名うってるからには元の本があるわけで、木下直之は2012年に「股間若衆 男の裸は芸術か」を著している。世間では天下の奇書と云われてるらしい。
本題に入る前に先ずこちらの本についてちょっと寄り道を・・。

駅前や、公園、図書館、大学などに佇む男性裸体像。
著者は彼らのことを「股間若衆」と命名し、股間の性器がどんな具合か徹底観察する。



男の裸体彫刻で最大の課題は性器をどう表現するのか、ということに尽きるようだ。
見て見ぬふりしがちな我々一般人と違って著者・木下直之は、ありとあらゆる場所に出没して股間を調査をしまくる。
あるべきものとして正々堂々と表現されている股間がある一方、切断したり、訳の分からぬもっこりした塊ですませてしまってるものもある(それは官憲の取り締まりと自由な表現を求める彫刻家達との長い歴史がもたらした智恵なんだとか)。

こんな股間連中を著者は「切断型(または面取り型)」とか「曖昧模っ糊り」やら「とろける股間」などと名付けてる。この言葉のセンスが素晴らしい。
百聞は一見に如かずなので同書からこれらの股間写真を引用させてもらおう。
なるほど、写真をみればみるほど著者のネーミングの絶妙さに改めてうなってしまう。脱帽だ。





左が「曖昧模っ糊り型」 右が「切断型(面取り型)」 (同書p10から) 



こちらの二人はともに「とろける股間」型 (同書p36から)
溶解し、もはや原型をとどめていない いったいこれは何なのだろうか


この分類に従うならば、
今年の3月、四国へ旅行したとき愛媛県西条市の図書館の敷地に立っていた二人の男性裸体像は対称的な股間若衆であった。
ひとりは正規(性器)の表現だったのにもう一人は気の毒な「切断型」であった。
同じ敷地に住んでいながらこの扱いの差は何なのか、そのとき違和感をもったものだ。

*西条市は水の都とよばれるほど湧水が豊富な土地。その名水公園に立派な図書館が建っている

 
<切断型(面取り型)> 
初めから切ってあるのか、のちに切り取られたのか判然としない。
なぜか切断面が白く塗られている。化膿止めだろうか


<正規のスタイル> 日本人の体格ではないような気がする
この格好で、手をあげ、やぁ~と声をかけられても・・

  西条市図書館



さて、だいぶ寄り道をしてしまった。
著者の木下直之は1954年生まれの65歳、東京芸大大学院中退、現在は東京大学大学院人文社会系の教授。 文化資源学の一環として股間若衆研究を続けているそうだ。

あらためて「せいきの大問題 新股間若衆」(2017年 新潮社)の目次をひろってみると、

■帰ってきた股間若衆
■股間風土記
■日本美術の下半身
■春画ワ印論
■性地巡礼
■猥褻物チン列頒布論


著者の関心は男性彫刻から春画、そして股間東西(古今東西)の画、写真等へと留まるところをしらない。股間風土記は北海道旭川から九州鹿児島まで街中の裸像を訪ね、駄洒落満載の愛情深い目線で語っている。
洒落なのかお遊びなのか、はたまたまじめなのかふざけているのか、 その曖昧模糊としたゆるさが笑いのポイントをくすぐる。 そして、いつの間にか木下の脱力ワールドにはまってしまう。
まぁとにかく面白い本である。

ところで、この本で取り上げている河鍋暁斎1831~89)の人を喰った春画には恐れ入る。
裏表紙に河鍋暁斉の春画(下図)を載せているところをみても著者の入れ込み具合が分かる。
営みの最中である男(たぶん武士)のキンタマをチョンチョンとおちょくっているのか、それともネコパンチをくらわしてるのか、よく分からないが、このいたずらネコがなんとも可笑しくて可笑しくて肩の力が抜けてしまう。
この画が放つ間抜けなおかしさ、愛おしさに作者・河鍋暁斉の覚めた目を感じる。


こんな珍種の先生を抱えている東京大学はなかなかに懐が深い学府だ。


   河鍋暁斉 <笑絵三幅対> 左幅


  <これら二冊の書評>

    ■「新股間若衆」   朝日新聞のWEB 「論座」
    ■「股間若衆」     田丸公美子による書評(新潮社)

    

話しはふたたびタマのほうにもどるのだが
爺さんのタマ袋はどうしてあんなにダラ~んと伸びて垂れ下がっているんだろうか。
通常サイズの2倍はあるんじゃないか。
いつも不思議に感じていることのひとつだ。
温泉地でよくみかけるから、爺さん共通の現象かも。

長年ぶら下がり続けたため筋(金?)力疲労でついに重力に負けて垂れ下がったから、とか、暖まりすぎたタマ袋を急速冷却するため一時的に表面積を大きくさせてるだけ・・とか。
その理由も分からず温泉にのほほんと入ってる日本人の何と多いことか。
ボーっとしてるとチコちゃんに叱られそうだ。

クーラーなんてない大学時代の夏、学内の生協・和室でサークル合宿をしていた。
暑くて短パン姿だった私はサークル部室であぐらをかいていた。
たまたま正面に座った後輩のY君が私の股間に何かを発見したらしい。
Y君は、苦笑いしながら明るくこう云い放った。

○○さぁ~ん、出てますよう

えっ、と下を覘いてみると、
たしかに短パンの脇からちょっとだけタマ袋 が顔をだしていた。
蒸し暑くて出てきたんだし、本人が出たがってるんだから仕方ない。
せっかく忠告してくれたY君には悪いがそのまま放っておいた。


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