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電子部品ーカーの4-6月期決算、軒並み減収減益・赤字計上 下期挽回へ

2011-08-10 | 電子部品業界



 9日までに出そろった電子部品メーカー主要10社の12年3月期第1四半期(11年4-6月)連結決算は、東日本大震災の影響に加え、円高、原材料価格高騰などが重なり、軒並み減収減益または赤字計上の厳しい決算となった。

 各社は今年後半から下期に向け、スマートフォンや車載などの成長分野への取り組みを強化するとともに、新興国需要開拓を推進し、業績の挽回を目指す。


●国内顧客向けが低調

 4-6月期は、スマートフォンやタブレット端末、産業機器などの需要は堅調に推移したが、震災による自動車の生産停滞や、完成品メーカーのサプライチェーンの混乱などが部品需要を減退させた。

 加えて、急激な為替の円高や原材料価格高騰、中国での労働コス卜上昇、部品販売価格下落などが各社の業績を圧迫し、特に利益面での厳しさが目立っている。

 完成品のアプリケーション別では業績が好調なスマートフォンメーカーとの取引量が多い部品企業は、着実に売上高を増大させた。

 一方で、最近はスマートフォンメーカーや携帯電話メーカー間の好不調の差が開く傾向にあるため、どの端末メーカーと取引しているかが部品企業の業績の明暗を分ける結果となっている。

 工作機械やインフラ関連などの産業機器用の部品需要は4-6月期も総じて堅調に推移し、これらの分野に強みを持つ部品企業では底硬い決算発表が目立つ。

 一方で、薄型テレビ関連の部品需要は国内、海外ともに軟調に推移。家庭用ゲーム機も低迷が続き、これらの構成比が高い部品企業は厳しい決算となった。

 TDKのQ1(4-6月)連結売上高は、前年同期比6.8%減。

 「スマートフォンやタブレット端末、産業関連機器の生産は堅調に推移したが、震災により自動車の生産調整が生じ、需要変動により一般携帯電話は前年同期水準を大きく下回った」(挑塚高和執行役員)。

 アルプス電気のQ1の電子部品事業売上高は、前年同期比13.8%減。

 「車載は国内販売比率が低いため震災による影響は大きくなかったが、民生系は震災に伴うサプライチェーン寸断などから国内顧客向けが低調だった」(米谷信彦常務取締役)。


●海外需要がけん引

 村田製作所は、携帯電話や車載用のMLCCの大幅増でコンデンサ売上高は増収を確保したが、圧電製品、通信モジュール、EMI除去フィルターなどが減収となり、全体では6.8%減収となった。

 京セラは、部品事業の売上高が前年同期比1.0%増と増収を確保。ファインセラミック部品関連が産業機械やLED関連で伸長。

 「全体としてはクリスマス商戦に向けて戻る傾向にある。Q2の受注はQ1よりかなり増える見込み。Q1で固定費削減が相当進んだため、このまま受注が増加すれば改善効果が期待できる」(ミツミ電機・齋藤率取締役)。

 分野別では、特に震災による影響が大きかった自動車関連は、完成車メーカー各社が下期に向け強気の生産計画を打ち出していることから、下期に向けて期待が高い。

 工作機械やインフラ系などの産業機器向けの部品需要も、海外需要がけん引する形で今後も底堅い推移が予想される。民生系は、8月以降、クリスマス商戦需要の盛り上がりが期待される。

 特に薄型テレビは、Q3(10-1月期)以降は来年のロンドン両輪需要に向けた生産増への期待も高まる。携帯電話やスマートフォンは、端末各社の新モデル立ち上げにより、9月からの需要活性化が期待されている。

 震災による生産面の影響はほぼ終息し、部品各社の関心は欧米や新興国の景気動向と、それに伴う最終製品の需要動向、為替動向などに焦点が集まっている。

 復興関連の需要獲得や、省エネ・新エネルギー関連をはじめとする新規成長分野への展開も重要視される。





【記事引用】 「電波新聞/2011年8月10日(水)/1面」


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